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第3章の第80話 どうしようもない問題7



★彡
【どうしようもない問題=特殊集団詐欺事件】
【姉妹校 設備管理科の教室】
それは例の如く、医療に携わる権威ある2人が、ホログラム映像越しで、そう唱えてきた。
『――皆さんが本校を出て行った後、いつ起こるかはわかりませんが、ある問題が起こります』
『それは『どうしようもない問題』というやつで、今までに勝った人は、誰もいません』
『……僕の身にも同じ事が起こりました……』
『あぁ、あの時言っていたのは、こーゆう事なんだなぁ……ってさすがに思いましたよ……!』
『……それは、いつ、どこで、誰に、どのタイミングで降りかかるかわかりません……!』
『でも、これはチャンスですよ皆さん!』
『それはどうしようもない問題というやつで、今までに勝った人は、誰もいませんから……!』
『僕が知る限り、誰1人としていません……!』
『ですが、もしもこれに勝てたら皆さん、毎月の給与が上がるんですよ!』
『これはそうした問題なんです!』
『人生で一度きりの大チャンスなんですよ!』
『……もしも、何か困った事がありましたら、こちらにいるドクターイリヤマに取り次いでください』
『僕の時も、そうやって助かりました……』
『………………ンッ!?』
それは一瞬の映像だった。
何かしらの問題が起こり、両者のパターンに分かれるものだ。
前者、先生に取り次いだ者は、助かり、先生もにっこり顔で、しかもお金まで得ている。
対して、先生に取り次がなかった者は、助からず、鬼の形相となった先生も怒っていて、その人からお金を盗り立てている。
それは一瞬の一コマだった。
(何だ今の……!?)
【――それはサブリミナル効果だった】
【サブリミナル効果とは】
【私ならば「できる」といった「暗示」やアーファメーションを繰り返し、唱える事で、潜在意識へ沁み込ませる事】
【また、それ等は潜在意識に刺激を与え、視覚・聴覚・触覚の3つのサブリミナル効果があるとされる】
【このサブリミナルとは、潜在意識という意味合いの言葉である】

『――と言ったらしいです! その講義を取ったのは、他ならないイリヤマ先生とライセン先生ですよ!』
そう、語ってくれたのは紳士服の男。
『なるほどな……』
未来のスバル(俺)は心の中で。
(だが……残念だったなお前等……。実は、その話には続きがあったんだよ……!?)


★彡
【そのどうしようもない問題による集団催眠がかかり、その教室を出た廊下での出来事】
――それは偶然にも、ホログラム映像越しの立体映像の虚像ではなく、その講師たち2人が、ここに来所していた。
『――あっ! ライセン先生ちょっといいですか!?』
『はい! 何でしょう!?』
ドクターライセンに尋ねてくる、その年の修了生達。
『あの、さっき言っていた話はホントなんですか!?』
『………………ええ。もちろんホントですよ! 僕もそうやって、イリヤマ先生達を通して、ここに講師としての立場として、引き抜かれたんですからね!』
『ええっ!? じゃあ、やっぱりホントなんだ~!?』
(……んっ!? 何だ……今の……!?)
【――それは、ドクターライセンの微妙な間だった……】
【この時、ヨーシキワーカ(私)すら、気づかなかったが……】
【ライセン先生に声をかけてきた人は、意に買った話に習って、話を上手く合わせていた可能性もある。……憶測と推察の域を出ない話だ】
【また、騙そうとしていたドクターライセンすら、人を騙そうとしても、その良心的な心に『呵責』があり、善と悪の心が攻めあぐねていた……そうした『間』だった――】
『じゃあ、あたしが何か困ったときには、ライセン先生達に頼りますから、何とかして助けてくださいね!?』
『ええ、もちろん、その時の状況次第に寄りけりですけどね!?』
『ええ、何でですか~~!? このいけず~~!! もったいぶらないで、ちょっとは教えてくださいよぉ!?』
『ダメなものはダメなんですよ! こっちにも『企業秘密』としての『守秘義務』というものがあるんですからね!』
『守秘義務……!?』
『はい。なのであなた達には教えられません! 済みませんね!』
『もう、ちょっとだけでも教えてくださいよぉ。……こっそり、あたしにだけでも。……後でいい事しますからぁ?』
『……いい事?』
いい事とは、何なのだろうか? それは皆さまのご想像にお任せする。
この時、この時点で、私が知り得る限りでは、コバヤシさんには2人のお子さんがいたはずだ。旦那さんだっている。
対してドクターライセンは、そうした家族関係構成はわからず、不明である。
そうした事を留意すると、危ない話ではないようだ。
つまり、いい事とは、何なのだろうか?
だが、周りでそれを見聞きしていた男連中は。
『あっ、ズルい~!!』
『これだから女は……ズルいんだよなぁ』
『フンッ、何とでも言いなさいよ! ……で、どうなんですか!?』
『う~ん……これは惜しいけど……』
『えっ!?』
『……やっぱりダメなものはダメなんです』
『もうケチィ!!』
『……』
『でもいいや! あたしの身に何かあって困ったときは、ライセン先生にでも頼ろうかな?』
フッ……
その言葉を聞き、頬を綻ばせるライセン先生。
『では、何かありましたら、僕の方からコバヤシさんの方へ、一報を取り次ぐということで』
『お願いします』
と笑みを綻ばせるコバヤシさん。
それは騙しのための、集団の理解を得る為、『話のウマを合わせる』類のものだった。
とそこへ、男連中が声をかけてきて。
『オイオイ、さすがにそんな上手い話はないだろ!?』
『騙しなんじゃ……!?』
『はは、まさか~~ァ!?』
『俺は昔警察官だったからな……! その伝手で知り合いに警察官がいるからな……!?』
タジッ……。
その仕掛け人の1人、ライセン先生の顔から、笑みが消え、その表情が強張った。
『もし、そんな話が俺のところにきたら、周りに取り継いで回って、そのグループを追い詰めてやろうかな!?』
『ハハッ……イヤだなぁ!!? 大丈夫ですよッ!? これはキチンとした問題なんですから、世の中に出ている人たちは、その事をキチンと知っていますよ!?』
『どうだかな……。詐欺犯罪だとしたら……こっちにも考えがあるからな!?』
『ッ……ちょっと失礼します。こっちにも次の授業の予定があるので……』
『……フンッ』
『……』
ヨーシキワーカは、その様子を見詰めていた。
(何だ今の、(態度が)引っかかる……!? まるで自分から仕掛ける前の予備工作のような……)


