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第3章の第67話 X14 ウェーブグローバルポリス フューチャーウォッチ



☆彡
――クリスティさんの回想シーンが一時終了し、現在に戻る。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
この話を聞いたスバル君が、恵ミノルさんが、恵アヤネさんが、父ダイアン(パパ)が、長女ルビーアラ(姉さん)が、等しく戦慄していたわ。
それは、あたしだって同じ……。
「……」
そして、クリスティ(あたし)は押し黙り、こう告げる。
「――以上よ」
と。
「とんでもない話だ……」
これには僕も、ビックリだ。
続いてアヤネさんが。
「それは確かに、どうしようもない問題ね……」
次にミノルさんが。
「……ああ、絶対に勝てない……他に、どこかの誰かに、誘導しない限り……」
その話を聞いたクリスティ(あたし)が、物思いに更け込み――
「――誘導……?! ……あっ……ッ!?」
その時、あたしの脳裏に過ったのは、このどうしようもない問題に初めて勝った人の姿だった。
「………………」
う~ん……
でも、あたしは、その人の名前を思い出せず。
う~ん……
その様子に気になったスバル君が。
「どうしたの? クリスティさん……?」
「そう言えば……どこかの誰かさんが、始めてこのどうしようもない問題に勝ってたような……?」
「え……?」
「でも……誰だっけ……!? う~ん……ここまでは出かかってるんだけどな~~?」
これにはあたしも、当時の状況を振り返るように色々と考えてみるが、どうにも思い出せない。
「……」
とその様子を見ていたスバル君が、気になってこう語りかけてきたの。
「……で、その人は、どうやって勝ったの?」
「う~ん……う~ん……」
と考え込むあたし。
でもどんなに考えても。
「……ダメね」
「え?」
「まったく思い出せない」
そこに異議を唱えたのは、長女ルビーアラさんだった。
その声質は、この妹を怪しんで呟かれた。
「……何だってまた!?」
「う~ん……多分、その頃、あたし……」
一同が、クリスティさんの次の言葉を伺う。
ついて出た言葉は――
「――何か別の重要な案件に集中していて、その一件には関わっていないからだと思う」
これには一同。
あぁ……。
と嘆くように、その場にもたれかかるのだった……まるで残念がるように……。
これにはあたしも、どう言っていいのかわからず、対応に苦慮したわ。
もう汗々よ。
「………………」
でもそんな時、ある事を思い出したの。そう、それは――
「――あっ! そーいえば……」
「?」
「結局は、誰にも捕まらなかったわね……」
「え……?」
「捕まらなかった……?」
「うん……あたしとしても、何が何なのかわからないけど……。
男の人が、まるで女の人みたいな名前で、上がっていて」
「男が……女みたいな名前……」
「……」
ダイアンがそう呟き、長女のルビーアラと視線を合わせ合う。
いったい何が。
「そして、その人物ととあるグループが、まるで暗号のようなやり取りを行っていたのよ」
「暗号……?」
コクン
「……」
とあたしは強く頷き得る。
暗号、とても気になる。
「その暗号の手掛かりは、まるでなくて、意味不明なのよ……。
そして、その人物に関わるメモリーも一切、破壊した後で、燃やしているから、何も残っていない……。
全ての連絡手段を絶っているから、その足取りを追う事は、事実上、不可能なのよ。
フゥ……。そんな、謎めいた人物なのよね……」
「……」
謎の人物。
それはとても興味がそそるものだ。
「そして……!!
そのどうしようもない問題で、かえってそちらがどうしようもないぐらい負けて、
逆恨みしている人達は、どうにかして、その人物を追い詰めようとしている……!
その人物に関わっていたと思われる人に、何度もコンタクトを取りつつ、
その裏でハッキングを仕掛けながらね」
「ハッ……ハッキング~~!?」
「おいおい、全然穏やかじゃないぞ!?」
「ええ、犯罪じゃないの!?」
あたしは、一呼吸おいてこう答えるの。
「……その人物を見つけた人には、報奨金が1000万円(75757米ドル)支払わられるの……!!!」
「1000万(75757米ドル)!? ……っていくらだ……!?」
僕は、「ヒーフーミーヨ……」と言いつつ、指折り数えてみる。
そこへ恵アヤネさんが、「えらく値が高いわね……!」と言い。
続いて恵ミノルさんが、「ああ……!」と。
そして、クリスティさんがこう答えるんだ。
「でも、その人物の手掛かりを知る人は、その危険性を踏まえ、黙秘を決め込んでいて、その足取りは負えないのよ」
「え? 何で……?」
「その人物を問い詰めて、何かいい具合に話を進めた後、後日、今までの逆恨みの分の責任を負わせて、集団で問い詰める為よ!!」
「なっ!?」
「その責任の負債金が、1000万円(75757米ドル)!!
その人が借金漬けになり、自殺する危険性も踏まえ、その人物は黙秘を決め込んでいるの!!」
「何だってまた……!?」
「さあねぇ……。……わかっているのは、その人物しか手掛かりがないってことよ!」
「いったい、何者なんだろう……!?」
その人物像は、まるで謎めいたものだった。


