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異世界生活49日目:またしても死闘

ヴィネの仇である右手の甲にタトゥーが入った男を探すため災いの騎士について探っていた。右手の甲にタトゥーが入った男を倒すために拠点があるとされるアグロクの森へ足を踏み入れた
災いの騎士の下っ端がたまたま拠点に戻ろうとしていたため俺たちはそれを尾行し拠点を見つけることが出来た
下っ端たちは俺たちのことを探しているらしく、寝ないで探していたらしい。この前倒したやつが幹部だったため、その仇を取りに来ているのだろう
災いの騎士なんて言う面倒くさそうな組織に目をつけられるとは……異世界生活、過酷すぎる

拠点までたどり着いた俺たちだったが、近くに強大な気配を感じていた。その気配は猛スピードでこちらに向かってくるため急いで拠点から離れ、援軍が来ないだろうというところまで来た
強大な気配の正体は左手と左のこめかみにタトゥーが入った男。左手に災いの騎士全員に入ってるタトゥー、左のこめかみには左手のものとは違うタトゥー。2つ入ってるということは災いの騎士の幹部だ


「お前らのせいでこっちは迷惑かかってんだ……覚悟しろよ」


「来るぞ…!!」


ロイスの言葉にみんなが息を飲んだ。場に緊張が走り、注意が目の前の男に注がれる


「火魔法・|火球《ファイアボール》」


「剣術強化・|居合《イアイ》!!」


「覚悟はとっくにできてる!!」パン


ヒュッ「遅せぇよ」


俺は向かってきた火の玉を短剣で一刀両断する。刀の使い方をケールから教わっておいて良かった


「水魔法・|水の槍《アクアランス》!!!!」


「火魔法・|火の槍《ファイアランス》」


「抜け目ないわね……」


「こんな攻撃で負けたのかあいつは…??」


ナリアの攻撃も軽くあしらわれてしまう。攻撃が当たる気配ないぞ……当たってもこいつにダメージ通るのか?


「剣術強化・風魔法・|風霊撃《シルフィードブラスト》!!!!」


「火魔法・|火柱《ピラー》」


「威力が桁違い過ぎる!!!!
正面からじゃ全部打ち消される……!!!」


「囲んで攻撃しないと無理かも」


「離れるのは危険じゃねぇか?タイマンでやれば確実に殺されるぞ」


正面からぶち当たっても体力を削るどころか攻撃が当たらない。分散すれば攻撃は通るだろう。 2方向以上の攻撃は防げないたずだ。だが、分散をするということは近づかれた場合1VS1だ。タイマンになると勝てる見込みはない


「ナリアのあの魔法は?」


「使えるけどダメージが効かなかったら意味無いわよ」


「そうなんだよな……」


ナリアの|地獄の業火《ヘルファイア》は強大な威力を誇る。その分MPの消費は激しいためここぞという時しか使わないと決めている
|地獄の業火《ヘルファイア》が効かなければナリアはただMPを消費しただけで終わる。それに後方からの援護が消えてしまう


「弱体化は?」


「試す価値はある。やってみよう」


「カズヤが弱体化をかけたら一斉に行くよ」


「了解」「分かったわ」


「お前らが小細工したところで俺には勝てねぇよ」


できることは全てやろう。出し惜しみなんてしてる場合では無い。少しでも勝てる可能性があるならやる価値はある


「光魔法・|光の弱体《ライトドレイン》!!!!」


「!!?
体が重い!?」


「火魔法・|地獄の業火《ヘルファイア》!!!!!」


「体術強化・剣術強化・火魔法・|火霊剣《サラマンダーソード》!!!!!」


ナリアとケールの渾身の一撃が相手に入った。煙がすごくてどうなったかは見えない。これでやれてればいいが……そこまで甘くは無いだろう


「少しは効いた…」


「嘘…!!立ってる」


「はぁはぁ……それはなしでしょ」


「これは一気に不利になっちまったな」


「いい小細工するじゃねぇか。だが……足りねぇな」


煙が晴れて目の前には想像はしていたけど起こって欲しくない光景が広がっていた
相手はナリアとケールの渾身の一撃を喰らっても立っている
普通の人間なら死んでるんだけどな……
どんな体してんだよ!!本当に人間か!?!?


「様子見はここまでだな。本気で行くか」


「体術強化・|火速する体《ブーストボディ》」


「本気を出してきたか…!!」


相手のオーラがさっきまでとは全く違う。何かが燃え上がってるみたいだ
相手の本気を出すという言葉に嘘はないみたいだ


「マズイね……ケールとナリアはさっきのでほとんど出し切ってる」


「少しは温存しておいてくれよ!!」


「仕方……ないでしょ。数パーセントに賭けたのよ」


「数パーセントで勝負に行くかよ」


「数パーセントに賭けられなくて勝てるとでも……思ってるの?甘いわよ……戦いに圧勝はないんだから」


「だからってよ……」


ロイスとナリアが言い合いを始めた
ここで揉めてる場合じゃないんだって!!!!
どっちの言い分もわかるけど今は抑えてくれ!!!!!
仲間割れして死んだら笑い話だ。今は目の前の敵に集中しないと!!!!