★彡
【――この時、ヨーシキワーカさんすら気づかなかったけど……】
【この月の前の前日、設備理管理科の教室で、自分の背中にかかる妬み・嫉みの言葉を聞いていたのよ!】
【だいたいこんな感じだったかしらね……!】
――それは、この時間帯の講義が終わり、ヨーシキワーカが席を立った後の出来事だった。
『……!』
教室の後ろのドアが開き、ドクターイリヤマ、ドクターライセンの2人が来所してきた。
『……』
『……』
(また、あの2人か……)
『ハァ……』
と溜息をつく俺。いったい何なんだ?
この2人は、俺に、その昔の会社とやらに要件があったらしいが、説明不足のため、よくわからず、要点が得られない説明だったんだ。
だいたいこんなところだ。
→ヨーシキワーカと思しき人物の人の噂話が立っていた時期。
1回目(教室)。おい、お前……! どうやってそこまでの免許を得た!? ……何も言わないつもりか! それならこちらにも考えがあるんだからな……!?
2回目(教室)。あの会社が大変とぞ!?
3回目(廊下の上り階段付近)。まだあの会社に謝りに行っていないとや!?
→この日の翌日の時点で、ヨーシキワーカ氏から設備管理科の教室にいたみんなに、あの会社の悪口を言っていた事を概ね認める。(ただの掃除)
4回目(教室)このままじゃあの会社潰れるとぞ!
5回目(教室、ヤマグチ(年下)、イリヤマ、ライセンの3人がかりで)、いい加減に気づけェエエエエエ!!?
……な? 会社はわかっても、どーゆう風に大変なのかよくわからないんだ……。
また、向こうからは、そうした一切の連絡が来たことはない。
おそらくは、ドクターイリヤマ達を介した、向こうにいる内通者の仕業だろう……な。
普通、一般常識に考えれば、
その向こうの会社から、俺の方に取り次ぎの電話やメール、手紙や封書などが届くはずだ。
それが社会人の一般常識だ。
それがそもそもなかったのだ。
友人・知人を介しての電話やメールもないし、それは家族間においても、同様だ。そうした報告例はない。
……つまり、それがなく。
代わりに、会社の人から、この連中に取り次ぎの電話・メール・人の噂があったというものだ。
概ね、この推察と考察で間違いない。
しかも、会社から、職業安定所の方にも、トライアル雇用上の問題があり、この時、俺の方に報告・連絡・相談・返信すらしていない。
つまり、一般見解的な常識を持ち出さず、正規の手順を踏まずに、自分を介さずにやり取りしていたと思われる。
……個人的な私情が見え隠れしている。……やれやれだ。
その2人が、この教室に入ってくる。
2人の横眼が見据えるのは、席を立ち、歩き出そうとしているヨーシキワーカの姿だった。
2人は何度も、このヨーシキワーカに接触を図っていたが、中々、思った通りに事が運ばなかった。
その為、自分たちの意にかった協力者たちの協力が必要だったからだ。
『あの……あなた達3人はちょっとこっちに来てください! タチバナさん! ヤマグチさん! コバヤシさん!』
『!』『!』『!』
『……ちょっとこちらへ』
その3人の席は、教室の中でも、少し離れていた為、それぞれに反応を示すのだった。
ドクターライセンに呼ばれたその3人は、席を立ち、その先生の元へ歩み寄っていく。
次に声を上げたのは、ドクターイリヤマで、腕を組んだ仁王立ちの姿勢で、首を動かし、俺の動向を伺う。
『……』
『……』
そして、不意にこう声がかかってくるんだ。それも俺の背中に。
『……あいつは、今後、お金を『持ってきそう』だな……! ……そうでなくとも、今後、多くの資格を経て、かってにお金を稼いでくれる!』
それは、ドクターイリヤマの呟きであり、不可解な言葉から始まった。
次にドクターライセンが、こう告げる。
『そこが狙い目ですから、あなた方3人、僕たちに協力しませんか!? もちろん、あなた達にも、分け前を払いますよ!?』
『……そうね。あんなに頭がいいなら、こっちに少しでも譲ってくれてもいいのにね?』
『……決まりですね……フッ』
そのコバヤシさんの、了承と取れる言葉を聞き、笑みを深めるドクターライセン。
続いて、男2人のどちらかが。
『いいなぁ! 俺たちも混ぜてくださいよ!』
『フフッ、もちろんいいですよ、協力者が多いほど分け前が減りますけど……、そっちの方が勝ちやすいですからね!』
『よしっ! こっちのグループに入って良かったぜ! 後から入ったんじゃ、あいつ等と同じで、分け前が減っていくだろうからな……!』
『自分から前にあなたに声をかけたんだから、今回は感謝してくださいよ!』
『そんな事お前に言われんでもわかってるって!』
『……』
そのヤマグチさんの言葉を聞き、
嘆息すタチバナさん。
続いてドクターイリヤマが。
『いいなお前達、あいつにはもちろん、周りにも気づかれないように黙ってろよ!?』
『……』
コクリ
『こんなウマい話、他にないからな……!』

【――ってね! まぁ、バレたら、後が恐いんだけどねぇ……! そうそう、そのコバヤシさんだけど、こうも言っていたらしいわよ!?】
【なんて?】
そう、声をかけてきたのはアユミちゃんだったわ。
だから、あたしはこう言うの。
【『ズルい~~!! あんなに才能を持って!! 少しぐらいあの頭をこっちに分けてくれてもいいのにィ!?』……ってね!】
エメラルティが、サファイアリーが。
【自分の方が、そのヨーシキワーカさんと比べて、卓越した電気の技能と知識を修めているのに……ねぇ。逆に羨ましいわ、そうして声に出せるところが……】
【反対に、そのヨーシキワーカさんには、その卓越した技能がなく、経験すらないというのにね? ……何を言っているんだか……】
最後にクリスティが、こう締める。
【人ぞれぞれの時間の使い方、趣味の違いでしょ? 電気屋が、医者の技術を妬むようなものよ?】
【【【【【言えてる~~】】】】】


★彡
【勝つゲームほど、興ざめするゲームはない……。それはそうした多くの実績を積み、何度も勝利を納めてきたから】
フッ……
とニヤける隣で聞いていた紳士服の男。
『勝つゲームほど、興ざめするゲームはないな……!』
ニヤリ
とまるで自身の勝利を疑わない。
『まさか、サブリミナル効果……潜在意識に働きかけるもので、催眠……そう、『自己暗示』にかかっていたとは、誰もが思うまいよ!?』
『しかも、あの場には、多くの生徒さんがいたのですからね?
だから、何か困った事があったら、先生に取り次ぐか。
そうでない場合は、その生徒間同士のグループメールに取り次げば、どうしようもない問題にハマり、その身を堕としていくという訳です……!』
『……君は、見たところ、その話に詳しいのかね?』
そう語りかけてくる紳士服の男。
それに対して、未来のスバル(俺)は――

――それは、ヨーシキワーカさんが見聞きした、ヨシュディアエさんの言葉だった。
『――何だか大変な事になったわね……』
『……』
『そうだわ! あのドクターイリヤマ達(あの人達)に取り次いでみたらどうかしら!?
……それか……今ヨーシキワーカ君が持ってる、フューチャーウォッチ(それ)にかけてみるか?』
『……?』
『確か――前にあたしが聞いたところによると、前にもそうした事があって、その人達は難を逃れたとか……チラッ』
チラッと自分で言う当たり、演技ぶってるヨシュディアエさんの様子は……見てて怪しく思えた。
誰も一度も勝った事がないのに、
難を逃れたとか……おかしくない?
『……それに頼ってみようよ……? 確か、同じ教室の人達で、そうしたグループメールを作らなかった?
……それにかけてみない……?』
『……』
(何でヨシュディアエさんが、そんな事を知ってるんだろう……?)
怪しいなぁ……。あぁ、なるほどそーゆう事……!?)
『………………』
『………………? 聞こえないのかなぁ? あれぇおかしいなぁ? んっ? 以前は聞こえたはずなのに、急にどうして……!?』
と愚痴ってしまうヨシュディアエさんの様子があったそうな……。
【――結論から先に言うと、無視した】
【明らかに、罠っぽかったからだ】
【それは父の助言の言葉を受けてからも、そうであり。私はあちらに、取次ぎ上の電話やメールの類を、この日以降、一切した事はない――】

