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第四十四話

「この世界は、何かが狂ってるはずでござる。それは宇佐鬼オヨメ殿、いや大悟殿たちも分かっているでござろう。周知の字。」

「オレの正体を知っていたのですの?」

「さきほど、別の神セブンから情報が流れ込んだでござる。そんなことより、神がこのような扱いを受けることはあり得ないことでござる。しかし、それをほとんどの者が気づかないということが不可解でござるが、今は元の世界を取り戻すこと。先決の字。」

「オレは、神様が支配する世界というのはどうかと思いますわ。人間が馬扱いされるという状態が正しいのかどうか、わかりませんわ。」

「神は支配しているのではなく、人間界をコントロールしているだけでござる。神は人間の願いを聞いてやり、ごく一部だけ叶えてやる、それで十分でござる。」

「たしかに全部の願いが叶うのではありがたみが無くなりますけど、そんな不確定なことでは納得できませんわ。」

「そんな等価交換の理論は神と人間の間には必要ござらん。立場の違いもさることながら、神頼みという他力本願的な生き方を人間に認めることは神としてはできませぬ。進化は偶然の左様もござりますれど、原則は自分で今の境遇を打開したいという強い意志でござる。それが成長のキーワードでござる。138億年という年月、無機物から有機物が生まれ、やがてそれが生命に繋がった、その根っこはすべて、進化への強い意志でござった。原動の字。」

「急に大きな話をなさるのね。いいですわ。オレは元のからだを取り戻したいだけですから。」

「アタシは、当然、元の世界、復帰前面全面大希望よ。神がぞんざいな処遇を受けるなんて、まったくあり得ないわ。それで、これからいったいどうすればいいの?」

「今まで通り、楡浬殿の神楽天ポイントを稼ぐことを継続することでござる。楡浬殿の価値逆転の神痛力が何かの役に立つと思われるのでござる。有用の字。」

「なんだか、心細いようなコメントですわ。楡浬様の神痛力レベルがあがれば、オレを治すぐらいはできるかもしれません。しかし、世界をひっくり返すようなことは、夜中に見ているいい夢みたいに、見たことを微かにも記憶しない、はかなさ満点のもののように思えますわ。」

「ちょっと、馬嫁下女。失礼な物言いはやめてよね。アタシの神痛力は神セブンを超えると言われてるんだからね。」

「どこの誰がそのような不埒なことを言ってるんですの?」

「発信源は、ここよ、ここ。」
 楡浬は自分の小さな唇を指し示した。

「・・・じゃあ、作戦を衣好花様からお聞きしようかしら。」

「では。」

「アタシを無視するな~!」

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