異世界生活47日目:Bランクに昇格したい!!!
ナリアが病院で出逢った女の子のために|災いの騎士《カタストロフィナイト》の右手の甲にタトゥーが入った男を探すことになった。その男の情報を得るためにギルドへ向かったが、情報を知っているウルトルさんに断られてしまった
しかし、Bランクになれば話を聞いてくれると言うのでウルトルさんから提示された任務を達成するためにレイデリア近郊のアグロクの森へ足を踏み入れた。ここからは未知の場所へ行くので細心の注意を払って進んでいく。
魔物を倒した後も素材を手に入れないと認められない。いつもと違うことだらけで慣れないがやるしかない
俺たちが探しているミストラルタイガーとはどんな魔物なのだろうか?
ミストラルタイガーなんて魔物はマラ王国近郊のネルロの森にはいなかった
「ミストラルタイガーってどんな魔物なの?」
「風魔法を操る魔物だ。下手に近づくと風魔法をゼロ距離で食らうぞ」
「とはいえ……俺自身もあったことがねぇんだよな」
「誰も見つけたことないの??」
「ミストラルタイガーは警戒心が強い。易々と人前には出てこない。空腹か機嫌が悪い時じゃない限りな」
「ただミストラルタイガーは好戦的だから1度攻撃すれば反撃のために襲ってくる」
普段は人前に姿を現さないのか……
それは探すのに骨が折れそうだ。またしても森で野宿ということになる可能性が高い
束の間だったな……ベッドで寝るの
「それにミストラルタイガーは体が緑色なんだ。この森だと同化して見つけづらいな」
「見つかる気しなくなってきたな……」
「ただでさえ人前に姿を表さないのに、同化なんて見つかる気ゼロね」
「でも、カズヤの探知スキルがあるから見つかるんじゃないか?」
「ミストラルタイガーには角がある。その角から特殊な電波が出て探知スキルを妨害するんだ」
「ミストラルタイガーは目が黄色なんだ。辺りをよく見て目が黄色の生物を探してくれ」
そこら辺にポツンって現れてくれないかな
何時間いや何日も森を歩いて回るのはしんどい
早く討伐してヴィネのために右手の甲のタトゥーの男を探したい
「もうちょっと奥に進んでみるか」
「これ以上行ったら道に迷いそうだよ…」
「その時はカンちゃんに頼りましょ」
「確かに……ってまた寝てる」
「そのうち起きるでしょ」
「帰り道はカンちゃんに任せて早くミストラルタイガーを見つけないとな」
「奥に行っていればいいけど……」
その後俺たちは歩いた。何時間いや感覚的には何日も歩いた気がする。それくらい歩いた。たまに探知スキルで魔物を見つけるけど、ミストラルタイガーでは無かった
けどミストラルタイガーは見つからなかった
途中でケールが何回か「あっ!!」とか言うから見つかった?って期待するけど結局ただの木でみんなから呆れられていた
どこにいるんだよぉぉ!!!!
早く出てこいよぉぉ!!!!
日が暮れるわぁぁぁ!!!!
「行っても行っても緑ばっかね」
「どこにいるんだよ……」
「あっ!!……違うか」
「今日何回目だよ。それ」
「ん??いや、あれ本物じゃないか!!?」
「そうやって木だったろ…」
「1回見てみてよ」
「どれ……ほんとだ。あれはミストラルタイガーだ」
「本当?嘘だったら殴られても文句ないわよね?」
怖い時のナリアが出てる。ケールとロイスが見つけたとか言ってるのが本物じゃなかったら俺まで被害が出そうで怖い
頼むから嘘はつかないでくれよ……
「そういうなら見てみろよ」
「……あれ?確かに角が生えてるし、目も黄色い」
「ほんとだ。ミストラルタイガーだ」
「早く攻撃しろ!!逃げるぞ!!」
「わかったわ!!」
「氷魔法・|氷結の槍《コールドスピア》」
ナリアが放った魔法はミストラルタイガーの角に命中し、敵はこちらに気づき一直線に向かってくる
ロイスがすぐさま俺たちの前に出て盾を構える
防御はロイスに任せて、敵がこっちに来るまでに仕留める
「ここだ!!!」パン
ヒュッ「グルルル!!!!」
「避けられた!?!?」
「剣術強化・氷魔法・|氷剣撃《フリーズンアタック》!!」
「グルォォォ!!!!」ヒュュン!!!!
