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日常

翌朝、貴仁は雨が上がった東京の街並みを眺めながら、自動運転の電車で東京科学大学へ向かっていた。自宅から最寄りの駅まで徒歩で10分ほど歩き、途中でコンビニに寄って朝食を買う。今日の朝食は、おにぎりとサンドイッチ、コーヒー。

レジで支払いを済ませる際、貴仁はリストバンド型のT-RFIDチップを用いて財布なしで買い物ができる仕組みを利用した。
彼が手首に装着しているリストバンドに搭載されたT-RFIDチップによって、支払いが瞬時に行われた。
この技術のおかげで、財布を持ち歩かずに買い物ができるようになっていた。

東京科学大学に到着した貴仁は、朝食を食べながら、今日の授業について考えていた。
今日は、T-RFID技術に関する最新の研究成果についての講義がある。
リストバンド型のT-RFIDチップを手にして、その機能と可能性について思いを馳せた。

T-RFIDとは、テラヘルツ周波数帯を使用した高速で効率的な情報通信システムである。RFID(Radio Frequency Identification)技術を基にしており、無線周波数を使ってタグ(ICタグ)とリーダー(アンテナ)間で情報のやり取りを行うシステムだが、T-RFIDではテラヘルツ周波数帯を利用することで通信速度や読み取り範囲、データ容量などが向上し、より高度な情報通信が可能となっている。

都市インフラや交通システムの効率化や新たな産業応用が期待されている。今後は、幅広い分野で応用されることが期待されている。
貴仁は、父・音道瑛介が開発に携わっていたT-RFID技術を引き継ぎ、東京科学大学の電子研究部でさらなる研究や発展を目指していた。今日の講義で、T-RFIDに関する最新の研究や応用事例が紹介されることを楽しみにしている。

T-RFIDシステムは、DTS(Domestic Tracking System)法に基づいて開発されたシステムである。DTS法では、全ての人がT-RFIDタグを持つことが義務付けられている。当初はプライバシーや個人情報の保護に関する反対の声もあったが、T-RFIDが提供する利便性が徐々に認識されるようになった。

今では、コンビニでの決済や電車の改札、施設の入退場管理など、日常生活のあらゆる場面でT-RFIDが活用されている。さらに、公共端末もT-RFIDを利用しており、個人情報を入力することなく、誰でも瞬時に自分のユーザーIDでアクセスできるようになっている。これにより、様々なサービスの利用がより手軽で効率的になっている。東京科学大学の端末でも取り入れられている。

T-RFIDの普及に伴い、多くの人々はこのシステムがもたらす利便性を享受しており、反対の声も次第に収まっていった。
しかし、一部にはまだT-RFIDに対する懸念も存在している。
貴仁は東京科学大学の電子研究部でT-RFID技術をさらに発展させることで、その懸念を払拭し、より安全で快適な社会を実現することを目指している。

「今日は、最先端の無線通信技術について学びましょう。これまでの授業で、RFID技術を学びましたが、今回はさらに進んだT-RFIDについて話します。」
大学の教室では、教授・藤原先生が電子工学の授業を行っている。藤原先生は、明るく知的な雰囲気を持っており、学生たちからの人気も高かった。

授業が進む中、純礼が教室に入ってきて、貴仁の隣の席に座った。貴仁は彼女にほっとした笑顔を向けた。

純礼:「どうだった、先週の試験は?」

貴仁:「まあ、なんとかなったかな。君はどうだった?」

純礼:「私もなんとか大丈夫そう。」

授業が終わり、貴仁、純礼は研究室へ向かった。啓太は既に研究室に来ていた。

3人は、「PT-RFID」と彼らが呼ぶプロジェクトを行っていた。
Point T-RFID、つまり、座標情報込みのT-RFIDタグである。テラヘルツ波の到達時間(TOF)を用いることで、数十ナノメートルの誤差でRFIDタグの位置を測定する機能を持つ。このタグをいくつも搭載することによって、あらゆる物体の位置と姿勢を正確に測定できる。

この技術を用いてドローンを高速、高精度で制御する技術を開発していた。開発したドローンで、大会に出場する予定もあった。

研究室に着くと、3人はそれぞれの作業に取りかかった。貴仁は最新のドローンを組み立てていたが、純礼と啓太はプログラムの改良に取り組んでいた。

貴仁:「純礼、アルゴリズムの最適化はどうだ?」

純礼:「うーん、そろそろ限界に来てるかも。でも、まだもう少し改良できると思う。」

啓太:「そうだね。僕もセンサーの精度を向上させる方法を模索しているんだ。それによって、ドローンの制御性能がさらに上がるはずだよ。」

ドローンは、リストバンド型のウェアラブルデバイスを用いた制御も行っている。ドローンの操作は、シューティングゲームに熱中した経験のある貴仁や啓太には簡単な操作でも、純礼には難しいものだった。貴仁は純礼にドローンの基本的な操作方法をレクチャーし、純礼は少しずつ慣れていく様子だった。

しかし、純礼は操作に戸惑うことが何度もあり、より直感的に操作できる方法について議論することになった。
貴仁は、「ウェアラブル端末を使えば、腕の動きを直接測定すれば、もっと直感的に操作できるんじゃないか」と提案した。

仕組みはこうだ。リストバンドとグローブが一体となった形状のデバイスで、腕、指のの動きや角度を高精度で検知し、これらのデータをリアルタイムでドローンの制御システムに送信する。ドローン制御システムでは、この腕の動きからドローンに制御情報を伝える。腕を回転させると旋回、指を近づけると前進、といった具合だ。

純礼はリストバンド型のPT-RFIDタグを使って、見違えるようにスムーズな操作ができるようになった。

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