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異世界生活生活11日目:修行のため再び森へ

ケール達に王国を案内してもらうためギルドに集まった俺たちだったが、そこでは最悪な出逢いが待っていた。ケール達のパーティーの元メンバー・ダリアの現パーティー。クズばっかのパーティーだった
話を聞くとダリアはケールたちのパーティーにいた時も、ケールたちのことを貶していたらしい。クズはどこまで行ってもクズだ
ダリアはパーティーを抜けたあとも仲間であったケール達のことを貶していた。ダリアだけでなく他のメンバーも俺たちのことを馬鹿にしていた
そんな奴らにガキと呼ばれたことが頭に来たため、その場の勢いで勝負しろと言ってしまった。勝手にケール達を巻き込んだのは申し訳ない
でもケール達は馬鹿にされて悔しそうにしてたし、本当は一発殴ってやりたいんだと思う
あいつらにどうやって勝つか。今の実力のままだと負けるだろうな。勝負は1ヶ月後だ。それまでにあいつらと同じCランクまで行きたい


「カズヤ…」


「ごめん。勝手に巻き込んで。つい口走っちゃって」


「ナイス!!よく言った!」


「いやースッキリしたよ!あいつらをボコボコにできる機会が手に入るとは思ってもなかった」


「カンちゃんよくやるな!」
(みんなやる気満々だった。ひとまず安心)


「でもさ、どうやって勝つの?」


「勝つためには俺を含めて強くなんないと」


「強くなるっていったってどうやって?」


そこなんだよな。どうやって強くなるか…
強くなるためにはレベルを上げる必要がある。レベル上げに最適な場所か
あ、いい場所あった……
また行くのか………でも仕方ないな


「森だな」


「森?」


「森に住み込んでそこで魔物を狩りまくるしかないよ」


「えー家帰れないの?」


「森で野宿か…でも、仕方ない。強くなるためだ」
(ケールは覚悟を決めてくれた)


「俺はどこでも寝られるからな。森に住み込みでも大丈夫だ」


「んー……みんなが行くなら私も行く」


ナリアも迷いながら決断してくれた。そうと決まればすぐに森へ向かおう。この1ヶ月はレベル上げのために使いたい
レベルを上げることは俺にとっても有益だ。今でもそこそこ強いが、王を確実に殺るためにもっと強くなっておきたい。何があるか分からないからな


「森についたけどどうするの?」


「俺の探知スキルで魔物を探すからそれで、どんどん狩っていこう」


「わかった。カズヤが探してくれるけど、ここは敵の巣窟だ。気を引き締めていこう」


「了解」


「わかってるよ」


俺たちは気を引き締めて森を進んだ。そのおかげか、レベル上げは順調に進んだ
俺が敵の位置を知らせ、みんなで囲んで全方位から攻撃を与えて倒す。抜群のチームワークがなければできない
俺はレベル1から変わらないけど、みんなのレベルは20を越えた


「Lv.20にいったな」


「俺もだ。強くなってる気がするな」


「私も。おかげで新しい魔法覚えられたしね」


「カズヤはいくつになったんだ?」
(それを聞かれるとは………正直に答えるべきか)


「………1」


「1!?そんだけ強いのに!?!?」


「1でそこまで強い人間は初めて見た。どういうことだ???」


「嘘つけ。1な訳なわけねぇだろ」
(ロイスが俺の手からカードを奪っていった。奪るっていってから奪ってくれ)


「ほんとに1だ」


「どういうこと???」


「実は…俺、神のバフがかかってるんだ。レベルが上がると能力とポイントが上がるけど、その後レベルが1に戻るんだ」


みんなポカンとしてる。そりゃそうだよ。いきなり神のバフがかかってるって言われても何言ってるんだってなる
本当のことを言うのは間違いだったかもな。今でも疑惑の眼差しを向けられているのに、ますます怪しまれることになるかもしれない


「神のバフがあるんだ。カズヤの強さの理由がわかった気がする」


「確かに。でも、おかげで気になってたことを知れたしスッキリしたよ」


「結構驚くかと思ったけど驚かないんだ」


「神のバフがかかってる人は少ないけどいるからね」


「そうなんだ」


神のバフってそこまで珍しくないんだ
怪しまれずに済んで良かった。気になってたことって俺が強いことなんだ。それなら、しばらくは気づかれることはないか。安心して行動できそうだ。