「ヤバいの来るぞ!!」
ケールの氷魔法とミストラルタイガーの風魔法がぶつかり冷たい風が吹き荒れる
ミストラルタイガーは冷風に怯むことなく突っ込んできてロイスの盾に正面からぶつかった
「…!!
こいつ…どんな力してんだよ…!!!!」
「火魔法・|火柱《ピラー》!!」ブォォォ!!!!
「土魔法・|岩石山《ロックマウント》!!」ガチャン!!ガチャン!!
「グルルル……!!!!」
「全然効いてないわよ!!」
「これ効いてんのか!!?」
「角を狙え!!!!角が弱点だ!!」
「角ね!!分かった!!」
「雷魔法・|稲妻星《ライトニングスター》!!」ビリビリ!!!!
「グォォ!!!!」
(怯んだ!!角を徹底的に狙う!!)
「剣術強化・|炎剣の一撃《フレアブロウ》!!」ボーー!!!!
「……グルル!!」
角に2発攻撃が入ったけど、まだピンピンしてる。さすがに強いな。魔法の威力もとんでもない。当たったらひとたまりもないぞ……
エアガンはさっき避けられた……もう一度試してみるか?いや角を的確に狙った方がいい
弱点に攻撃が入ってピンピンしてるんだからエアガンだけじゃ倒すのは難しい
待てよ、脳天を狙えば一発だよな?
なら脳天を一発で撃ち抜いて倒すのが1番早いのでは??なんで俺の脳みそはこれに気づかなかった…!!!!
「グルォォォォ!!!!!!」
「もういっちょ来るぞ!!!!」
「水魔法・|輝く水柱《ルミナスブルーム》!!!!」バシャーー!!! ブォォン!!!!
「フンッ……グルォォォォ!!!!!!」
「また来るぞ!!早すぎるだろ!!!!」
「体術強化・剣術強化・氷魔法・|冷凍斬《コールドスラッシュ》!!」バーン!!!!!!
「フーフー……グルルル…!!!!」
もう用意してるぞ!!?
さすがに早すぎる!!!!俺たちもMPが高い魔法を何度も打ってしまい、MPは残りわずか……
これを防いでもすぐ来る!!早く脳天を撃ち抜きたいが、風を操るから狙いが定まりにくい!!!!
狙うとしたら攻撃が相殺されて風が収まる一瞬。そこでケリをつける!!!!
「グルォォォォ!!!!!!」
「光魔法・|光羅盾《ライトシールドタートル》!!」ザキンッ!!!! ヒュューン!!!!
「ギラッ!!……グルルル!!!!」
「グォォォン!!!!」
「まだ来んのか!!?」
「もうMP無いわよ!!!!」
「まずいじゃねぇか!!!!」
敵はもう準備し始めている!!!!早く風静まってくれ!!!!
みんなのMPもなくなってきて次の攻撃は耐えれるか微妙だ……
もうここしかない!!!!
「これで終わりだ!!」パン
「……」バタッ
「倒した…???」
「倒したな!!」
「良かったぁ!!」
「カズヤ、ナイス!!」
何とか倒せたか……
危ないところだった。あれが当たってなければまた突進してきてた
ちゃんと素材も回収しないとな。これでBランクに上がれる。ウルトルさんから|災いの騎士《カタストロフィナイト》について話が聞ける
「はぁー疲れたー」
「そうだな…さすがに疲れたな」
「今日はここら辺で泊まろう」
「そうだね」
俺たちは満身創痍の体にムチを打って、焚き火を起こすための木と簡易テントを立てた。
寝る場所を確保出来てもここは森。いつ魔物が出てくるか分からない。夜は交代で見張りをする。この前と同じペアで今回は俺とナリアが先に見張りをする
「本当は寝たいんだけどなぁ……」
「確かに……今日は疲れたよね」
「うん。森を何時間も歩いたあとに戦うことになるとは思わなかったわ…」
「……そうだよね」
「ナリアはさ、なんでヴィネのことを放っておけなかったの?」
「困った人に手を差し伸べるのに理由が必要?」
「そうだけど……でも、病院で数日くらいしかあってないんでしょ?」
ナリアが困ってない人を放っておいておけないのはわかるが、だとしても数日しか会ってない人のために命を張るようなことが出来るだろうか?
