第29話 新しい獲物?
魔法はイメージ!ふむふむ。色々出来そうで嬉しいわ!
しかも、どうやらかわいいお仲間も出来るみたいだし。楽しみだわ♪
『うふふふふ♪』
『何を考えているか手に取るように分かるのぉ』
何かしら?天界樹様?いいじゅい?かわいいお仲間が出来るのよ?うふふふふ
『⋯は、ははは。それにしてもすごいですな。我々エルフも魔法は得意な方ですが、あのように一瞬で魔法を習得などは出来ませぬ』
〖普通はそうよ⋯あら、そう言えば貴方は、無詠唱の方には驚かないのね?〗
魔神様がエルフさんの言葉に引っかかったようです。
この世界は詠唱が当たり前らしいのだけど、魔神様曰く
〖ばっかじゃないの?カッコつけるためだけにどんどん長くして、挙句、下手くそなのよ?だいたいあんな詠唱唱えてる内に殺られるわよ〗
ごもっともよね。私もあんな恥ずかしいだけの詠唱はゴメンだわ。
『詠唱?ああ、あんなものは後付けの邪道ですね。魔法はイメージ、それから私たちの場合は精霊たちとの信頼関係です。若い内にイメージしやすいように魔法の名を唱える位はしますが、慣れればそれも必要ありません。特に私たちは隠れながら暮らしていましたから、声を出して魔法を使うなど、見つけてくれと言っている様なものですからね』
〖うんうん。流石ね。それが魔法本来の力よ。やっぱり見どころがあるわね〗
『あ、ありがとうございます』すっ
あらあらまあまあ、魔神様、エルフさんのこと気に入ったのね。嬉しそうだわ。それにしても、エルフさんはさっきから頭を下げてばかりね。
〖んふふ。気に入ったわ。ねぇ、貴方、聖域に行く気はない?〗
『え?』
〖みんな、どう思う?〗
〖ええ。よろしいのではないでしょうか。中々見所のある方のようですし、ご家族で聖域に行ってもらえば良いかと〗
〖うん。僕も異論はないよ。そうだ!愛し子に名前をつけてもらえば、若返るよね!そうすれば気にしてた体力の問題も一気に解決だよね!〗
『え?え?』
『娘さんはどうしますか?一緒に名前をつけてもらった方が強くはなりますよ』
〖ですが、聖域との繋がりが感じ取られたらまずいのでは?〗
〖それは認識阻害の魔法を覚えるか、魔道具を持たせたらどうでしょうか?〗
『え?え?え?』
〖名前もレイみたいに、この世界にありそうな名前にしてもらった方がいいんじゃないのか?〗
〖ああ、漢字だったか?そうだな、それは避けた方がいいかもな。もしくはあだ名みたいにするとか?〗
『え?えええ?』
『あらあらまあまあ』
『完全に取り残されておるのじゃ』
『だな。気の毒に』
ポンポン進む神様たちの会話に、完全に置いてけぼりになってるエルフさん。
天界樹様と料理長も同情してるわね。
『あ、あのっ⋯いったいどういうことでしょう?』
〖ああ、ごめんね。実はね、僕たちは常々、聖域の守を高めたいと思っていてね?物作りや魔法が得意なエルフさん達にも是非、聖域に来て欲しいと思っていたんだ。でもね?〗
〖大半のエルフはあんなだったじゃない?だから、まだ一人もいないのよ〗
『そうだったのですね』
〖その点、貴方は理想的、いや、それ以上だよ。だから是非、聖域に行って欲しいんだ〗
〖魔法に関しても貴方、まだまだ伸びるわよ。精霊魔法ではなく、貴方自身の魔法の方よ〗
『え?』
〖それだけじゃないな。今まで弓術と短剣に絞って鍛錬したようだが、長剣もいけるぞ。スキル持ちなのに、気づかずに埋もれさせていたんだな〗
『ええ?』
〖〖もったいない〗〗ニヤリ
〖鍛えてあげる〗
〖鍛えてやる〗
『え、えええええ?』
あらあらまあまあ、大絶叫ね。
『逸材発見だな』
『妾の見立てでは、奥方も中々じゃったのぉ』
『あらあらまあまあ、それは、めでたい⋯のかしら?』
『そうじゅのぉ。じゃが』
『エルフにとってめでたいかは』
『『疑問じゃの(だな)』』
あらあらまあまあ⋯
〖〖ふふふふ〗〗
魔神様、武神様、その獲物を見つけたようなお顔は、おやめになった方がいいと思うわ⋯
『ひ、ひぃぃ』
あらあらまあまあ⋯
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