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第3章の第54話 X1 ダイアン ルビーアラ サファイアリー エメラルティ



【シーサイドホテル(タラッタ ディプラ クセノドヒオ)】
そこは海の側に立つ大きなシーサイドホテルだった。それは立派な外観。
タラッタ ディプラでシーサイド。
クセノドヒオでホテルと読み解く。

【お食事処バイキング(エスティアトリオバイキング)】
エスティアトリオでお食事処、レストランと読み解く。
バイキングはそのままバイキングだ。
そのバイキング形式の式場では――
「――とんでもないやつね、レグルス……」
「「お前が言えるか――ッ!!!」」
「!」
クリスティ(あたし)は、後ろに振り返る。
言葉を投げかけてきたのは、他でもないダイアンさんとレビーアラさんだった。
「――え? パパ……それにお姉さんも……」
ムスッ
としていた、それも難しい顔で。
「お前が医者になってから、いや、それ以前にも噂は聞いていたぞ」
「……」
(噂……!?)
あたしは頬に汗がにじみ。
僕はクリスティさんの顔を覗き込む。
「……」
クリスティさんとしても、何か思い当たるところがあるのか、苦い顔をしていた。
僕は、お父さんにこう尋ねる。
「……何かあったんですか?」
「何かじゃない!! もうメチャクチャだ!! こいつのせいで!!」
「!?」
「!?」
「……」
僕、恵ミノルさん、クリスティさんと反応を示す。
「……!?」
出遅れて、恵アヤネさんも反応した。
「いったい何から言えばいいのか……。切り出し方も億劫になるほど、こっちも色々あったんだ……!」
チラッ
とダイアンさんは、娘のクリスティさんを見て。
「人の人生を滅茶苦茶にし、あまつさえこの女は、人を自殺まで追いやった……殺人鬼だ!!! 医者の名前をしたな……!」
「――え?」
「――な!?」
「――え?」
「……」
スバル君が、恵ミノルさんが、恵アヤネさんが驚いた様で、振り返っていく。
クリスティ(あたし)は、どうしたものかと億劫になっていた……。
「最近の噂を聞けば、人が死んで、それを隠蔽工作していたんだ。
あっちこっちで情報が飛び交い、何が正しい情報なのかわからないようにな……。
おかげで、私たち家族は、どうしようもないぐらい追い詰められていく……」
「……」
「……」
「……」
スバル君が、恵ミノルさんが、恵アヤネさんが、その言葉に耳を傾ける。
「借金の取り立てもきたくらいだ……!! だが、俺がもっとも許せないのは……!!!」
ドンッ
と私はテーブルを叩いた。
「患者さんを殺し!!! 高額医療費をたらふく巻き上げた事だ!!!」
「なっ……!?」
これには僕も驚いた。そんなまさか、クリスティさんが……ッ
バッ
と僕は、クリスティさんに振り返り、その心の中で。
(あのクリスティさんが……、……信じられない……!?)
「……」
クリスティさんは黙って、その話を聞いていた。
その視線を、実のパパに向けていた。
睨み合う、パパ、長女、次女の3人。
「……」
「……」
「……」
僕の心に迷いが生じていた。なんて言って切り出していいのかわからない。
「……」
そこへ、その話に割って入るのは、恵ミノルさんだ。
「……事情をお聞かせください」
ケイちゃんのお父さんが、そう尋ねたんだ。
クリスティさんのお父さんは、
「う~む……」
と難しい顔をしながら、こう切り返す。

「……情報戦だ!」

「情報戦……!?」
「あぁ、偽電話詐欺みたいなものだ……!
最初の内は、何が何なのかわからないくらいにこちらを責め立てて、
コロッとなぜか様変わりしたんだ」
「……」
「……」
「……」
恵ミノルさんが、恵アヤネさんが、そして僕がその話を聞き入る。
様変わり、妙な話だ。
「……」
もちろん、クリスティさんも。
「フムゥ……」

【――あの頃を振り返るあたし、その当時の状況を振り返るように、深く、深く、考え込む】

「一番のポイントは、うちと、そこにいるうちの娘が、離れていた事だ……!」
「あぁ……」
(なるほど……)
「フムフム……」
(……あれ? いつだろう……?)

【――その当時、あたしは家出していた】

(あれちょっと待って……?!)

【その当時がわかんないくらい、あたしの周りにもいろいろな出来事が起こっていて】

(あれ……いつだろう……? ンンッ!?)

