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第9話「水咲姫vsタカシ」

「ゲ、ゲーム……!?」

困惑する水咲姫。するとタカシは答える。

「ああ、殺人ゲームさ」

「殺人……ゲーム……!?何それ……!?」

水咲姫が問うとタカシは般若の様な顔を浮かべた。

「これ以上語る事はない!!とっとと死ね!!」

そう叫びながらタカシは再び右腕ブレードで水咲姫に斬りかかる。

「ふざけんな馬鹿!!誰が死ぬか!!」

水咲姫はタカシに右手を向けて、そこから勢いよく高圧水流を発射した。

「ごっ!!??」

水流はタカシに直撃。タカシはそのまま後ろに吹き飛び、近くに生えていた木にドシャッとぶつかった。

「……ぐうう~……」

背中を木に強く打ち付けられた事により、ややグッタリするタカシ。そしてその隙に水咲姫は警察に電話をかける。

プルルルルッ

ピッ

「はい警察です」

「あ、もしもし?バイトが終わって道を歩いてたら頭のおかしいミュータント男に襲われたんですけど!」

「場所はどこですか?」

「"キンモクセイの並木道"です」

「分かりました、今すぐ警官をそちらに向かわせます」

「お願いします」

水咲姫は電話を切り、タカシの方へと視線を向けた。

「……え?」

視線の先の光景に水咲姫は思わず目を丸くした。なんとタカシが消えていたのだ。どこへ行ったんだ!?と言わんばかりの表情でキョロキョロしだす水咲姫。そしてその直後に後ろから殺気を感じた。パッと振り返って見るとタカシが立っていた。

「なっ!?」

いつの間に!?水咲姫がそう思った直後にタカシは右腕ブレードで水咲姫に斬りかかる。そして彼女は咄嗟に横にローリングして回避。その間実に2秒。

「……ッッ!!あっぶな~!!死ぬかと思った!!」

そう言う水咲姫の頬からツタ~ッと血が垂れ落ちる。どうやら完全には避けきれなかった様だ。

「大した反射神経と身体能力だな……いや……それよりもさっきの放水……お前もミュータントか?」

「そうだけど?」

「ふ~ん……そうかそうか……ミュータントか……ま、別にいいんだけどな……お前がどんな能力を使おうが俺の能力の前じゃ赤子同然なんだからな……さてと……お前もあの女達の様にバラバラに斬り裂いてやるとするぜ」

「あの女達……?バラバラ……?」

ここで水咲姫はハッとなる。

「ま、まさか……最近渋谷で起きた女性バラバラ殺人の犯人って……」

「如何にも、俺だ」

「!!!」

水咲姫に衝撃が走った。

「こ、このイカれ野郎!!なんてことを!!殺人は重罪なんだよ!?死刑又は無期若しくは5年以上の懲役だっつの!!恥を知れ恥を!!」

「言ってろタコ、それよりお喋りはここまでだ!!いくぜおい!!タカシ流剣技"クオド・エラト・デモンストランダム"!!!

タカシは無数の斬撃を水咲姫に向かって飛ばした。

(くっ!!多すぎる!!避けきれない!!なら……!!)

水咲姫は両腕をバンザイの様にバッと下から上に上げて、水の壁の様な物を生成し、斬撃を防御した。

「ほ~ー!大した防御力だな!!俺の"クオド・エラト・デモンストランダム"を防ぐとは!!じゃあ次はこんなのはどうだ!?タカシ流剣技"タカシハリケーン"」

タカシは今度は右腕だけでなく左腕もブレードに変化させた。そしてその両腕を水平に上げて高速回転しながら水咲姫に向かって突進してきた。

「来んな馬鹿!!!」

水咲姫は先程の様に右手から高圧水流をタカシに向けて発射。

「効かん!!」

ザブザブザッブンザザザンザン!!!

「なっ!?」

なんとタカシは水流に吹き飛ばされる事もなく、怯む事もなく、全て斬り刻んだのだ。そしてそれを見た水咲姫は焦る。

「嘘でしょ!?」

「ハッハッハ!!!チェストオオオオ!!!ハッハッハ!!!南無三!!!ハッハッハ!!!ボン・ヴォヤージュ!!!」

タカシは勝ち誇ったかの様な高笑いを決めた。そしてどんどんと水咲姫に近づいていく。

「くっ!!このままじゃ斬り刻まれる!!どうすれば……そうだ!!」

絶対絶命のピンチの中で水咲姫は突然ひらめき顔を浮かべ、足元の地面に向けて高圧水流を発射した。すると彼女はグーッと空高く上昇した。

「ここはガラ空きでしょ!!!」

そう叫びながら水咲姫は上空からタカシの脳天に向けて高圧水流を発射した。

ズバァァァァァンッ!!!!

「だぶっ!!!」

水流はタカシの脳天に見事に直撃。そしてタカシはそのまま水流に押し潰されて地面にめり込んだ。

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