その言葉を思い出した未来のスバル(俺)は。
『――だいたい30%ってところでしょうか……!? なにぶん俺(私)も、ある情報筋に伺い、見聞きした程度なので……』
まぁ、その情報ソースは、子供時代の話なんだが……。
(まぁ、クリスティさん達伝いで、そのご本人様が遺した小説を参考にしたものらしいけどね……!?)
それだけは、俺は語らなかった……。
まだ、この時代には存在(な)く、歴史が変わる恐れがあるから、言っては言けないんだ。


★彡
【勝利のカギを握るタカハシ先生】
『――しかし』
『んっ!?』
『あのタカハシ先生という、臨時の講師には誠に困ったものだな……?』
『ええ……』
『……タカハシ先生……!?』
『あぁ、日本人らしく、臨時講師として、設備管理科の先生として特別顧問として呼ばれた先生だ!』
『その先生が何か……!?』
『フッ……』
ニヤリ
と笑みを浮かべる男。
『……こればかりは、さすがに無料(タダ)で教えるわけにもいかないな!』
『……』
スッ……
とその男が、未来のスバルの首から下げているものに、指を指す。
『――それを賭けてみないか?』
『……これをか?』
チャリ
とペンダントの音が鳴る。
『見たところ、ずいぶんと高価な宝石みたいだ……高値で売れそうだな……!』
『……』


★彡
【RPGボードゲームとアストロダイスとウェーブグローバルカード】
――移動中の3人の様子。
その様子が気になって、後をつける人達がチラホラ……。
『……』
『……』
『……』
未来のスバルを連れて、とある遊技場へ道案内する紳士服の男達。
その盤上で、立ち止まると。
『――勝負は、『RPGボードゲーム』で決めよう!! 使うのは、『MMmal社のアストロダイス』と『ウェーブグローバルカード』だッ!!』
『12面体ダイスか……。この感じ、この文字、占いや占星術の類だな!』
『これほど、運を占うゲームは他にあるまい……!』


【――アストロダイスとは】
【占星術の1つで、星座(サイン)・天体(プラネット)・数字(ハウス)の描かれた多面体サイコロを転がすことで占うものだ】
【用意されたダイスには、3種類の色分けがある】
【まず初めに、緑のダイスから、『星座(サイン)】
【これは「牡羊座Aries)」「牡牛座taurus」「双子座Gemini」「蟹座cancer」「獅子座Leo」「乙女座Virgo」】
【「天秤座Libra」「蠍座Scorpius」「射手座Sagittarius」「山羊座Capricornuss」「水瓶座Aquarius」「魚座pisces」を示す12のマークが描かれたものだ】
【次に青のダイスから、『天体』(プラネット)を表し】
【それぞれ「太陽」「月」「水星」「金星」「火星」「木星」「土星」「天王星」「海王星」「冥王星」「ドラゴンヘッド」「ドラゴンテイル」を示す12のマークが描かれている】
【最後に、赤のダイスは、『ハウス』】
【これは、普通に1から12までの数字が描かれている】
【そう、この仕様目的は、それぞれのダイスを振り、西洋占星術における1ハウスから12ハウスを占うものだ】

緑のダイス『星座』(サイン)、それは横道十二宮の星空の輝き、それは属性、支配性、誕生日を司るものだ。
「牡羊座」Aries(アリエス)
旧属性:火  新属性:『風』   支配星:火星  誕生月:3月21日~4月20日生まれ)
「牡牛座」taurus(タウロス)
旧属性:地  新属性:『太陽』  支配星:金星  誕生月:4月21日~5月21日生まれ
「双子座」Gemini(ジェミニ)
旧属性:風  新属性:『雷』   支配星:水星  誕生月:5月22日~6月21日生まれ
「蟹座」cancer(キャンサー)
旧属性:水  新属性:『月』   支配星:月   誕生月:6月22日~7月23日生まれ
「獅子座」Leo(レオ)
旧属性:火  新属性:『火』   支配星:太陽  誕生月:7月24日~8月23日生まれ
「乙女座」Virgo(ヴァルゴ)
旧属性:地  新属性:『金』   支配星:水星  誕生月:8月24日~9月23日生まれ
「天秤座」Libra(リブラ)
旧属性:風  新属性:『地』   支配星:金星  誕生月:9月24日~10月23日生まれ
「蠍座」Scorpius(スコルピウス)
旧属性:水  新属性:『霊』   支配星:冥王星 誕生月:10月24日~11月22日生まれ
「射手座」Sagittarius(サジタリアス)
旧属性:火  新属性:『土』   支配星:木星  誕生月:11月23日~12月22日生まれ
「山羊座」Capricornuss(キャプリコーナス)
旧属性:地 新属性:『木』    支配星:土星  誕生月:12月23日~1月20日生まれ
「水瓶座」Aquarius(アクエリアス)
旧属性:風  新属性:『水』   支配星:天王星 誕生日:1月21日~2月19日生まれ
「魚座」pisces(ピスケス)
旧属性:水  新属性:『氷』   支配星:海王星 誕生月:2月20日~3月20日生まれ
未来の世界では、現在の世界とは違い、占星術に用いている属性は、火・水・地・風の4属性ではなく、
太陽・雷・月・火・金・地・霊・土・木・水・氷・風の12属性となっている。
あくまで、占星術上の属性の取り決めだ。

青のダイス『天体』(プラネット)、それは欲求、象徴、エネルギーを表すものだ。ここでは、太陽から近い順に。
「太陽」
「水星」
「金星」
「地球」「ドラゴンヘッド」
「月」
「火星」
「木星」
「土星」
「天王星」
「海王星」
「冥王星」
「二ビル」「ドラゴンテイル」となる。
なお、ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは、特殊な目なため、出る事事態が希少(レア)
バトル時では、そのターン中に限り、それぞれ「ドラゴンヘッド」は攻撃力2倍。「ドラゴンテイル」ではランダムでバグ……となっている。

赤のダイス『ハウス』(数字)。
それは、フィールド上では、歩数の歩み。
バトル時では、攻撃力などの数値の取り決めなどを執り行う。

『――この3色のアストロダイスで、最も重要なのは『緑のアストロダイス』を把握する事だ……!!』
『んっ!?』
『……まぁわからないだろうな……。
――よしっ! 親切な私が教えてやろう!
緑のアストロダイスには、「各星座の紋様」があしらわれているだろう!?』
『ああ!』
(確かにあるな……)
それを確認する未来のスバル(俺)。
『例えば、レオなら、「火属性」を司り、かつ支配星は「火星」なんだ!
当時、200年前は、レオの支配性は、太陽だったんが……。
現在では、火星という扱いになっている!
これは、占星術上も、その時代の流れに沿って、そうなっているという意味合いのものだ!』
そう、語ってくれた紳士服の男性。
俺は手に持っている緑のアストロダイスを、もう片方の手で掴み、そのレオの文様を確認する。
『……』
確かにあるな。
紳士服の男性の説明は、こう続く。
『そのアストロダイスを、3つ同時に振った時、
その緑のダイスの目が「レオ」で、かつ青のダイスの目が「火星」なら、
レオが火星を支配した事になり、そのバトル中、すべての攻撃力が2倍になる!!』
『へぇ~~……に、2倍ッ!?』
これには俺も驚く。
一般的なカードゲームには、無い仕様だからだ。
(……だが、そうそう、そんな目は揃わない……。
一般的な六面サイコロの確率は、
1個なら6×1=6で6通り。2個なら6×6=36で36通り。3個なら6×6×6=216で216通りとなる。
今その手に持っている、12面体のアストロダイスの確率は……、
1個なら12×1=12で12通り。2個なら12×12=144通り。3個なら12×12×12=1728で1728通りとなるからだ……!!
つまり、必要なのは、144通りの方……! ……まぁ、このバトル中では、そんな奇跡は起こるまい……!)
フッ……
と私は有り得ない話なので、小気味に笑みを浮かべるばかりだ。
『……』
対面の相手は、何を考えているかわからないが、妙に自信満々だった。
まぁ、このゲームに詳しい熟練者だろう。
これには未来のスバル(俺)も。
フ――ッ……
と長嘆の思いで、口から呼気を吐き出すんだった……。
(勝つためには、何らかの奇策がいるな……!)
それが初心者が、熟練者を、打ち負かすための方法なんだ。
当たり前だ。普通にやれば、100回やって、100回とも負けるからだ。