【その時期が断定できない……?!――】

――父ダイアンは語る。
「うまくは言えないが、今わかっている限りで、当時の状況を話そう」
「それくらい、あたし達の周りで、色々と不可解な出来事が起こったの……!」
語るダイアンさんに、ルビーアラさん。
父ダイアンが、姿勢を正し、こう切り出す。
「ポイントから、話していこう! 始まりは、1本の電話だった――」


★彡
PPP……PPP……
とTV電話が鳴る。
その当時、ルビーアラさんは自室で寝息をたてていた。
その電話に出たのは、父ダイアンであった。
そのTV電話画面に、外国人の男性が映り込む。
「……どなたですか!?」
『ミーは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州ボストン郊外にある私立大学の講師を務めているものだ!』
「えっ!?」

【――大変なところからTV電話がかかってきた】
【私はそう痛感した】

「実は、お宅の『娘さん』が不祥事を起こしまして……」
「なっ!?」
(まさか……また……ッ!?)

「第一発見者は、当大学病院講師イリヤマ先生とライセン先生です」

【いったい何が……!? 私の頬に冷たい汗が伝ったのを感じた……】

ここで、ンンッ!? と多くの疑問を覚えた人たちがいたはず。
それもそのはず、この『娘さん』クレメンティーナ(本名クリスティ)には、とんでもない前科がある。
だが、そこにはまだ触れない……。
だが、今わかっている限りで、それを記していこう。
クリスティの生まれは、『アメリカのフロリダ州のマイアミ』。
次に、大学病院は少なくとも2回以上は転々としている。
1つは、アメリカ合衆国のマサチューセッツ州ボストン郊外にある私立大学で、有名な『ハーバード大学の医学部』。
そしてもう1つは、カナダのブリティッシュコロンビア州にある『ブリティッシュコロンビア大学』である。
このブリティッシュコロンビア大学には、大きく分けて2つのキャンパスがあり、
1つは、ブリティッシュ州内にある、バンクーバーキャンパス。
そしてもう1つは、同じくブリティッシュコロンビア州内にある、ケロウナのオカナガンキャンパス。
この2つの主要なキャンパスである。
クリスティが進んだのは、前者のバンクーバーキャンパスである。
バンクーバーキャンパスは、アメリカとの国境に近く、カナダ南西部のブリティッシュコロンビア州最大都市にして、北米有数の世界都市でもある。
そこに目をつけたのは、さすがである。
バンクーバーのダウンタウン中心部から、30分の場所にあり。
少し足を伸ばせば、雄大な大自然が広がる、雪を被った山々が、海と出会う、素敵な場所。
スタンレーパーク、キャピラノ吊り橋、グランビルアイランド、バンクーバー水族館、バンクーバー美術館。
ザッと上げただけで、これだけの観光名所がある。
そして、同キャンパス内には、おおよそ5万人以上の将来有望な大学院生たちが日夜勉学を学んでいるのだ。
が、そこから特別救い出されたのは、ほんの一部の優秀な学生さん達である――

――そして、問題の本題。

【――ハーバード大学の医学部】
【それは、アメリカのマサチューセッツ州ボストン近郊のケンブリッジにおく私立大学である】
【最早説明不要の誰もが知る世界トップレベルの名門大学ハーバード】
【その合格率はわずか5%】
【年間出願者数は4000万人のうち、合格できるのはわずか2000人程度……。その合格率は5%に留まる……】
【ここに集まるのは、アメリカ全土から、それこそ世界各地から、ハーバードを目指す未来ある若者たちが手願しているのだ】
【ハーバードを合格するために――】
【才ある若者の、出願者同士での厳しい競争に抜きん出て、狭き登竜門を潜り抜けた、真のエリートだけが入校を許される】
【将来の世界を担うエリートして、日夜英才教育を受ける事ができる】
【ただし、200年後の22XX年――】
【そのハーバード大学も、建物の老朽化に伴い、新校舎が設立されている。それも姉妹校のキャンパスが】
【クリスティは、そこの一生徒として席を置いているのだ】
【クレメンティーナ……という新しい名を得て】
【だが、そんな事をつゆ知らないパパさんは――】

(えええええっ!? 何でそんなところにいるの――!? あの事件からいったい何があった――!?)

【――真実を覆い隠す、理想の裏事情がある】
【だが、そう当時、当人たちは何も知らない……】
【実直な感想を零すなら、もう訳が分からない……まさしくそれだ】

「な、何かの間違いでは……」
「ムッ!? 間違い……!?」
(まさか、自分の『娘』を信じられないと……!?)