「そろそろ休まない?」


「疲れが溜まってきたな」


「確かにな。腹も減ったし」


「じゃあここら辺で休憩しようか」


ずっと歩きっぱなしで足も疲れてきた。まだ日は沈んでないけど今日はここまででもいいか。あの時と違って十分強いし仲間いる
食料は色々狩ってたおかげで確保することは出来た。今は異空間にしまってある。異空間って腐らないのだろうか


「料理は俺に任せてくれ」


「よろしく。ロイス」


「俺は火をおこしておくよ」


「ケールとナリアは木を採ってきて欲しい」


「わかった。行くか」


「最後に頑張りますか」


それぞれが自分の役割を全うしたおかげで、日が落ちる前に火をおこし、明かりを確保することが出来た。ロイスが魔物の肉を使った豪華な料理を振る舞ってくれたおかげで1日目は充実した。俺の1日目とは天と地の差がある……
夜の見張りは話し合いの結果、ケールとロイスが最初に起き、俺とナリアがその後を担当することになった。時間になったら起こしてくれるというのでそれまで安心して寝れる。魔物が来てもケールとロイスが倒してくれるか、起こしてくれるからな
そういえば俺は魔物に怯えながら寝てた。あの時は見るもの全てが敵に見えた
俺とナリアは簡易的なテントを作ってそこで寝ることにした
カンちゃんは気づけば近くの木で寝ていた。相変わらず自由な性格してるな


「カズヤ、交代」


「わかった。ナリアは?」


「ナリアはもう起きてる」


「そう。お疲れ様」


「頑張って」


俺がテントから出ると日はまだ上がっていないが少しづつ明るくなってきているのがわかる
ケールとロイスは長い間見張ってくれていたみたいだ。感謝しないとな
ナリアは起きて火の調節をしているところだった。火が消えると明かりが消えるため、火の確保は生命線だ。寝る時は火を消すべきだろうが、魔物は臭いで場所が気づかれることがある
その時に明かりがないとどこから魔物が来ているのか気づかないため火は焚き続けている


「寝れた?」


「森で寝るのは初めてだからぐっすりとは言えないけど」


「少しでも寝れたなら良かった」


「カズヤはどうなの?」


「俺は慣れてるからね。ある程度寝れたよ」


「慣れてるって……やっぱカズヤって不思議だね」


「まぁ確かに。森で寝ることに慣れてる人なんていないもんね」


ナリアと俺が話しているとカンちゃんが起きたのか、バサバサと翼を羽ばたかせながら俺の肩に飛んでくる。動物の朝って早いんだな。5時で遅いとか言うくらいだからな


「カンちゃんって時々喋るけど私たちの勘違い?」


「あーえっと、それは…」


「我喋る」


「やっぱ喋るんだ……喋るペットか羨ましいな」


「羨ましい?」


「うん。だって、色々お話できるじゃん」


こいつと話すことなんてほとんどない。カンちゃんが俺に命令して俺がその通りに行動する。上司と部下っていう関係だ。しかも命令の内容がパワハラ
………俺せっかく異世界来たのに社畜やってんの???


「そうかな?喋るのも大変だよ」
(カンちゃんの場合は特に大変)


「大変だとしてもそれはそれで愛嬌あるもん」


「愛嬌……」


「なんだお前」


「いや、なんでも」
(こいつ愛嬌はないな。あるわけない)


「それにしても、ダリアたちに勝負するっていっても勝てるかな?」


「大丈夫。まだ1日しか経ってないけど、確実に強くなってるから」


1ヶ月間というのは長いようであっという間だ。その間緩むことなく魔物を狩り続ければ確実にあいつらよりは強くなれる
どうせあいつらは余裕で勝てるとか言ってろくに修行とかしないだろうし。あいつらの甘さにとりつけば勝機は必ずある


「でもさ悔しいけどあいつらの方が強いし、現状じゃまともに戦えるのはカズヤくらいだよ」


「それは今の話でしょ?未来は分からないよ」


「この1ヶ月で俺たちは絶対に強くなる。その先の結果は分からない。でも、今より勝率は上がる」


「それもそうだよね。やってもないのにネガティブになっちゃったらどうしようもないね」


「頑張ろう」


「うん」


「カーカー!」


「どうしたの?」


「来てる」


何が?と言いかけたところでカンちゃんの言った来てるという言葉の意味がわかった
俺らの目の前に現れたのは巨大な熊だった。俺らのことを獲物を狩る目つきで見てきている
分析スキルで見てみると、名前はブラッド・ベアLv.50。この森の主か何かだろうか
Lv.50は初めてみたぞ………
俺たちでは無理かもしれない。なら、逃げるか???
でも、ここまで近づかれては逃げる途中で追いつかれてしまう。それにケールたちを置いていくわけには行かない