『……さらに赤色のダイスがあるだろ!』
『あぁ、あるな!』
『――これから選ぶキャラクターカード・モンスターカードによっては、様々な効果があり、その数字次第で、技の仕様が変わるんだ!』
『へぇ~……』
キャラクターカードに、モンスターカードか……。
勝負を分ける、重要なカードみたいだな。
『1から12の目があるだろ!』
『……まぁ、バラけているな』
俺は、指で掴んでいる赤のアストロダイスを確認する。
確かに、1から12までの数字が、でたらめに割り振られている。
『当然だ。12面体サイコロの場合、1か所に強い数字ばかり偏ると、ワンサイドゲームになるからだ……!』
『あぁ、なるほど……それでか!?』

【俺は、ワザと初心者のフリをする。これぐらいの事は、当然知っているからだ】
【また、ワザと舐めてかかってもらい、ワザとスキを作る事が狙いだ】

フゥ……
と重い溜息をつく熟練者の紳士服の男性。
『慣れた熟練者同士ほど、ハイスピードバトルになりがちだから、バトルが単調になりやすいんだ……!
その点を考慮して、制作会社側は、キャラクターカードやモンスターカードを印刷する際、
ワザと強い数値の方に、必殺技を当てているんだ!
9・10・11・12の数字がそれだな!』
『……なるほど……必殺技か……』
『各キャラクター・モンスターには、通常攻撃、魔法攻撃・特殊攻撃・効果を使用するか否か……。
そして、さっき言った必殺技などが割り当てられている!
……この運を引き寄せられるかどうかだ!』
『なるほどなるほど……。キャラクターカードにモンスターカードか……!』
『……』
どうやら対面の相手は、見るからに若い青年は、このゲームはまるで初心者らしい。
やれやれ、先達者として、今ばかりは丁寧に教えてやらんといけないな。
それは駆け引き上、後で文句を言われても敵わん。
――となれば、あのレアカード枠しかないな。


★彡
【レアカード】
『――簡単な例を出そうか!?』
私は、盤上に置いてあるデッキケースの中から、2枚のカードを取り出す。
そのキャラクタカードの名は『レグルス』と『輝かしいレグルス』だ。
どちらも、同名カード扱いだが、チと違う。
まぁ、それは、実際に手に取って見てもらうと良くわかる事だが。
『これは……!?』
『キャラクターカードとモンスターカードの中には、通常固体とレア個体が存在するんだ! ……もちろん、強いのはこっちの――』
スッ
と私は、輝かしいカードを上げる。
『――『輝かしいレグルス』だ!』
『……HPと攻撃力が微妙に違うんですね……!?』
『ああ……違うのは何も、HPと攻撃力ばかりじゃない……! それは、必殺技、魔法といったものにも、違いが出てくるからだ……!』
『……そのカードが何か……!?』
『簡単に言えば、この輝かしいカードは、デッキに入れられる枚数が、「1枚だけ」なんだ! デッキとEX(エクストラデッキ)、合わせてな……!』
『1枚だけ……ッ!?』
輝かしいカードは、デッキに1枚だけしか入れられない。
『そして、ほとんど誰もがそれを知っていて、それを活かす方法が……、バトルスタート時のフォーマンセルメンバー時の適用だ!』
『バトルスタート時の、フォーマンセルメンバーの適用……!?』
どーゆう事だ?
その輝かしいカードだけの、速攻効果があるという事か?
『これは、実際に見せた方が早いな……――』

『輝かしいレグルス』
HP:600 MP:3 EP:3 AP:1 属性1:火 属性2:エナジーア 性能:ソード 星座:アンドロメダ座
「素体」→EX進化→GX進化
種族:兵士 効果:
輝かしい速攻☆
1ターン目の自分のスタンバイフェイズ時だけ、効果発動。なお、ポイントカードを必要としない。
デッキから、シシド・スバルと名のついたカード1枚と、
エナジーア変換携帯端末と名のつくカードを1枚選び、手札に加える。
さらに、シシド・スバルと名のつくカードを、どちらか1体、自分フィールド上へ特殊召喚させることができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
その後、デッキをシャフルする。
そして、この特殊召喚されたシシド・スバルと名のつくカード効果を、特別な処理として適用させることができる。
このカードの②③の効果は、自分・相手ターンで数えて、1ターンに1度しか使用できない。
①自分・相手フィールド上にシシド・スバルの名がついたカードがある時、効果発動。
このカードを手札からフィールド上に特殊召喚することができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
このカードが特殊召喚に成功した時、デッキ・墓地・ロストゾーンから、
エナジーア変換の名のついたカードを1枚選び、手札に加える事ができる。
②このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを1枚取り除くことで、効果発動。
自分・相手フィールド上のカード1枚を選び、そのカードを破壊する。
③このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを1枚取り除くことで、効果発動。
自分のデッキの中から、カード1枚を選び、そのカードを墓地に送る。
*超必殺技:『超・エナジーア変換』
緑のダイス:獅子座 青のダイス:火星 赤のダイス:4~12 消費:EP×3
このカードにオーバーラップされているエナジーアポイントを、3枚取り除くことで、効果発動。
手札・フィールド・墓地・ロストゾーンから除外されているこのカードを含む、スバル・L・レグルスをゲームから除外することで、
EXデッキからGXキャラをフィールド上に特殊召喚することができる。
この特殊召喚は無効化されず、破壊されない。
*必殺技:『爆華炎上爪』
属性:火  性能:ソード  攻撃力:敵全体に500ダメージ
緑のダイス:獅子座 青のダイス:火星 赤のダイス:4~12 消費:EP-2
このカードにオーバーラッパされているエナジーアポイントを取り除くことで、効果発動。
*必殺技2:『体力を奪う炎』
属性:火 状態異常:毎ターン10ダメージ
緑のダイス:獅子座 青のダイス:火星 消費EP-1
このカードにオーバーラッパされているマジックポイントを取り除くことで、効果発動。
自分・相手フィールド上のキャラ・モンスター1体を対象とし、そのカードにオーバラップされているポイントカードと、装備カードを破壊する。
さらに火傷状態を付与させる。
なお、状態異常は複合作用として適用処理させることができる。
*通常攻撃:『飛来炎上爪』
属性:火 性能:ソード 攻撃力:敵1体に100ダメージ×+@×連発ヒット
緑のダイス:なし 青のダイス:なし 赤のダイス:1~3で1ヒット、赤4~6で2ヒット、赤7~9で3ヒット、赤10~12で4連続ヒット
*弱点
属性:水・地・土・マジック・エナジーア×2倍
性能:ブレイク
*一時撤退
このカードにオーバラップされているエナジーアポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:100 守備力100