★彡
【ケンブリッジターミナルビル前】
そこはアメリカ合衆国、マサチューセッツ州ボストン近郊のケンブリッジにある某ターミナルビル前だった。
そこにいるのは、ある電脳犯罪科の人達。
その人達は、何度も進入を試みているものの、電子錠のアクセスを解除しない限り、突撃(アタック)できないでいた。

【エアデールテリア・マドックス 電脳犯罪科(ウェーブグローバルポリス)階級:警察官】

それは隊服だった。
電脳(サイバー)犯罪に関わる出で立ちだ。
目安的に電脳犯罪科(ウェーブグローバルポリス)の職員の階級は。
長官を頂点として、警察署長、警視、警部、警部補、その他大勢の警察官とする。
日本の警察は統一性はあるが……。
アメリカでは州によって統一性がなく、FBIや警察官、保安官と多岐に渡るため、一概には言えない。
そして、今も試みているのは、某ターミナルビルに突入するために、何度も必要なアクセスコードの入力だった。
だが、開錠は、軒並みすべて不許可されていた。
その時、謎のアクセスが行われた。
「!」
『!』
その謎の人物は、パスコードを知る者で、それにアクセスを行い、それを開錠したのだった。
ガチャン
「――!!」『――!!』
驚き得る電脳犯罪科の人達にAIナビたち。
それはすぐの号令だった。
「すぐに突撃してください!!」
「!!」
それが上司(警部補)の耳に入る。
「たった今!! 開錠に成功しました――ッ!!」
「でかした!! 総員! 突撃――ッ!!」

【ジャーマン・ジャンクストン 電脳犯罪科(ウェーブグローバルポリス)階級:警部補】

上司(警部補)が、この場にいる部下(警察官)たちに発破をかける。
それは瞬く間の出来事。
警察官のアンドロイドと共に、盾を装備した警察官が、某ターミナルビルに雪崩れ込む。
遅れて、警部補。
そして、開錠を試みていた電脳犯罪科の人達と続く。
呟くは、たったこの一言。
「……だがしかし……!」
その人物は、後ろを見て、こう言葉を残した。
「いったい誰が……!?」

――これには犯人達も、モニター映像越しでビックリだ。
「!!」
「いったい何があった!?」
破られるはずのない進入が破られた。いったい何が……。

――そして、ヨーシキワーカの方では。
「……頼めるか?」
『……フンッ』
シュン
とヨーシキワーカの頼みで、アントラローダイトがウェーブグローバルポリスの救援措置に向かうのだった。
その捨てゼリフは、『必要ないと思うがな……』だった。
と横にいるヨーシキワーカと同じ顔をしたアンドロイド(?)は。
「……」
まるであなたは行かないの、と言わんばかりに視線を投げかけていた。
これには俺も。
「俺は、喧嘩は弱いんだがな……」
と言いつつ、後ろ頭をポリポリと書いて、こう告げる。
「……あまり期待するなよ?」
「……フッ」
そして僕等も、この某ターミナルビルに入所するのだった――


