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プレゼンテーション

その日、貴仁は高田重工業の会議室で緊張感に包まれた空気の中、PT-RFIDに関するプレゼンテーションを行っていた。彼はこの技術の研究開発のための出資を求めるために、緻密に計算されたデータや革新的なアイデアを提示していく。

プレゼンテーションを聞いていた高田圭司社長や小林純一課長は、興味津々な表情で質問を投げかけてきた。

「このPT-RFIDはどの程度の距離まで通信が可能ですか?」

「現在のプロトタイプでは、おおよそ100メートルまでですが、今後の研究開発によってはさらに距離が伸びる可能性があります。」

「セキュリティ面での対策はどのように行っていますか?」

「データの暗号化技術や認証システムを導入することで、セキュリティを高めています。また、不正アクセスに対してはリアルタイムで検知し、対処する仕組みも検討しています。」

プレゼンテーションが終了すると、高田社長は満足そうな笑顔を見せた。

「素晴らしいプレゼンテーションだったね。君のPT-RFIDに対する情熱と知識には感服したよ。」

「ありがとうございます、高田社長。この技術が社会に大きな変化をもたらすことを信じています。」

高田社長は少し考え込んだ後、貴仁に提案を投げかける。

「君のような才能を持った人材は、是非とも我々のチームに加わってほしい。高田重工業の社員にならないか?」

貴仁はその提案に驚きつつも、内心複雑な思いが交錯していた。

「高田社長、お言葉光栄に存じますが、現在の研究チームと共に続けたいと思っています。ただ、我々のプロジェクトへの協力や出資については、大変ありがたく思っております。」

高田社長は少し残念そうな表情を浮かべつつも、理解を示す。

「それは残念だけど、君たちの団結力や情熱を尊重するよ。では、我々としては、出資や技術面での協力を行っていくことにしよう。」

貴仁は感謝の気持ちでいっぱいだった。

「本当にありがとうございます。これからも一層努力し、高田重工業が誇れるような成果を出せるように励みます。」

小林課長も笑顔でうなずく。

「我々も全力でサポートしますので、何か困ったことがあれば遠慮なく相談してくださいね。」

会議室を出てロビーへ戻る時、三浦剛志と会った。彼は瑛介が高田重工業に所属していた頃の同僚であり、貴仁にとっては恩人のような存在だった。

「三浦さん、お久しぶりです。」
「貴仁くん、元気そうで何よりだ。会議は上手くいったかね?」
「はい、高田社長には好意的な反応をいただきました。これからも研究を続けていく予定です。」
「それは良かった。瑛介さんも喜んでいることだろう。お前さんは彼の意志を継いでいるんだから。」

その時、ふと目に留まったのは、純礼だった。彼女がロビーにいることに驚いた貴仁は、声をかけようとするが、間もなく純礼は出て行ってしまう。貴仁は純礼の後姿を見送りながら、彼女が何のためにここに来ていたのか気になっていた。

「どうしたの、貴仁くん?」
「いや、純礼がいたんですが、どうやら用事があったみたいで、すぐに出て行ってしまいました。」
「そうか、また今度会える機会があるだろう。大丈夫だ。」

貴仁は三浦に会釈し、気になる心を押さえつつ、高田重工業を出ることにした。

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