『――この輝かしい速攻というのが、最初のスタンバイフェイズ時だけしか使用できないから、輝く速攻カードとも言われているんだ!
デッキに1枚しか、入れらない理由だな……!』
『なるほど、だから、1枚だけなのか……。そのタイミングを逃すから……』
スッ……
と私は、見せるだけのつもりだったカードを、デッキケースの中に戻す。
簡単な説明が終えたからだ。
次に大事になってくるのは、弱点だろうな。
『――まぁ、次に大事なってくるのは、キャラクターカード・モンスターカードにおける、弱点だ!』
『弱点……』
『あぁ……。例えば、先ほど見せたレグルスのカードには……、水・地・土・マジック・エナジーアが2倍のダメージ表記があっただろ!?』
『ええ……。弱点属性と性能の両方がありましたね……!?』
それを聞き頷き得る紳士服の男性。
『……ちょっと気になったんですけど……』
『んっ!?』
『なぜ、星座(サイン)カードには、その弱点属性がないんですか?』
それはもっともな疑問だった。
紳士服の男性は、こう答える。
『現在わかっているだけで、12星座ではなく、88星座あるからだ!
その88星座すべてに属性をつけるとしたら……、現在(いま)のような感じじゃなく、4属性が関の山だろうな……!』
【――その言葉を聞き、未来のスバルは、盤上のボードに目を落とす】
『……』
【そこにあったのは、このゲームで使われる『属性の相性表』であった】
【それには、4属性や12属性に留まらず、現在わかっているだけで、16属性ありそうだ】
【そして、その下の欄に書かれていたものの中に――】
『……なぜ? 『アカーシャ』の名がここに……?』
『!?』
【それは、不意に口を衝いて出た言葉だった】
【怪訝(けげん)に思う男がそこにいた……】
『……』
『……』
【黙ったままの2人】
『………………』
【その沈黙を破るかのように、未来のスバルが手に取ったものは、緑のアストロダイスだった――】
『――宇宙に出れば、88星座だけじゃありませんよ?』
『……』
『これは、見方を変えればわかる事なんですが、この地球から観測できるエリアに限って言えば、88星座に留まるからです』
『……』
『これは、先の目なんですが、その観測エリアを、アンドロメダ星やアクアリウス星、プレアデス星に置けば、その観測エリアは、信じられないほど拡大しますよ』
【簡単な道理だ】
【あくまで地球から観測できる範囲(エリア)は、88星座に留まる】
【その見方を変えれば、自ずとそれ以上の発見に繋がるからだ】
『……』
未来のスバルは、コトッ、と緑のアストロダイスを盤上に置き。次に手に取ったのは、青のアストロダイスだった。
【気になるのは、ここの2つ目……。ドラゴンヘッドとドラゴンテイルだ!! ……その意味は――】
(――蛇使い座………………)
【ここでちょっと違えるスバル。次に口を開いて出た言葉は――】
『――まぁ、確かに、88星座それぞれに弱点属性をつけていたら……キリがないですからね……』
コクン
『うむ!』
と力強く頷き得る紳士服の男性。
【男の意にかった言葉だった】
(杞憂だッたか……)
【怪訝に思っていた男だったが、このスバルのやり取りを通じて――】
(――やはり、俺の思い過ごしだな……)
コトッ……
【ただの一抹の疑念の払拭……になるのだった……――】
と未来のスバルは、緑のアストロダイスを盤上に置いたのだった。

『……あっそうだ! この弱点の属性と性能をつけば、4倍のダメージを与える事ができるんですよね!?』
『ああ、その通りだ! だが、受ける側が、多くの弱点を持っている場合、8倍ものダメージを受ける事が、稀にある!』
『8ィ!?』
『で、さっきのドラゴンヘッドと組み合わせれば、16倍のダメージを叩き出して、
雑魚が大物を倒す、ジャイアントキリングをすることが、ままあるな!』
『ブッ壊れているなぁ~……!?』
『そうでもないさ……!』
フッ……
と笑みを浮かべる紳士服の男。
(……それは必要な処置だからだ! 弱い奴が強い奴を倒す……を倒す、そんな稀な珍劇(ちんげき)があってもいいだろ?)
と私は心の中だけで呟く。
この青年に、わざわざ語る必要もあるまいて。
『……』
何なのだろう? 今の間は……?
紳士服の男の説明は、こう続く。
『魔法カードの中には、急所(クリティカルヒット)にあたるカードもあって、最大で32倍ものダメージを叩き出す!!』
『……3、32倍~~~~~ィ!?』
『『巨大化』のカードがあれば、さらに倍でドーン! 64倍だ!!』
『ヒェエエエエエ……。雑魚とはいえ、侮れなくなるんですね……!?』
『あぁ……。攻撃力10000万台が、あっさり雑魚にやられることもある……!
強いは弱い……! 弱いは強い……! そんなゲームの諺も生まれたぐらいだ!
力ばかりに目が先走ると、思わぬ『アマノジャク』をもらう事になるぞ!?』
『……』
(アマノジャクか……。そんな効果モンスターや、魔法、トラップなんかがあるという事か……!?)
フムゥ……
と未来のスバル(俺)は勝手に、それを考察した。


★彡
【レアカードの中には、ダイスの目が変わるものもある!?】
『……他には?』
『アストロダイス、専用のアイテムもいくつかあって……。『セカンドチャンス・アストロダイス』という希少(レア)カードもある!!
混同しないように、今ここで注意しておくが……。
緑と青のアストロダイスは、2度目のチャンスに依存し、かつ、赤いダイスは、その合計値で決める!! ……つまり――』
『必殺技が決まりやすい……!!』
フッ……
さすがに簡単過ぎたか?
『御明察!! 大当たりだ!!』
『……』
顔を正面の相手に向ける俺。
よしっ、だいたいわかってきたぞ。
自分の口に出して、今一度確認してみる。
『緑のダイスが星座(サイン)を表し!
青のダイスが天体(プラネット)を表す!
そして、赤のダイス(ハウス)が、歩数や攻撃力などを取り決める数値か……!』
『……フッ、概ね理解したようだな……!」
『うん!』
頷き得る俺。
これから、デュエルするのが楽しみになってきた。