「2人ともわかったから!!!!今はあいつ!!!!」


「あいつじゃねぇ。俺はウルアだ」


「今はウルア!!!!」


「MP回復するまで頼むわよ」


「あんまり簡単に言うなよ」


「まずはお前からだ」


「火魔法・|太陽破《サンブレイク》!!!!」


ウルアはあっという間に視界から消え、ケールの胴に重いパンチを入れた。メキメキと嫌な音が鳴った
早い!!!!!さっきの異常なスピードはこれのせいか!!!!!
ケール大丈夫か!!!!!
肋骨全部折れたんじゃないかって思うくらいの音が鳴り響いていた


「「ケール!!!!」」


「ウグッ……ハァハァハァ」


「呼吸が上手くできてない!!」


「肋骨が折れてる…」


「俺たちは医術がある訳じゃない安静にさせるのが1番だ」


「安静って……あいつからどうやってケールを守ればいいんだ」


あいつは確実に殺すために弱ってるケールを狙ってくるはず……
ケールを守りながら戦うことになるのか??
そうなればジリ貧だ。いずれ負ける
勝つためにはケールを殺さないといけないのか???
それは勝ったって言えるのか???
思考が頭を掻き乱す。考えれば考えるほど分からなくなってくる


「次来るぞ!!!!」


「ロイス!!!!ナリアを!!!!」


「分かった!!」


「火魔法・|太陽破《サンブレイク》!!!!」


「防術強化・|魔力盾《マナシールド》!!!!」


「くっ……!!重い!!!!」


ナリアの元へ向かったウルアだったが、ナリアのところにいたロイスに防がれる
ロイスでも押されそうになるのか……
強敵だとは思っていたがこれまでとは……舐めていたのはこっちだったかもしれない
ラウムを倒してから俺たちならいけると思っていた。だが、俺たちはまだまだ未熟だ


「なぜ分析しない」


「分析?それ今必要!?」


「やれ。勝てない」


「分析なんて意味無いだろ」


今更起きてきたカンちゃんが分析をしろと言ってくる。戦う前にするの忘れてたけど、今必要か???
分析なんかして何の意味があるんだ?
だが、カンちゃんの言う事は正しい。俺は渋々分析スキルでウルアを分析する
「|火霊の護り《サラマンダープロテクト》」?
これがなんだって言うんだ??


「その魔法であいつは体を護ってる」


「攻撃が効かないのはそれのせい」


「弱体化をかければ多少弱まる」


「だからさっき少し効いたのか。これがある限り攻撃が効かないから勝ち目がないじゃん」


「お前は神のペットを呼べる。弱体化が得意なやつを呼べ」


「そう言われても呼び方も分からないし、弱体化が得意なやつも知らないんだけど……」


「前来てる」


「え?」


「火魔法・|太陽破《サンブレイク》!!!!」


「危ねぇぇぇーーー!!!!ふざけんなよ!!!!」バコッ


「ウッ……!!」


間一髪だった。カンちゃんの話を聞くのに夢中になってた。カンちゃんが言ってくれなかったら喰らってた
人が話を聞いてる最中は邪魔するんじゃないよ!!!!
俺はウルアの攻撃を半身で避けて右手でアッパーカットを決めた。これも効いてないのか……いいカウンター決まったんだけどな


「効かねぇな」


「で、まずどうやって呼ぶの?」


「カードの[神のペットを呼べる]って所を押す」


「はいはい。なんかいっぱい名前が出てきたけど……」


「その中から1体選んで押す。神のペットは1日1回しか呼べない」


「20体以上いんのに1日1体か……よく考えないとな」


「弱体化が得意な子は誰?」


「マム」
(シンプルに蛇か?)


「……!!!!こいつやる気あんのか??」


「火魔法・|破裂火炎《バーストフレア》!!!!」


「人が話を聞いてんだろうが!!!!邪魔すんなよ!!!!」


「水魔法・|水霊の洪水《レーテーフルード》!!!!」


人が話を聞いてる時は邪魔するなって言ってるの聞こえないのか??
今のでMP結構使っちゃったじゃん。面倒なことをさせるなよ


「マムは……いた。ポチッと」


「魔法陣???」


「何用だ???さっさとしてくれ」


「これがマムか。普通の蛇じゃねぇか」


「マム。あいつを弱らせろ」


「………分かった」


魔法陣から出てきたのは日本の山にいそうな蛇。マムってシンプルにマムシから取ってんのか
神はやっぱり気まぐれだ
マムの方がカンちゃんより物分り良さそうだけど


「蛇???あいつが呼んだのか???動物ごときに何が出来る?」


「神の眷属なめんな」ガブッ


「ウッ……
なんだ!?!?体が重い!!!」


「嘘だろ!?俺の護りが!!!!」


「加護が消えてる!!!!マムすごいな!!!!」


「もう呼ぶな」


マムはそう言い残して魔法陣に消えた。強力な魔法を消して弱体化してくれるからな……
もう呼ぶなは無理な話だな。マム並の強さが20体くらいいるんだよな……それを呼べるって最強じゃね?