☆彡
――クリスティさんの回想シーンが一時終了し、現在に戻る。
「………………
………………
………………」
場に流れるは沈黙……。
その静寂を打ち破ったのは、父ダイアンの一言であった。
「――良く出来た作り話だな」
と。
「!」
(そんな……信じてよぉ~~!!!)
あたしは心の中で嘆く。
(そんなまただわ……!! あの時も……ッ!!)
それは以前にもあったという事だ。
だが、今回ばかりは信じて欲しかった。
話を信じない父親に、もう、どう説明していいのかわからない。
そこへ長女ルビーアラさんが。
「これだけ長い時間、あなたは滅多に帰ってこなかった……」
「ッ」
そう、少なくとも数回は自宅(マイホーム)に帰ってきている。
けれど…不仲だけは解消できず……。
取り返しのつかない大きな溝ができていたの。
「それだけ長い時間があれば、いくらでも手の込んだストーリーは考えられる!!」
「うん!」
「理想の虚実だな!」
「ええ、そうね!」
ガ――ン……
「………………」
と絶望の音が鳴る……。そこには、希望が見いだせない……。
どんなに上手く、言い繕っても、時間という溝だけは、埋まらないから。
これにはあたしもついに。
「ううっ……シクシク……」
ついにあたしは涙腺が崩壊し、涙を流してしまう。
それはホントの涙だったわ。シクシク、メソメソと……。
スバル君が動こうとしたけど、動きが取れなかった……。
それは怪しむように見据える恵ご夫妻も同じだ。

【――疑惑の真偽が掛けられていた】
【それだけ長い時間、1人、家族と離れていたからだ】
【その真偽を晴らせる、アリバイがない、証拠がない、証人がいない……】
「……」
【俯き黙り込むクリスティ】
【彼女は黒である。これだけは変わりようのない事実である】
「……」
でも僕は、そんなクリスティさんの様子を見ていて。
【この時、少年は何を思う――】
「………………」
僕は、そんなクリスティさんの様子を見ていた。
どうすれば、いいんだろう。
何をどうすれば、この家族の中を引き戻せるんだろう。
何か、僕にできる事は……。
とその時、父ダイアンが。
「どんなに泣いても無駄だぞクリスティ!!」
「!」
続く長女ルビーアラが。
「うん!」
「……」
再び、父ダイアンが、娘クリスティの心を砕く、酷い一言を言う。

「妻が死んだのは、お前のせいだ!!」

ド――ン……
二度目の絶望が襲う。
それは現実の宣告だった。これは、言い逃れができない……ッ。
「……ッ」
「俺たちは、何度もお前に繋げようと、電話を! メールを送った! ……なのに何だ!? 『音信不通』とは!?」
「何であなたに繋がらないのよ!?」
「そ、それは……、新しく『フューチャーウォッチ』を買い替えていたから……!」
腕時計型携帯端末の名称が判明、その名は『フューチャーウォッチ』。
直訳すれば未来の腕時計。なんかスゴイ安直……。
「フューチャーウォッチが、海水浴が原因で、塩水が入った事で壊れたんだっけ!?」
「ええ……」
「アホか!!! 防水性能があるんだから、壊れるはずがないだろ!!!」
「いや……でも……だって……」
何とかして言い繕うとするクレメンティーナ。
もう顔が涙にぬれて、皺くちゃだ。
(もうホントに、どうすればいいの~~!?)
あたしは頭を抱えて、考え込む。
その時、スバル(僕)は、クリスティさんの様子を見ていて。
「……」
その心の中で。
(……あれは、ウソ泣きじゃない……ッ)
それだけはわかる。
でも、ホントの真実がわからない。そのすべての全容が……。
とそこへ、恵アヤネさんが、助け舟を出す。
「――まぁ待ってください」
「ムッ!」
これには父ダイアンとしても、他所の親から静止がかかったので、待たざるを得ない。
「……」
「……」
父ダイアンが、長女ルビーアラが、呼び止めに入ったアヤネさんに振り向いていく。
アヤネさんは、こう言いかける。
「1つの家族がバラバラになるのは、見ててこちらも苦しいです」
「ム……ムムゥ……!」
「それ相応の理由があって、然るべきです! それに……」
チラッ
あたしはクリスティを見やりつつ。
「こちらも見聞きしてて、どうにも不可解な点が多過ぎます!」
「確かにな……!」
あたしはそう、説明を補足した。
これには夫も、強く頷き得たわ。
そして、こう思う。
(どうにもこれは、事件性があり、きな臭い……。
真実を明るみにしていくべきね。……でも……今できる事かしら……?)
あたしはそう思う。
「今わかっているのは、クリスティさんの言葉を借りれば、
ハメられたダイアンさん達ご家族と、引き離されたクリスティさんから見た、ホントの昔の出来事にように聞こえます!」
コクリ
「……」
とこの言葉に夫恵ミノルさんが頷き、僕も頷き得る。
クリスティさんとしても嬉しく、顔が明るくなった。
この言葉をヒントに、スバル(僕)の思考が加速する。