「カズヤ、どうする?」


「とりあえず、ケールたちを起こしてきたいけど…ここまで近いとそれも厳しそう」


「戦う?勝てるかな?」


「やってみる価値はある……って言いたいけど、こいつは強すぎる。Lv.50だ」


「50!?逃げた方が良くない!?!?」


「逃げてもこの距離は追いつかれる。何よりケールたちを置いて逃げていけない……」


「どうすればいいの……???」


「グォォォォーーー!!!!!!!!」


「しかもお腹が空いてるみたい。最悪だ」


「とりあえず、様子を見よう。襲ってきたら、全力で防御するんだ!!!」


「わかった!!!」


俺たちはブラッド・ベアとの距離を置いて、様子を見ることにした。ブラッド・ベアは忙しなくウロウロと歩いている。隙を伺ってるんだ。一瞬でも油断すれば襲われる
気が抜けない時間が続くが耐えるしかない。ブラッド・ベアが痺れを切らして襲ってきたら全力で防御しかない


「全然来ないね」


「気を抜いたら来るよ。緊張解かないで」


「わかってるけど、ずっと集中しっぱなしだよ。疲れてきた」


「……耐えるしかない。せめてケールがロイスどっちかが起きてくれれば」


「早く動け」カン


「この状況見えてる!?!?下手に刺激できないの!!!!」


「カンちゃん空気読んで!!!!」


こいつはどんな状況でもえげつないこと言ってくる。さすがパワハラ部長
無理下手に動いて刺激したら一気に襲ってくるかもしれない。そうなれば無傷では済まないだろう
ここは倒せる保証はないがやってみるか?
いや、4人揃わないと厳しいな………
せめてケールかロイスのどちらかが起きてくれれば……!!


空気銃(エアガン)使え。脳天一発」


「確かにその手があった。でも、そのためにはナリアに気を引いて貰わないと…」


「おはよう……ってそんなこと言ってる場合じゃ無さそうだね」


「確かにな。見るからにヤバそうなやついるじゃねぇか」
(ナイス!!2人とも同時に起きてくれたら勝てる!!)


「ナイス!みんなあいつの気を引いて!」


「わかった!」「任せろ!」「カズヤ頼んだよ!」


チャンスは1回きりだ。みんなにあいつの気を引いてもらって、俺の警戒が消えたところを一発で仕留める。空気銃(エアガン)は風に流される。今は少しだが、風が吹き付けている。それを読んで必ず脳天に当てる


「火魔法・大五火球(ファイアスター)!!!!」


「フン…グォォォーー!!!!!!!!」


「体術強化・波動斬(エルスラッシュ)!!!!」


「全然効いてないじゃん……」


「来るぞ!!」


ガチャン!!


「ロイス!!」


「今の…うち…だ」


ロイスがブラッド・ベアの突進を盾で受け止めている。だが、勢いに少しづつ押されている

今がチャンスだ。ブラッド・ベアはロイスに夢中で動きが止まっている。風も止んだ!!ここしかない!!!
俺は狙いを定めてブラッド・ベアの脳天目掛けて空気銃(エアガン)を発砲した パン
空気銃(エアガン)がブラッド・ベアの脳天をぶち抜きブラッド・ベアはその場に力無く倒れた


「やったぁーー!!」ピコン


「よし!」


「ふぅ…危ねぇところだった」


「はぁー疲れた。何とか殺れた」


「こいつどうする?」


「せっかくだし食料にでもしようよ。カズヤの収納魔法の中に入れてさ」


「そうしよう。じゃあこいつは入れとくよ」


みんなもう疲れてる。全員の力を合わせて倒せたからな。誰か1人でも欠けたら倒せなかった。それくらい強敵だった。これでひとまずは安心出来る。みんなのレベルも上がった


「すごいレベル上がってる!」


「ほんとだ!」


「また強くなったのか。この調子ならいけるんじゃねぇか?」


「うん。いけるよ!」


「気を抜かないで頑張ろう!」


「うん!」「そうだな」「あぁ」


パーティーの仲も強まってるし、確実に強くなっている。これは勝てるぞ。油断せずに残りの期間を有効に使っていこう!!
1ヶ月後、あいつらに一泡吹かせてやる!!!!

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