★彡
【フォーマンセルメンバ】
『――では、次に『フォーマンセルメンバー』のキャラクターを取り決めよう! このゲームでは最重要な部分だ!!』
ヴーーン……
【宙に浮かぶ窓、エアディスプレイ画面に表示されていたのは、2種類のキャラクターだった】
【可愛らしい小さき生き物、Lをテーマにしたものと】
【背景に巨大な脳があり、8体のボスを従える、身体をサイボーグ化させた研究者】
それは、映画版用のキャラクターだった。
そして、どちらかのデッキを選択するかのように、その画面の見開き下に、『どっちにする?』というアイコンが表示されるのだった。
→『未知のエナジーア生命体、オーパーツL』か『20XX年の研究者の妄執ディミトリ』
『――さすがに君は、このゲームに挑むための、構築済みデッキ(ストラクチャーデッキ)は持ち合わせていないのだろう!?』
『……! ――ええ……』
俺は真顔で驚いていたが……。――すぐに平静さを取り戻し、そう答えたんだった。
男はこう語る。
『……だと思ったよ……。まぁ、ここに自前のオリジナルデッキを持ち込んでくるような酔狂な奴は、とんと珍しいしな!』
『……』
『仕方ないから、君に私も合わせよう……これでルール上は『五分五分』fifty-fifty(フィフティフィフティ)だ! 負けても恨みっこなしだぞ!?』
『……』
そう、言われては仕方ない。
『……』
俺は気持ちを切り替えて、どちらかを選択するのだった。
もちろん、これしかない。
俺は、エアディスプレイ画面をタッチし、俺が選んだストラクチャーデッキが表示される。


★彡
【素体カードの進化例】
『――俺が選んだのは――『未知のエナジーア生命体 オーパーツのL』だ!!』
『なら、私は残った方の『ディミトリ』だな……! クククッ、残念だったな、こっちの方が強い……!!』
『……』
勝負は、やってみなきゃわからんだろ?
『そうそう、素体カードの説明がまだだったな!?』
『……素体カード?』
パチンッ
と紳士服の男性が指を鳴らすと、
エアディスプレイ画面が移り変わり、その『素体カード』の説明が行われる。
『現在のところ、素体カードには2種類ある!
そう、キャラクターカードとモンスターカードの2種類だ』
パッ
とエアディスプレイ画面が移り変わり、キャラクターカードとモンスタカードの定義の違いを教えてくれる。
『初めに、キャラクターカードから、説明しよう!』
パッ
とエアディスプレイ画面の見開き表示が変わり、左手側のキャラクターカードが明るく、右手側のモンスターカード画面が暗くなるのだった。
『キャラクターカードには、大きく分けて、2種類の進化先がある!
もっとも一般的な『職業昇格(ジョブアップ)』と『エナジーア変換』だったか進化だったか……、まぁ上のクラスがある!』
(変換だよ……肉体を分解されて、エナジーア体に再構築されるんだから……!)
俺はここでの発言は控えた。
分解とか再構築とか、もう激ヤバな表現だからだ。普通の人なら、1発で即あの世行きだ。
エアディスプレイ画面に、素体の進化先が表示される。それぞれ、ジョブアップとエナジーア変換だ。
『ジョブアップの仕方は、簡単だ!
例えば、ファンケル(少年期)のカードなら、その種族が「魔法拳士(まほうけんし)」に当たる。
そのファンケル(少年期)のカードに、マジックポイントをオーバラップし、そのカードを取り除くことで効果発動!
説明に従い、墓地にある種族が「プロトニア」のカードを、ゲームから除外した時、
自分のデッキ・手札から、ファンケル(プロトニア)を特殊召喚できる!
魔法拳士からプロトニアへ昇格(ランクアップ)した訳だな……!
こーゆうカードは他にあって、色々と強力なカードへ昇格(ランクアップ)していく……!!
つまり、同じデッキの中に「少年期」とその後の「過程」を、2枚を入れる事になるわけだ……!!
……どうだわかりやすいだろ!?』
『……』
確かに、わかりやすい説明だった。
だが……。
『もしも、先にその過程のカードがきてしまった場合は……?』
『それは、調子がいい時と比べたら、手札マイナス1の損だな……!』
『やっぱり……』
『……それも運だ……』
その運が、このゲームの勝敗を左右する。
未来のスバルは、こう提唱する。
『カードがかさばりやすいから、そうした手札事故が起こる……。
制作会社側はそうした事を考慮して、予め、デッキ・手札からでも、そのカードを特殊召喚できるよう考えている訳か……。
無駄がないな……!」
うん、良くできてる構造(メカニズム)だ!』
と言い認める未来のスバル(俺)
紳士服の男の説明は、こう続く。
『次に、エナジーア変換は、魔法カードに当たり、
キャラカード2枚、マジックカード1枚が必要になってくる……!』
『計3枚必要なわけか……。
つまり、さっきとは違い、条件的に厳しくなっているな……』
う~ん……
と考える未来のスバル(俺)。続く言葉は……。
『……向こうは場に、カードが1枚あれば、そうしたことができるけど……。
こっちは、場にカードが2枚必要になってくる……!』
それが俺の考察だ。
『……質問ですが、手札からマジックカードを発動し、手札・場を介して、エナジーア変換できますか!?』
『基本原則無理だな……!』
『やっぱり……』
条件はいろいろと厳しそうだ……。
『……』
その未来のスバル(青年)の様子を見て、嘆息す紳士服の男は、こう語る。
『……これは、(現実(リアルティ)で考えてみるとわかりやすい事だが……』
『!』
『場にいるということは、そうした現場に立ち会っている状況だ!
手札にあるという事は、もしかしたらどこかにいて、そうした現場にいないかもしれない……。
そうだなぁ……。……特別なカード……そう、『プティル』なら、そうした問題も解決できるんだが……』
『プティル……かぁ……。まぁ、確かに……』
笑みを零す俺。
あいつは確かに特殊過ぎる。ここではそうした話題に触れない。
キャラカードのジョブアップ・エナジーア変換の大まかな説明が終わり。
次にモンスターカードの説明に移る。
『――では次に、モンスターカードの、2種類の進化先だ!』
パッ
と今度は、エアディスプレイ画面の見開き表示が変わり、左手側のキャラクターカードが暗く、右手側のモンスターカード画面が明るくなるのだった。
『モンスターカードは、キャラカードとは違い、同名カード扱いとして、デッキに3枚入れる事ができる!
そうした事を踏まえて、このルールが生まれた。
そう、同名カードが場にある時、手札から、そのカードの下に重ねる事で、オーバラップし、容易に『種族進化(トライブアップ)』できる!』
『下に重ねる……!? 種族進化(トライブアップ)……!?』
パッ
とエアディスプレイ画面が移り変わり、モンスターカードの下に、同名カードを置く行為が行われる。
その時だった、不意にも声が出てしまったのは。
『あっ! ヴァツラクロコヴィオスのお肉だぁ!!』
『ッ!?』
『あっ……』
しまった感を覚える未来のスバル。慌てて口元を塞ぐ。
まさかこんなところで、ヴァツラクロコヴィオスが出てくるなんて……それ? 反則じゃない?
『……このカードを知っているのか!?』
『え、ええ……』
『お肉か……、……まぁ、確かにライフポイント回復のお肉のカードもあるし……』
『へ……?』
『まさか……、……このカードだったとは……』
『……』
カード化されるほど『ヴァツラクロコヴィオスのお肉』は有名らしい……。
制作したのは誰だよ?
『………………』
『………………』
両者の間で、何とも言えない空気が流れ……。
『続きを言うぞ……?』
『はい……』
『このヴァツラクロコヴィオスのお肉……ッッ』
『ッッ』
『……は、下に重ねる事で、簡単に『種族進化(トライブアップ)』できる!
進化先は純粋な進化タイプと、火・氷・雷といった属性持ちの進化先系統に分かれる……!
このゲームでは、モンスターカードと言えど、同名カードは3枚までしか入れられないので、
上手く蘇生カードを使うなり、コントロール系カードで奪うなどして、
戦況を整えないといけない!」
「蘇生やコントロール系もあるのか……』
フムゥ……
と俺は考える。
これは戦略性が大きく問われるな。
『……他には?』
『モンスターカードの下に重ねる行為(オーバラップ)には、『職業昇格(ジョブアップ)』と『合体強化(ユニオンアップ)』があってだな……。
……これを、テーマにしているんだ!』
パッ
とエアディスプレイ画面が移り変わり、静止軌道ステーションが映し出される。
『――静止軌道ステーションには、
ある特定の周期でやってくる、メンテナンス用のアネックサステーションがあり、この2つがドッキングすることがある……!!』
パッ
とステーション同士が、ガシンッと接合する。
これなら、静止軌道ステーションから、アネックサステーションへ、行き来することができそうだ。
『この2つのステーション内には、ぞれぞれ、似通った巡回側ロボットが配備されている!
そう――剣と盾を持ち攻撃してくる初期型ロボットの『ツルキロボ』と!
槍を持ち攻撃してくる後継機モデルの『ウイッシュロボ』!
さらに、弓矢を持ち遠距離から攻撃してくるタイプの『ベッタロボ』!
そして! 当たればタダじゃ済まない、大槌を持ち攻撃してくる後継機モデルの『ホースロボ』!
この4体が合体強化(ユニオン強化)する様を……、……どうした?』