(――キーワードが少な過ぎる……! まだ点と点であって、どちらも正しいならば、どこかに見落としているピースがあるはずなんだ……!)

スバル(僕)は真実の扉を開こうとしていた。
このキーワードが少ない中で、その事情を知ってそうな人物像は。
「事情を知ってそうなのは……」
「!」
その時、みんなが僕に振り向く。
「ドクタースプリング! サマー! オータム大統領! ウィンター!
この警察に捕まった4人に加え、他に怪しいのは、
ドクターイリヤマ、ドクターライセン、電気工事士のミシマ、そして……!
マイアミの公共職業安定所(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)のヨシュディアエさん……。
都合、この8名が怪しいよね……!?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
父ダイアンが、長女ルビーアラが、恵ミノルが、恵アヤネが、そしてクリスティが、
「……」
次の少年の発言を待つ。
「欠片(ピース)が足りない……パズルを組み立てるピースが足りない……」
僕は顔を上げて――
「――事情聴取の必要があると思うけど……!?」
「事情聴取……あっ!」
このスバル君の言葉をヒントに、恵アヤネ(あたし)は、何かがおかしいと思い。
バッ
とクリスティさんに振り向いたの。
そして、思わず、こう呟いてしまう。
「く……クリスティさん……」
「……はい……」
これは言ってはならない一言。
彼女を傷つけてしまうかもしれない一言。
でも、アヤネ(あたし)はそれを言うの。
この時クリスティ(あたし)は、妙に上ずっていたアヤネさんの言葉に、何だろうと訝しげんでしまう