それなのにナリアはヴィネの願いを叶えると言った
何かあるんじゃないかと勝手に思ってしまった
「確かに数日しか会ってないけど、私は困ってる人を救ってあげたいのよ」
「優しいね」
「フフ、そうかしら?」
「そうだよ。数日しか会ってない人のためにそこまでできるんだから」
(優しいっていう次元を超えてる気がするけど)
「ヴィネの言ったことがまだ耳に残ってるのよね」
[なんであなたが元気なってお母さんは助からないのよ!!!私のお母さんを返してよ!!!!!]
「あの子のために何かしてあげなきゃって気持ちになるのよね」
ナリアはすごいな。自分の身に危険が及ぶかもしれないのにそれを顧みずに行動してるんだ
もしかすると、ヴィネって女の子に何か秘密があるのかもしれないな……
ってあるわけないよな。ヴィネは話を聞く限り普通の女の子だ。何か特殊な力がある訳じゃない
「カズヤはさ、どこからマラ王国に来たの?」
「えっ……と」
(いきなりそこ聞かれる!!?答え用意してないどうしよう??)
「最近だとチェドリアからの移民が多いみたいだけど、カズヤもその人たち??」
「そうそう!!」
(危な~ナリアが爆弾投げたあと助け舟出してくれた)
「そうなんだ……大変だったでしょ?」
「うん。大変だった」
(何が大変か全くわかっていないけど話が繋がってる。とりあえずこのまま会話を続けよう)
「頑張ってるね」
褒められたけど、俺には何が大変なことなのか、チェドリアという場所で何があったかなんて微塵も知らない。とりあえず話を合わせないと……異世界から来たなんてバレたら何が起こるか想像がつかない
その後はナリアとゆったり話しながら見張りをしていた。肩でカンちゃんが寝てるのが頭に来たのは心の中にしまっておく
「そろそろ時間だね」
「そうだね。変わろうか」
「お疲れ様」
「カズヤもお疲れ」
「ん……もう時間??寝たいよ」
「もうちょっと寝させてくれ……」
「起きろ!!!!いつまでも寝るな!!!!」
「「「うわっ!!!!」」」
急にナリアが叫ぶからケールとロイスと一緒に驚いてしまった。いつまでも寝ぼけている2人に腹が立ったんだ。俺たちは疲れた中頑張って見張りをしていたんだから、あれだけ寝ぼけられると怒りたくなるのもわかる
「はい!起きました!!!!」
「寝てないぞ!!見張りは任せろ!!!!」
「あとは任せたわよ…ふわぁぁ」
「あとはよろしく」
「おう」「任せて」
俺とナリアは見張りをケールとロイスに任せて眠りについた。目を閉じてすぐに意識が飛び、気づけば太陽の光が眩しく差し込んできていた
「起きたか?」
「おはよう。よく寝れた?」
「うん。バッチリだよ。ナリアは?」
「まだ寝てる。そろそろ起こすか」
「もう少し寝かせてあげようよ」
(ナリアは昨日の戦いで1番健闘してくれた。ナリアなしでは倒せなかった)
「それは俺たちが許さない」
「そうだよ!!俺たちだってもっと寝たかったのに」
やられたらやり返す
それは異世界でも変わらないみたいだ。意外と異世界と現実世界って共通点あったりするのか???
「おい!!ナリア起きろ!!」
「そうだそうだ!!」
「Zzz……」
「寝てる……もうちょっと大きな声で」
「「起きろ!!!」」
「うるさい」カン カン
「痛った!!!!」
「うるさいわね!!!!」バコッ!! バコッ!!
大きな声で起こそうとした結果怒らせてはいけない1人と1匹を起こしてしまい、カンちゃんに頭をつつかれたあとナリアに杖で頭をはたかれていた
(姉貴杖は頭の骨が折れますよ)
無理に人は起こさない方がいい。これをケールとロイスは身を持って実験してくれた
その犠牲は忘れない……
早いところ森を出てギルドに戻ろう。これでウルトルさんから|災いの騎士《カタストロフィナイト》についての話が聞けるはずだ