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病院へ

病院では、潤の重症が判明し、すぐに手術が行われることになった。
貴仁と純礼は、病院の待合室で緊張しながら手術の結果を待っていた。

「貴仁、潤さん、きっと大丈夫だって。病院の先生たちはプロだから。」
「ありがとう、純礼。そうだね、信じよう。」

数時間後、医師が待合室に現れ、手術の結果を伝える。
幸い、手術は成功し、潤の命に別状はない。
医師は潤の経過と医療費の説明を行う、貴仁は約束通り、治療費を負担することになった。

潤が無事であることには安堵するが、もう1つ問題が残っている。ありさだ。
潤が病院での治療とリハビリを経て回復するまでの間、ありさはどこで過ごすべきか。
まさか、スラム街に戻すわけにもいかない。

「ありさちゃんのことも考えないと。」
「貴仁、ありさちゃんのこと、私が引き取るわ。潤さんが回復するまでの間、彼女の面倒を見ることになるでしょうし、一緒に暮らすことで、彼女の生活を少しでも安定させたいと思うの。」
「本当に?それはありがたいよ。でも、純礼は大学や研究も忙しいだろうに。大丈夫?」
「うん、大丈夫だって。ルールがあるけれど、そこはなんとかする。」
やると決めている目だ。任せてもいいだろう。

純礼はありさを自宅に引き取ることを決める。
貴仁も純礼の決断を支持し、ありさを助けるために協力することを約束する。

「ありさちゃん、潤さんが回復するまでの間、私と一緒に暮らさない?潤さんが元気になるまで、私が面倒を見るわ。」
ありさは驚いて、目を丸くする。
「えっ、本当に?でも、純礼さんは大学や研究で忙しいじゃないですか。私、迷惑じゃないですか?」
「うん、お父さんに話してからになるけど」

潤は手術後、意識を回復していた。
医師からは短い間ならば会話できると言われている。

純礼と貴仁は病室で潤にありさのことを話す。
「潤さん、手術が無事に終わって本当に良かったわ。少し痛みがあるかもしれないけど、無事に回復するって医師が言ってたわ。」
潤はうつろな目で純礼と貴仁を見つめ、力なく微笑んでみせる。
「ありがと…。ありさは…どう?」
「実は、その話があるんだ。潤がここで回復してる間、純礼がありさを引き取って面倒を見ようと思う。」
申し訳ないという気持ちはあるのだろう。しかし、それを表情に出す余裕もないようだ。
潤の目に涙が溢れる。
潤:「ありがとう…本当に…ありがとう…。」
何かあった時は誰かが助けてくれる。こんな当たり前のことも、この家族には当たり前ではないのだろう。

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