「あなたは何で、警察に捕まらなかったんですか!?」

そのたった一言で、この場は静寂に包まれる。
それはヒドイ一言だった。
「………………
………………
………………」
だが、この長い沈黙の中、少年の思考が進む。
(待てよ……これって……! 事件の謎を紐解く……鍵なんじゃ……!?)
少なくとも、僕にはそう見えた。
バッ
とクリスティさんの方を振り向いて。
「……」
彼女の口から語られたのは。
「……よくわかんないけど……あたしを逃がしてくれた方がいたんです……! 質疑応答も、何かよくわかんなくて……」
「……なるほど……」
何かを察する恵アヤネさん。
まるで名探偵のように推察する。
「――これは仮説ですが、あたしの推理を聞いてください」
「……」
一同の視線が、恵アヤネさんに集まる。
その最初の一言は――
「――騙されていた……!」
だった。続く言葉は。
「最終的にここにいきつきます!
では誰が誰を騙すのか?
それは、ドクタースプリングが、クリスティさん欲しさに騙していたと推察できます!」
コクリ
「……」
これにはあたしも同調するように頷き得る。
当時の話を語ったあたしとしても、それは事実であり真実なのだから。
「では、どうすれば良いか? クリスティさんの要望・希望に沿わせないといけません……!!
けど、連絡が取れなかったのが、最大の痛手でした……!!」
「それってフューチャーウォッチの事?」
「ええ、そうよスバル君! 連絡が取れない事で、意思表示の、情報交換がままならず、結果的に、最悪な結末を辿ってしまう事が、ままあるの……!!
今の、クレメンティーナさん達のご家族のようにね」
「……」
黙り込む父ダイアンさんに、長女ルビーアラさん。
僕はその様を見て。
「な、なるほど……」
と頷き得る。
勘が鋭い妻アヤネの名推理に、舌を巻く夫ミノルさん。
「……」
そこへクリスティさんが。
「でも、良くわかりましたね……?」
と言ってきて。
アヤネ(あたし)はこう返すの。
「ええ、この事件性を見るなら、ある推理アニメを参照にすればわかります。
主人公の少年は、その事件を良く調べるため、自分の足で調べながら、仲間たちや重要参考人たちの呟きを聞いて、
論理的に推理を立てるんです。
そして、何か物的証拠はないかと探っていくんです」
「……」
一同、次のアヤネさんの言葉を固唾を飲んで待つ。
「そう、犯行を犯すなら、
その犯人達を追い詰める為、
その名探偵たちは、外枠から埋めていくんです。
言い逃れができないように……!
こう考えれば、自ずと誰でもわかります」
「なるほどな」
「……」
これには、夫恵ミノルさんとしても、頭の切れる妻アヤネさんを持ったことで、鼻が高く。
この話を聞いていたスバル(僕)としても頷き得る。
「でも、ピースが足りな過ぎる……!」
「!」
あれっ、その言葉って。
「そう、さっきのスバル君の言葉を借りるならね!」
「……」
フッ。
「……」
「……」
「……」
押し黙って、名探偵(?)アヤネさんの話しぶりを聞く、ダイアン、ルビーアラ、ミノル、
「……」
そして、クリスティさん。
あたしは、この人に振り向き、こう質問を投げかけたの。
「クリスティさん」
「はい」
「1つ、お尋ねしますが……よろしいでしょうか?」
コクリ
「……」
と頷き得るクリスティさん。
「……その後、どうなったんですか!?」
「……」
「それが犯行になり、それが原因であちらにいる」
「……」
「……」
「ご家族の方に迷惑が被りました……。あたくし共としても、事件性を外堀から埋める必要があるため、よろしければ、お聞かせ願えませんか?」
「……わかりました」
ニコッ
と笑みを浮かべる恵アヤネさん。
その心中では。
(きっとこの子は、素直な子だったんだろう。
でも、過去に何か、人には言えない裏事情・黒歴史があり、ここまで性格が捻くれてしまったのだろう)
あたしは、そう推察するのだった。


★彡
【マサチューセッツ総合病院(MGH)に隣接する高層マンション】
【――病院の一騒動が終わり、あたしとスプリングは、マンションに戻ったわ】
【マンション……!?】
【ええ、病院近くのマンションに住み込んでいたもの……意外と便利よ! 救急があった場合、すぐに駆け付けられるようにね!】
【ああ、なるほど……】
200年後のアメリカ合衆国マサチューセッツ州は、現在よりも、一軒家の数が激減し、高層ビル群等が多く立ち並んでいる為、アパート、マンション等に住み込んでいる人の数が多い。
この周辺で一軒家となれば、特区、第一区分に相当し、年間の土地代と維持費がバカにならないのよ。
まぁ、治安の悪いところでは、それ限りではないけど……。
あたし達が、出入口のドア付近に近づくと、
『お帰りなさいませ、スプリング様、クレメンティーナ様』
AIの人口声明のものが聞こえてきたわ。
ここに住み込んでいる管理者は、そうスプリング。彼なの。
ガチャ
と自動ドアのロックが解除されて、あたし達を招き入れてくれる。
「……」
「……」
あたし達は、そのマンションの一室に足を踏み入れていくの。

