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第33話「絶滅種観覧」

シーラカンス……古生代デボン紀に出現した魚である。体長は1~2mと非常に大きい。そんなシーラカンスだが今から約6550万年前(中生代白亜紀末)に大量絶滅してしまい、それ以降姿を見る事は不可能となっていた。しかし今から15年前の2028年に日本魚類学会が過去に発掘されたシーラカンスの化石から採取された遺伝子情報を元に人工的に複数のシーラカンスの稚魚を作る事に成功。それから5年経った2033年に成長した1匹が、ここアクア水族館に展示される事となったのだ。

「うお~……これがシーラカンスか~……結構デカイな」

「オーラを感じるね~……」

巨大な水槽の中で泳ぐシーラカンスを心を奪われた様な表情で眺めていた焔火と麗水。そしてここで麗水が半ニヤケ顔で焔火にある事を尋ねる。

「ねぇ、このシーラカンスをしゃぶしゃぶにして食いてぇ~とか塩焼きにして食いてぇ~とかって思う?」

彼女の問いに焔火は笑みを浮かべた。

「ハハハッ、まさか、俺今腹一杯だし、ていうかシーラカンスの肉ってマトモに食えたもんじゃないぜ?なぜならシーラカンスの肉には油、尿素、ワックスエステルといった化合物があって人間の消化能力じゃ消化できない物質が多く含まれてるんだよ、まぁ……俺は消化能力最強だから余裕に食せるだろうが普通の人が食ったら体調崩す事ほぼ間違いなしだろうな」

「へぇ~、そうなんだ~、ていうか随分詳しいね」

「ああ、数年前に生き物にハマって大量の生物図鑑を読み漁ってた時期があってな、そんでその時に読んだある図鑑の中に書かれていたシーラカンスの記述を思い出したんだよ」

「ふ~ん……生き物にハマってたなんて……なんか意外だね~」

「え?そう?」

「うん、だって年中喧嘩やギャンブルや女の事ばっか考えてるイメージだったから」

「おいおい……どんなイメージだよ……俺はDQNか」

麗水の発言に焔火は少ししょげてしまった。

「ハハハッ!冗談だって冗談!そんなしょげないでよ!」

そう言いながら麗水は焔火の背中を軽くポンポンと叩いた。

「ねぇ焔火、次はメガロドン見に行こうよ」

「お~、いいよ」

「よ~し!それじゃあレッツゴー!それじゃあバイバ~イ、シーラちゃん」

「さよならシーラさん……どうか死なないで……」

2人はシーラカンスに別れを告げるとメガロドンの展示されている場所へと向かっていった。

「うお~……これがメガロドンか……」

「でっか~……否、でかすぎる……」

2人は巨大な水槽の中を優雅に泳ぐ巨大なメガロドンを目を皿の様にさせて眺めていた。

メガロドン……約2300万年前から360万年前の前期中新世から鮮新世にかけて生息していた絶滅種のサメである。メガロドンは、史上最大級の捕食者魚類とされているが、メガロドンの大きさのほとんどは歯から推定されているなど断片的な遺骸からしか知られておらず、その姿や最大のサイズは不明である。ホホジロザメ、ジンベエザメ、ウバザメ、シロワニのどれに似ているのか、科学者によって意見が分かれている。
全長は最大個体の推定値で最大10メートル、約13メートル、約15メートル、またはそれ以上など変動している。

※引用元:「メガロドン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2023年8月25日 (金) 14:12 UTC URL:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/メガロドン#:~:text=メガロドン(英:Megalodon、学名,種のサメである。

ちなみにこのメガロドンも先程のシーラカンス同様、日本魚類学会が2028年に化石から採取された遺伝子情報を元に複数の稚魚を作る事に成功させ、2033年に成長した1匹がこの水族館に展示される事となったのである。

「なぁ麗水、コイツはシーラカンスと違って食えると思うぜ」

「ああ~……サメって結構料理に使われてるもんね~……かまぼことか……」

「ああ、かまぼこっていいよな~……安くて美味くて……」

「ね~……かまぼこっていいよね~……安くて美味くて……」

「ちなみにかまぼこの発祥の地は生田の森って場所らしいぜ」

「もっと言えば発案者は神功皇后って人らしいよ……って何の話これ?」

「ああ……何の話だろうな」

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