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86.出現! レイドリフト四天王! と、はじめまして

 あり得ない数の星たちが、轟音をあげて渦巻く!
 巻き込まれた空気は、まるで竜巻みたいにうなる!
 そのダイナミックなうねりが作るポルタから、2つの灰色の影が現れた。
 どちらも、空飛ぶ戦闘艦。
 2隻とも500メートルを超えてる。

『あれも、レイドリフト四天王ですよね。 
 なんて名前でしたっけ? 』
 そうだね。
 朱墨ちゃんとアーリンくんも覚えておいてほしい。
「1つは宇宙戦艦フェッルム・レックス。
 もう1つは宇宙空母インテグレート・ウインドウ」

 さっきまでいたヘリコプターもドローンも、みんな離れていく。
 ポルタが巻き起こす暴風の中じゃ、とてもじゃないけど飛んでいられない。
 CHー47チヌークと言う、自衛隊の大型ヘリコプターがある。
 全長は30メートル。
 前と後に大きなプロペラを持っていて、10トン近い物を運べる。 
 その運搬能力も、灰色の影にはかなわない。

 2隻の飛行性能は、反重力エンジンでまかなわれてる。
 その飛行はとても静かで、振動も音も感じさせない。
 地球では実験的、と言うより夢の技術なんだ。
 姿は、ずんぐりとした流線型。
 この姿はリフティングボディと呼ばれる。
 全身で浮力を得るのに、ちょうどいい形なんだ。
 前から見ると台形になってる。 
 後には、舵を取る短い尾翼がついている。

「インテグレートを操るのは伊原 正人さん。
 レイドリフト・マイスター。
 高校生。
 有名な発明家でもある」
 船体上部がまったいら、甲板がある。
 内部に、今は応援部隊を満載してるはず。
 船体の前後にあるハッチを開ければ、その人たちが出てくる。
 内部には全自動で機械の整備を行えるし。
 多次元プリンターって言う、文字どうりのいろんなものを作れるマシーンもある。
 自動車、医療用の人工内臓、キッチンペーパーだって。

「フェッルムを操るのは蓮見 百矢さん。
 レイドリフト・バイト。
 アルバイトのバイトじゃなくて、かみつく、の方。
 武道の達人で、この人も高校生」
 船体上部に4つの砲塔を載せている。
 2門の砲を持つ砲塔が4つ。
 船体の左右と前後に、にらみを効かせている。

「フェッルムの舳先に、人型ロボットがいるでしょ」
 ウイークエンダーのほとんど2倍、80メートルの全高。 
 背中から生やした翼が、肩を通ってマントのように体をおおう。
 そして、戦車の砲塔その物の、頭部。
 特徴的なその姿。

「レジェンド・オブ・ディスパイズ。
 パイロットは成沢 あかねさん。
 レイドリフト・ディスパイン。
 私の憧れ。
 だから、あの人がやりたいことがあるなら、必ず助けてあげたいんだ」

 ポルタがちぢんでいく。
 風も、おさまってきた。

『それは・・・・・・』
 朱墨ちゃんが、いいよどんだ。
 それでも、止まることはないんでしょ?
『ルルディ王さまとお妃さまが、ここに勝手に来た理由を、聴くことですか? 』
「そうだね。
 そんなに重要なことかどうかは、これから聴こうよ」

『助けてー! 』
 また聞こえた!
 ボルケーナ先輩の、衝撃をまとった叫びだ。
 街ごと、全てをゆらす!

 その時、警告画面がでた。
 対象は、インテグレート・ウインドウ?!
 艦を見る。
 後のハッチが開いていた。
 地上にいるとき、船体の後方下をおろすんだ。
 そうすれば長い坂になる、そんなハッチが。
 そのハッチの上に、黒い影があった。
 暴風にも飛ばされない。 
 それは人型で、と言っても、何10メートルもあるわけじゃない。
 常識的な人間サイズだよ。
 平均より低いのも、いるかもしれない。
『あの人たちとの交渉なら、任せてほしいです』
 さすが神社の子。
 朱墨ちゃん、そうだね。
『この世に破滅がはびこる時、必ず現れる希望の戦士。とウワサされる』
 朱墨ちゃん。
 あの人たちが整備された理由は、ボルケーナ先輩への抑止力なんだよ。
 そう、怒りで飛びだしかけた言葉を、グッと飲み込んで。
『あの人たちが整備された理由が、ボルケーナさまへのカウンターなのは、理解しています』
 アーリンくん、分かってたんだ。
『それでも、応援してあげてください』
 たくさん付き合う、あなたたちが言うなら、間違いないね。
 心配ないよ。
 私も助けるつもりだよ。

 ハッチにならぶ、黒い姿。
 役目を終えたポルタの光でも、ハッキリ分かる。
 その人たちが、飛び下りた。
 10人、20人、40人?
 まだまだつづく。
『ルルディ騎士団。
 その、本隊ですよ』
 そのうち何人かが、猛然と、こっちに下りてくる。

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