『……ツルキ……ウィッシュ……』

【――それは日本人女性のツルキさんと、アメリカ人女性のウィッシュさんを、連想させるものだった】
【俺は以前、その2人と出会った事があるからだ……】
・アメリカの縁起物、『願いの骨』Wish Bone(ウィッシュボーン)。
それは一羽の鳥から1つだけ取れるもので、胸と首の間に位置し、見た目的にY字型を連想させる骨。鳥の鎖骨。
欧米では、七面鳥を食べる際に、ウィッシュボーンが見つかったら『幸運』を意味し。
また、願いをかけた2人が引っ張り合って、手元に長い骨が残った人の『夢が叶う』という言い伝えがある。
・日本の縁起物、『鶴亀(つるき)』。
鶴は千年、亀は万年、という言葉があるくらい長寿の象徴とされている。
鶴は夫婦仲が良く、生涯連れ添い。亀は、知恵と長寿を象徴する生き物とされています。
・ヨーロッパの縁起物、『蹄鉄(ていてつ)』Horseshoes(ホースシューズ)。
欧州では魔除けの力があるとされていて、『下向きの馬の蹄鉄』には、不運を落とすと考えられており、厄除けの意味がある。
どうやらこれは、形が十字架を表しているところからきているようだ。
また、広く一般的に知られているのは、『上向きの馬の蹄鉄(ていてつ)』の方であり、
U字の窪みのところに幸運が溜まると考えられているからです。
・フランスの縁起物、『テントウムシ』Bete a bon dieu(ベッタ ア ボン ディユー)。
テントウムシは天道虫と書くように、フランスでも、神の虫として信仰されている。
これはテントウムシが、お天道様に向かって飛び立っていく様から名付けられており、神の使いとして象徴されているからだ。
また、幸運のシンボルでもあり、自分の体に止まったテントウムシの星の数を見ぃ、星の数の月間、幸運が訪れ続くとされているからです。
これは、宇宙エレベーターを建造する際、これに関わった人達に感謝の意を込めて、その名前が当てられているからです。
そして、宇宙エレベーター加盟国は、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本。
ここに新たにフランスなどが関わってくるようだ。


★彡
【機密事項(トップファイル)、ウィッシュ】
『……』
未来のスバルは、過去の時代の人達を助け、今は水辺に着ていた。
そこで俺は、『四葉のクローバー』を見つけた。
俺はそこにしゃがみ込み、その四葉のクローバーを摘み取る。
『……』
立ち上がる俺。
そのクローバーを見ぃ、こう物思いにふける。
その時だった、後ろから彼女の声がかかってきたのは――
『――……それ……あたしに下さる……!?』
『!』
振り返った先にいたのは、アメリカ人女性のウィッシュさんだった。
彼女の容姿は、どことなくクリスティさんに似ていて、もしかしたら……彼女達のご先祖様かもしれない。


★彡
『――………………ハッ! ……何でもない』
『……』
今のは感傷だ。俺は気持ちを切り替える。
『……話は、ちゃんと聞いてたか?』
『あぁ、『合体強化(ユニオンアップ)』……つまりは、オーバラップするんだろ?』
『フッ……』
パチンッ
わかっていたか……。
私が指を鳴らすと、そのオーバラップが付いたモンスターカードごと墓地に送り、EXデッキから、進化モンスターを出すものだった。
だが、こう合体しているのだ。
『んっ……!?』
『そう! この『ツルキロボ』たちは特別で、場に『ツルキ』『ウィッシュ』『ベッタ』『ホース』が揃う事で、合体強化(ユニオンアップ)できるんだ!
しかも、モンスター扱いだから、キャラクターカードとは違い、複数枚同名カードを入れる事ができる!!』
『つまり、キャラクターカードは原則1枚限りで、そのモンスターカードは、デッキに3枚まで入れられるという訳か!』
『そうだ!』
(なるほどな……)
と俺は概ね理解してきた。
条件が厳しいのは、エナジーア変換。
次に厳しいのが、ツルキ達ロボットの合体強化(ユニオンアップ)。
次に厳しいのが、ファンケル(魔法拳士)からファンケル(プロトニア)への職業昇格(ジョブアップ)。
最後に、モンスターカードの種族進化(トライブアップ)といった具合だ。



【未来のスバル→トヨボシ選手!? トヨボシVSアストルVSAIナビ:ボード】
『――よしっ! だいたいの説明が済んだな! ……ボード頼む!』
ヴーン……
と盤上から、ホログラム映像のAIナビの虚像が現れた。
彼の名が、ボードだ。
『――バトル進行上の審判は、私、ボードが務めさせていただきます!』
『よろしく!』
『公平にな!』
ボードに声をかけるスバルに紳士服の男性。
『こちらこそ! 公平にジャッジしますよ!』
と告げるAIナビ:ボード。
勝負は勝負だ。
『――では、両者、位置についてください』
『……』
『……』
両者位置につく、スバルに、紳士服の男性。
『では、対戦前に、両者お名前を!』
『豊星(とよぼし)!』
『アストルだ!』

【豊星(とよぼし)……それが未来のスバルの名前だった。本名か、偽名かは一切不明……】

『トヨボシ……? 日本人か?』
『……まぁな』
俺は深くは語らない……。
『……アストルさんって言うのか?』
『あぁ!』
『……』
俺は、首から下げているペンダントを掴む。
『……』
そう、それが賭けの戦利品だ。
(この勝負、負けられない……!!)
失う訳にもいかないからだ。
『――では、両選手! デッキからフィールド上にフォーマンセルメンバーを並べてください!』
『……』
『……』
俺たち、私たちは、デッキから4体のキャラ・モンスターカードを選び、フィールド上にフォーマンセルメンバーを並べる。

スバルサイド
キャラ・モンスターカードゾーン:L、アユミ、クリスティ、シシド。
EXカードゾーン:
EXカードゾーン:アンタレス
キャラ・モンスターカードゾーン:ディミトリ、ツルキロボ、ウィッシュロボ。
アストルサイド