――そして、その様子を、遠方のビルの屋上から、見詰める観察者がいた。
その目を細める。


★彡
【ケンブリッジターミナルビル】
中は騒然としていた。
犯人達側、ウェーブグローバルポリス達側が、ゴーグルをかけ、位置情報システムを頼りに、相手の出所を先に知り得て、
その手に持った『電子銃(プラズマガン)』の引き金(トリガー)を引き、
銃撃戦(ドンパチ)を繰り広げていた。
何条ものレーザー光線が飛び交い、人が撃たれていた。
時には、壁、ドア、天井、床を貫通しながら、銃撃戦を繰り広げていく。
警部補の発破が飛ぶ。
「位置情報システムを的確につけ!! 犯人達よりも、速く撃て!!!」
人を打つことをためらっていては、先にこちらに被害が出る。
負傷者が死傷者が。
私は、そうした現場を何度も目の当たりにしてきた。
「ためらうな!!! 撃て――ッ!!!」
迷いを振り切ったウェーブグローバルポリスが、その電子銃の引き金(トリガー)を引き、銃口が電荷の火を噴いた。
ビュッ、バンッ
斜め上の天井を貫通し、上のフロアのドア越しすら貫通し、犯人を撃ったのだった。
撃たれた箇所から、赤き鮮血が噴き出し、
そのまま犯人は、よろめきながら、床上にドサッ……と崩れ落ちる。
広がりゆくは、赤き鮮血の湖……。
その犯人を撃ち殺したかもしれないウェーブグローバルポリスの手は震えていた。
だが――
「迷うな!!」
「!!」
「その迷っている一瞬で、生死が分かれる……!!」
「ハッ!」
それは今の自分の立場だ。
「相手も同じだ!! 今お前が生きているのは、その一瞬の勝機を先に掴み取ったからだ!!」
「……」
「お前が迷ったら、仲間の誰かが殺される!! お前はそれを救ったんだ!!」
「!」
(人を騙してでも、お前達を守る!! それが上に就く者の運命(定め)だ!!)
私は、自分自身に言い聞かせる。
それは心の暗示だ。
「この場を生きて帰ったら、酒の席に行こう!!」
「「「「「!!」」」」」
「お前達新人の言い分もある!! こうした現場を繰り返してきた熟練者(俺)達の言い分も聞いて、線引きをしろ!!! これが厳しい社会の現実だ!!!」
その言葉を聞いて、私たちは、コクンッと強く強く頷き得るのだった。
「迷いを抱えてでも、今は俺を信じて続け!!」
警部補の発破が飛ぶ。
「血路を開け――ッ!!! お前達――ッ!!!」
「「「「「オオオオオッ!!!」
続くウェーブグローバルポリスの人達。
やられる前にやる。
躊躇すると、こちらが先に殺される。
死に物狂いで、突撃(アタック)を敢行するのだった。

――その後、そこへ足を伸ばしてきたのは、ヨーシキワーカと似た顔をしたアンドロイド(?)だった。
「……」
「……」
俺が顔を上げると……。
ビュッ、ビュッ、ババンッ
ウワァ!!
上の方で銃撃戦が、繰り広げられていた。
その目を細める。
その時、言い知れない不安感が襲ってきて。
脳裏に過ったのは、銃口が向けられたイメージだ。
「!! 危ないッ!!」
「!」
俺はこいつを指差した。標的はお前だ。
僕は、一瞬早く、ヨーシキワーカさんが指差した事で、ここが狙撃ポイントであることを知ったんだ。
「避けろ!!」
だから、後ろに飛んで、それを躱すことができたんだ。
それは斜め上からの射撃だった。
ビュッ
光の光線銃が、床を貫通したんだ。
打ち貫かれた床は、まるで熱で焦げたように、赤熱しながら、黒く変色していった。
僕はその様子を見ていて。
「………………」
気がつけば、顔を上げて、この人を見たんだ。
何でわかったの、良く分かったね……って言わんばかりに。
そしたら彼は、こう言ったんだ。
「……危機感知能力だ!」
あぁ、やっぱりね……だと思ったよ……。
ビュッ、ビュッ、バァン
ウワァ
さっき撃ってきた人は、上にいた誰かに撃たれた。
「……」
「……」
俺たちは、僕たちは、目を細めて、ここが戦場であることを認める。
とヨーシキワーカさんが。
「使われている光線銃は、『電子銃(プラズマガン)』……!!」
それが武器の名だ。
俺は、倒れている警察官が持っていた、それを拝借する。
「これは、ゴーグルを頼りに、位置情報システムを使って、相手の居所を先に特定し、これを用いて銃撃するんだ!」
ついでに俺は、この倒れている警察官から、ゴーグルも拝借する。
「……」
僕はその様を見ていて。
「だが、その破り方は簡単だ!!」
まぁ、当然だよね……。
なんて驚く必要もない。
事もあろうにこの人ときたら、さらにこの警察官から身ぐるみをはいで、防弾チョッキならぬ不鮮明のセラミックス防弾チョッキを、無断で拝借するのだった。
「プラズマは、電子のやり取りだ!!
それを高温・高圧で爆縮させ、まるでレザーガンのようにして、ドンパチしている……!!」
ビュッ、ビュッ、ババンッ
ギャア!!
「要は、核融合炉に使われている、ガラスみたいなセラミックスの逆で、光を散乱させることで、それを妨げることができる……!
……この不透明のセラミックスを使えばいいんだ……!」
そして、こう付け加える。
「また、セラックスは、温度上昇の融点が低く、耐熱性がある!
まぁ、セラミックスは、陶器の一種だがな……!」
俺は、フッ……と笑みを浮かべる。
――その時。
ビュッ
と斜め上から、レザー光線が急襲するのだった。
次の標的は、ヨーシキワーカ。
それは、斜め上背後からの急襲だった。だが……。
バチンッ
とその手に持った防弾チョッキで、それを易々と防ぐのだった。
それを見て僕は。
ヒュ~~♪
やるねえ、さすがに。
「……上に行こう……!
……その途中で、お前の分の不透明セラミックス防弾チョッキも、拝借しよう。……盾もな!」
「フッ」
さすがにできる人だね。