「クソッ……!!加護が無くなったって俺は負けねぇ!!」


「何が起きたんだ?」


「ウルアを倒すなら今だ!!!!詳しいことは後で!!」


「ナリア!!MPは!!?」


「もう回復したわ」


「よし終わらせるぞ!!!!」


ウルアが弱体化している今なら俺たちの攻撃も効くはずだ。攻めるなら今しかない!!!!
ナリアのMPも回復してる。態勢は整った!!


「火魔法・|地獄の業火《ヘルファイア》!!!!」


「光魔法・|光子砲《フォトンキャノン》!!!!」


「クソが……!!!!
火魔法・|火焔流《プラゲトーン》!!!!」


「かなり効いたんじゃないの?」


「ウグッ……!!多少はな」


ウルアはナリアの挑発を不敵に笑って返す。なんだこいつ……この状況を楽しんでるのか?
イカれたやつが幹部をやれば組織もイカれてくる
なんで|戦闘狂《バーサーカー》#戦闘狂__バーサーカー__#を幹部にしたんだ


「この状況を楽しんでる……」


「えっ……普通にキモイんだけど」


「こんな追い込まれたのは初めてだ…!!!!こんな気分がアガる戦いは初めてだ!!!!もっと楽しませてみろ!!!!」


「あいにく俺らは楽しくねぇんだ。お前の感情なんか知ったこっちゃねぇ。勝つだけだ」


「ケールをあんな目に遭わせておいて……この戦いが楽しい……??ふざけんなよ……!!!!」


ウルアを見ていると無性に腹が立ってくる。ケールは今も苦しんでる。そんな目に遭わせておいて楽しい???ふざけるのもいい加減にしろ!!!!
殺意が湧いたのは初めてだ。あいつはこの手で殺してやりたい


「ハハハ!!!!!
火魔法・|炎熱地獄《ゲヘナ》!!!!」


「ナリア!!これでMP回復させて!!」


「分かったわ!!」


「楽しい??ふざけんじゃねぇよ!!!!
水魔法・|暴力の水柱《バイオレントブルーム》!!!!」


「終わりにするわ!!雷魔法・|雷光砕《サンダークラッシュ》!!!!」


ドーーーン!!!!!


激しい音と砂煙が周りを包む。咄嗟に目を腕で覆ってしまう
煙が晴れ、前に広がっていたのはウルアが大の字で地面に横たわっている姿だった


「ま、負けた…??
ハハハ!!!!最高だ!!」


「だが、まだだ!!!!まだ終わってねぇ!!!!もっと俺を楽しませろ!!!!」


「お前が負けて終わった。フラフラじゃんか」


「うるせぇ!!!!まだやるって言ったらやるんだよ!!」


ウルアはしぶとく立ち上がるが体が追いついておらずフラフラしている
まだ立ち上がるのか寝といてくれよ。面倒臭いな
これ以上厄介事を起こされても困るしずっと寝ていてもらうか


「火魔法・|炎《グング》……」パン


「もう寝ろ。|戦闘狂《バーサーカー》には休みが必要だ」


「カズヤ……」


「早くケールを病院に!!」


「もうその必要はねぇよ」


「え?それって……」


「死んだわけじゃねぇ。カンちゃんがさっき魔法で治してくれた。そのうち起きるってよ」


「え?あ、居ない。そこにいんのか
とりあえずケールが無事なら良かった」


「カンちゃんの魔法ってどうなってるの??魔法じゃ回復できるのは体力だけで体の傷は治せないんじゃ……」


「カンちゃんは俺らを超越してるからね」


カンちゃんは他の人の目から見れば謎が消えない存在だろう。俺も神のペットだからって言ってここまでできるのかと不思議には思っている
カンちゃんと俺らは住む世界が違う。人の限界なんて悠々超えていくだろう

ケールの仇は討ったし、ケールもカンちゃんのおかげで無事に助かった。カンちゃんには世話になりっぱなしだ一時はどうなるかと思ったが何とかウルアに勝つことが出来た。右手の甲の男もこれくらい、もしかするとこれ以上苦戦するかもしれない
しっかり準備は整えていかないとな
………マムのことは気づかれてないみたいだからこのまま黙ってよう

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