私は、そのトヨボシが選んだ面子を見据える。
『ホォウ! 中々悪くないな……!』
『……』
未来のスバルは、EXカードゾーンにあるアンタレスを見詰める。
(……アカーシャ……なぜここに……!?)
不意に思った俺は、気付いていないような仕草で、こう問いかける。
『……このエクストラカードゾーンにあるカードは?』
『あぁ、さすがに気づいたか……!? そのカードはEXカード』
『……』
『通常、フォーマンセルメンバーの場合は、キャラ・モンスターカードゾーンに4体置くだろ?』
『あぁ』
『1体召喚・特殊召喚するだけで、そのモンスターカードゾーンがすべて埋まり、それ以上召喚できなくなる……! 最大5か所までなんだ!』
『6か所あるようだが……?』
『そう、そこがEXカードゾーン! 君のデッキで言えば、エルスの特殊召喚エリアはそこだ!』
『……ズルじゃないのか?』
そこへ口を挟んできたのは、AIナビ:ボードであった。
『……いいえ!』
『!』
『……』
『その特別な個体は、アカーシャ―なので、通常固体とは大きく差異になります!』
『エクストラカードゾーンは、エクストラデッキからの特殊召喚だけじゃないのか!? 通常デッキからでも、召喚・特殊召喚できるのか!?』
『それがアカーシャたる所以です。
そのカードには、こう記載書きがあります……『異次元漂流者(ストランディング)』……と!』
『……確認させてもらっても?』
『ああ、構いませんよ、フフフフ』

『アネックサ・アンタレス・アカーシャ』
HP:300 MP:3 EP:3 AP:5 属性1:アカーシャ 属性2:なし 性能:なし 星座:アネックサステーション
「素体」→合体強化(ユニオンアップ)→超・合体強化(スーパー・ユニオンアップ)
種族:勇者 効果:
勇者カード・星王カードの共通効果。
致命傷のダメージを受けてもダメージ1で耐える。このカードが墓地に送られた時、ゲームに敗北する。
①このカードにオーバラップされているアカーシャ―ポイントを1枚取り除いて、効果発動。
手札・フィールド上にある、ツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボ・ホースロボを、このカードにオーバーラップさせる。
このカードを含む、ツルキロボ・ウィッシュロボ・ベッタロボ・ホースロボをロストゾーンへ送り。
EXデッキから、アネックサ・オブ・ガーディアンを特殊召喚させる。
②このカードにオーバーラップされているアーカーシャポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
相手フィールド上のキャラ・モンスターカードを1体を対象とし、ロストゾーンへ送る。
③相手プレイヤーが、カード効果を発動した時、このカードにオーバーラップされているアーカーシャポイントを、1枚取り除くことで、効果発動。
そのカードの効果を無効化にし、破壊する。
④このターンのエンドフェイズ時、自分の墓地にあるアーカーシャポイントを、このカードにオーバーラップできる。
その最大枚数は5枚まで。
*超必殺技:なし
*必殺技:なし
*魔法:なし
*通常攻撃:なし
『異次元漂流者』Stranding(ストランディング)=英語翻訳
『異次元漂流者』Echouage(イッシュアージュ)=フランス語翻訳
その経緯は謎だが、ディミトリに飼われている謎の生物。
ディミトリによる魔改造を受け、異形の姿となっている。
アカーシャ―由来らしいが、その詳細は謎に包まれている。
*弱点
属性:霊・エナジーア・アカーシャ
性能:なし
*一時撤退
このカードにオーバラップされているマジックポイントカードを1枚取り除くことで、効果発動。
このカードを手札に加える。
攻撃力:0 守備力:0

(……なぜ!? ここの奴等がアカーシャ―を知ってるんだ……!?
それに、これはフランス語じゃないのか……!?
Echouage(イッシュアージュ)……。age……アージュ……。英語読みに翻訳すれば、age……でエイジ……。時代を現す言葉になる。
奴等の残した暗号か……?
じゃあ、このEchouは……。英語読みに翻訳すれば、Echo……でエコー……。反響、ソナー、感知、探知……。
もっと読み進めろ!! 何かあるだろ!? フランスに戻れ!
『Echou……er……』
(er!! それだ!! Echouer(イッシュウエル)ときて……そのつづりで、失敗を意味する!! どーゆうことだ!?)
『う~ん……』
(聞き込んだ情報によれば、この店に顔を出す少女は、ドイツ人のハズ……!?
……これは何かあるな……。
……後でじっくり調べてみる必要がある……!)
コクリ
と頷き得る俺。
『……わかった。
……失礼しました……、どうか続きをしましょう!』
俺は丁重な応対を心掛ける。
もしかしたら、ここで、あいつ等の尻尾を掴めるかもしれない
『……』
『……』
そのモロボシ選手の返事を聞く、アストルにAIナビ:ボード。
アストル選手は、小気味に頷きつつ、盤上の先に見える対戦を相手を見詰め――
(――クククッ、バカな奴め……)
ニヤニヤ
と薄ら悪い笑みを浮かべる紳士服の男。
(目の前の若い男は、少なくともこのゲームを知らない……。
そのルールすら、基本ルールぐらいしか知らない。
なら、そのルールを知っている私が、何も教えなければ、私有利に事が運び、勝利の女神は私に微笑むのだ。……悪く思うなよ!?)
『……』
俺はようやく掴んだ手掛かりを、逃すわけにもいかなかった。
真剣にこのゲームに望む。

【――このキャラクターの取り決めが、どう勝敗に大きく関わってくるのか……!?】
【この時、未来のスバルは知らなかった……】

『――では、デッキをシャフル&カットしてください』
シャッ、シャッ
シャッ、シャッ
トヨボシ、アストル選手は、お互いのデッキをシャフルする。
『不正がないように、そのシャフルしたそのデッキを、対面の相手に、もう一度切らせてください』
『!』
『……フッ』
顔を上げる俺。
対面のアストル選手は、鼻で笑い。
AIナビ:ボードの意見を買うように、俺たちは、私たちは、切ったばかりのデッキを交換し、
相手方に、もう一度切ってもらう。もちろん、不正を働かないようにするための予備処置だ。
シャッ、シャッ
シャッ、シャッ
良く切り、それを持ち主のところへ、ドンッ、ドンッと置く。
『――では、両選手! デッキからカードを6枚ドローしてください』
『……』
『……』
俺、私は、デッキからカードを6枚引く。
アストル(私)は自分の手札を見て。
(……いい手札だ!)
だと、勝ちを確信する。
私は顔を上げて、自身の提案を口にする。
『――ターン数制限は、最短の『3ターン』としよう!! ……異論はないな!?』
『ああ!!』
『この勝負、どちらに『ダイスの目』『時の運』が転がり、引き寄せられたか、否かだ!!』
(この勝負、決して負けられない――!!)
ギュッ
と俺は、首から下げているペンダントを力強くつかむ。
そして、願を賭けるかのように。
(頼んだぞ! お前達!)
それはフォーマンセルメンバーに、運命を委ねるのだった。
『ジャッチはこの私、AIナビのボードが預かります! 最短のターン数3ターンを承認!!
冒険の舞台は、『魔物に奪われた土地を取り返せ』です!!
このフィールドのボスは、どこかに隠れていて、ある条件を満たすと出現します!!』
『……』
『……』
『……もうおわかりですね!? 先にそのボスを倒した方の勝利です!!』
『……』
『……』
『――では、両者、位置について、ダイスロールをお願いします!』
『『ダイスロール!!』』


TO BE CONTINUD……

しおり