★彡
【電脳空間】
「ボルケーノ――!!!」
マグマみたいな溶岩流が襲う。
その攻撃で、次々と味方がデリートしていく。その攻撃の主は。

【ダイナソーボルケーノ】
見た目はまるで恐竜みたいなAIナビで、その背中に背負っているには活火山、マグマをイメージしたものだった。
見るからに強そうで、ボスクラスだ。
これには警察官たちのAIナビも、歯が立たない。

『クッ……ここまできて……!!』
『ギャア!!』
放射状のマグマが襲い、また1人、デリートしていく。
『……つ、強い……!!』
『ガハハハハハ!!! 俺様がいる限り、この最後のセキュリティーは誰にも破れんのだ!!!』
自信満々に告げるこのフロアの大砦のボス。
こいつを倒さないと、次に行けないのだ。
だが、仲間たちは次々にやられて……。
『……』
『……』
だが、俺たちはまだ諦めてはならないと、抵抗の意思の炎を上げていた。
まだ、まだ、この正義の灯は折れていない。
その心の炎は、瞳にも焼き付いていた。
ダイナソーボルケーノの溶岩流の炎が映り込む。
その時だった。謎の声が響いたのは――

『――そいつはいい事を聞いた』

『!』
『!』
ダイナソーボルケーノが、警察官のAIナビたちが、辺りの様子を伺う。
その時、現れたのが。
シャッ
白いフードで身を隠した、とあるAIナビの姿だった。
ダイナソーボルケーノが、そのAIナビにこう問いかける。
『お前は……!?』
残りの警察官AIナビ2人が。
『まさか、新手の仲間か!?』
『クッ、挟み撃ちかよ!?』
「……」
ジッと見据えるAIナビ。
ダイナソーボルケーノが。
『……お前、何者だ!?』
『……』
『……』
黙り込むウェーブグローバルポリスのAIナビ2人。
その2人は声を揃えて。
「「えっ……?」」
と呟くのだった。
犯人達側のAIナビも、
ウェーブグローバルポリス側のAIナビも、このナビの所在を知る者はいない。
「……」
バッ
とその時、白いローブが見えたのは、そのナビの手だった。
その手に持っているのは、何かの機械の武器であり、刀身のない柄だ。
だが、今ばかりは使う場面ではない。
俺は、犯人側にこう宣告する。
『殲滅する!!』
『………………やってみろ!』
不可避のバトルが切って落とされる。
白い影VSダイナソーボルケーノ


TO BE CONTINUD……

しおり