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俺には結婚する能力が無い。

俺には結婚する能力が無い。

そう思うのも、あることがきっかけで、女性不信になったからである。
きっかけは、13年前にさかのぼる。

13年前、私は大学生だった。
当時の俺をかんがみると、学生としての能力が低いにもかかわらず、あれこれと口出しをして一部メンバーからは嫌われ、先輩巻き込んでのトラブルになってしまった。
そんな中、自分のために泣いてくれた彼女。
彼氏がいることを知っていたが、俺は好きになってしまったのだ。

「略奪愛」という言葉が頭をよぎった。
メールや電話、当時流行していたmixiを通して、交流を深めた。

今までの人生で、初めての恋愛だった。今見ると歪んでいるけど。
「好き」と伝えるたび、彼女も満更ではなかった。

だが、俺には圧倒的に経験値が足りなかった。
恋愛の経験値も、人間的な経験値もだ。

彼女のほうが一枚も二枚も上手だったのである。

何回か、彼女は私を受け入れた。
略奪愛は、成功したかと思った。

でも、彼氏がいるなら、やはり受け入れるのは異常で。
受け入れた後、同じベッドで寝てて、楽しそうに彼氏と電話しちゃダメでしょ。
俺に対しても、彼氏に対しても誠実さが無いんだよ。裏切りなんだよ。
実際やられた時、悔しいのと、男としての尊厳を一気に傷つけたのと、
憤りのない気持ちと情けない気持ち、思い出して吐き気がする。

彼女を問い詰めると、こんな言葉で自己正当化をした。

「彼氏でもないくせに、指図しないで」

生理的嫌悪感と、なぜこんな人間を好きになったという自己嫌悪感が俺を襲った。
俺は、猛烈な吐き気を覚え、また涙が止まらなくなった。

それ以来、常識と誠実さが無い人。
そして、貞操観念が無い人は男女問わずに嫌いになった。

自分の行動で誰かの心を傷つける結果が見えてるなら最初からやるなという話で。
自分の事だけ考えて、自分だけ良ければいいとなる。周りに対する想像力が無い。

今思えば、一番ベストなのは俺を受け入れずに、「彼氏いるから」と振ってくれることだった。

当時の彼女は、己の欲望に忠実だったのか、モテルワタクシに酔いしれたかったのか。
はたまた、彼氏と別れたときの保険、キープがしたかったのか。
彼女に聞かないとわからない話であるが、話す機会は一生金輪際無い。

それ以来、俺は女性不信なのである。

そして、女性と付き合う機会も、女性不信とこのときのトラウマから、完全に逃していくことになるのである。

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