第二話・亀の逃走劇
俺は一つ、‘’賭け‘’に出る事にした。
直(まずは準備しないと…。)
颯は猛スピードで飛びながらすれ違いざまに攻撃してくる。
俺は颯の攻撃を一度正面から受け止める事にした。
ガキッ
「ッ!」
すぐに受け流さないと、すぐに吹き飛ばされそうだ。
(だが、これでいい…!)
俺はそう思うと、非戦闘区域に向かって走り始める。
今颯がいる方向とは正反対だ。
「あ、待て!」
颯は予想通り、俺に攻撃を仕掛けようとする。
(まだだ…限界まで引き寄せる…!!)
颯は鎌を携え、猛スピードで迫ってくる。
(……今だ!!)
俺はそう思うと同時に、体を捻りながら跳ぶ。
そして能力を使用し、盾を召喚する。
ガキッ
颯「!!」
直(よし!!)
作戦通りだった。
俺は颯の攻撃を上手く盾に当てる。
すると、宙に一時的に浮かんでいる俺はどうなるか。
作用・反作用の法則に従い、俺は思いっきり吹き飛ばされる。
颯も同様にある程度跳ね返される。
その隙に俺は勢いで非戦闘区域まで逃げようという算段だ。
区域にさえ入ってしまえば、相手は手出しのしようがなくなるからだ。
何秒経っただろう、しばらく飛ばされていると、非戦闘区域の看板が見えて、少し安堵する。
直「……!」
ガッ
地面と衝突事故を起こすギリギリの所で俺は、盾と剣で受け身を取る。
俺は非戦闘区域に足を踏み入れていた。
颯「……ッ!」
丁度のタイミングで、颯が飛来する。
「……チッ。」
颯は小さく舌打ちすると、悔しそうな顔をして、どこかへ飛び去った。
「……良かった…。」
俺はため息を吐くようにそう言うと、立ちあがろうとする。
しかし、
「……痛ッ……!」
ズキッとした痛みが腕に走る。
どうやらさっきの受け身で、骨を折ってしまったようだ。
「痛てて……。」
俺は立ち上がり、腕を押さえながら、非戦闘区域内を歩き出した。
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颯side
「惜しかったな……。」
僕はさっきの獲物のことを悔やんでいた。
「今度会ったら必ず倒そう……。」
更なる強さを手に入れるために……そう胸に刻みながら能力‘’radar‘’で、他の生物人間を探し始める。
「……見つけた。」
僕はそう言うと、探知した方向に一直線で飛んで行った。
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no side
先程の一部始終を、物陰からひっそりと見ている者がいた。
「フフッ…面白そうな子たち……。」
「さて……、」
「どんな風に可愛がってあげようかしら……。」
和服姿の女性らしき人物は、そのままどこかへ消えてしまった。
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