【――そのTV電話に出た大学講師は、父ダイアンに疑いの嫌疑を持った】
【両者の見解は、ここまで、大きく違う】

「ええ、うちの娘がそんなところにいるはずがありません……。そんなに出来の良い頭があるわけ……」
「ハァ―ー……。彼女が専攻したのは医学部」
「……」
「筆記試験は、100点満点中96点!!」
「は、ハァアアアアア!!!?」
「主席にはなりませんでしたが……トップ10入りの1人ですよ!」
「………………」

【――唖然茫然自失去来……】
【父ダイアンは、直立不動の姿勢のまま、その場で、石像と化してしまう】

「もしもしー! もしもしー!」
父ダイアンの回想シーン終了……


☆彡
「96点――ッ!?」
「ハーバードの最難関の医学部で――!?」
えええええ
恵ミノルが、恵アヤネが、信じられない体で大絶叫す。
これには、気分を良くしたクリスティお姉様も。
「フフン♪」
もう自慢気にその胸を張る。
そのはずみで、その魅惑的な特盛の超乳がプリリンとす。
「そんなに頭が良かったんだ……」
(僕と違って……)
もしも仮に、同世代のこの2人が勝負したら、クリスティ100点満点、スバル赤点と決着がつくだろう。
そんなクリスティお姉様が一言。
「おっぱいが大きいだけの子は、頭が悪いと見られがちだけど……どうよ! ホントは頭がいいんだから……!」

【――巨乳の子の面目躍如である】
【実は、統計学的に見ても、巨乳の子の方が頭が良かったりする】

「ハァ――」
と驚いた体のスバル君が一言。
「そんなスゴイ女医だったなんて……。かえって釣り合う人いないんじゃ?」
「ウッ……!!」
(鋭い……)
実はその通りなの……。
大学の頃から付き合っていた殿方がいたけど、ある事件をきっかけとして、既婚間際だったが、結局破局している……。
そこからの人生は、紆余曲折を経て、散々な人生……。
あたしの履歴を見れば、黒ッと誰もが口を揃えて言うだろう。
あたしは平静を装って、気づかれないように、こう話を切り返す。
「だから世界中を探して、あたしの婚約者(フィアンセ)を探していたのよ……。……まっ、あたしのメガネに叶うような人は、今までにいないんだけどね……」
「フ~ン……」
と僕にとってはどうでもよく、そんな素っ気ない態度を取った。
「……」
「……」
そんな2人の様子を認める父ダイアンは。
「コホンッ!」
と小さく咳を撃ち、皆の注意を自分に向ける。
「!」
「……その電話が始まりの契機だった……!」


★彡
「うちの娘が、運ばれてきた重傷者を切った――ッ!!!?」
えええええっ
と2度目の絶叫をす。
『はい! 執刀医はうちの大学病院の理事長の御子息様! 『娘さん』は助手として、まだ無免の扱いながら、人にメスを入れたんです!!』
「えーと……それは……」
待てよ、何の話だ。
大学病院の理事長?
その例えが、仮にもしそうなら、それは病院長よりも、もっと上の立場にある、経営者の類だぞ。法人株主とかの……。
その子供が、執刀医。
何が……いったい何が何なんだ。
『まだ外には情報を漏らしていません』
「ッッ」
(内部告発……!!)
『ですが、『娘さん』が自嘲(じちょう)するのも時間の問題でしょう。周りの生徒たちに伝わるのも、時間の問題かと……!!』
(密告……!!)

【――密告、刑事裁判、賠償責任……その危険性が脳裏に過ぎった】

『その第一発見者は、本校の講師、ドクターイリヤマとドクターライセン!』
「ダクターイリヤマに……ドクターライセン……」
(きっと、高名なお医者様なのだろう……)
私は、小さく頷き得る。

【――ドクターイリヤマ、ドクターライセン】
【あのハーバード大学の医学部に籍を置いているぐらいの講師なのだ】
【その腕は確かなのだろう】
【父ダイアンは、この時、そう思った】
【――だが、この2人、性格に問題があった……】
【そう、それは、以前にもとある問題行動を起こし、他の講師の方々から厳重注意を受け、鳴りを潜めている状態だったのだ……】
【目をつけた特定の人物たちに『どうしようもない問題』や『犯人当てゲーム』等々を仕掛け、人をダメにするのがとりわけ上手い講師たちなのだ】
【動機は、金である】
【そしてその理由は、それを見てて、楽しんでいるキライがある】
【それを、自慢するような、クソみたいな講師なのだ】
【ハメられた人の多くは、訳が分からずに、その人生を棒に振るう】
【……まさか!?】
【そう、世間の誰もが、講師が犯人だとは思うまい】
【いくつかの事件に、1枚かんでいるのだ】
【そうやって、裏で情報操作・情報規制を敷いている】
【従って、本校を出ていった生徒たちが、その職場で働きながら、影の悪口で、物がなくなるなどの被害が発生し】
【その情報通を元に、いがみ合い、『勝手に』潰し合って】
【講師たち側が特に気に入っていた生徒たちに勝つように『仕向けられている』】
【才能と努力家の潰し屋なのだ……】
【また、ある者は、自分たちの狙い通りにハマらないという理由で、根回しの就職難に合い、パートやアルバイト程度に留まる】
【上下関係の規律を敷いているのだ……その裏からの公政……上の圧力で】
【『どうだ!? 俺のやりからは周りからも上手いと評判なんだぞ!!』……と生徒たちの間で噂になっているほどだ……】
【まあ、行きつく先は、どうしようもない問題、犯人当てゲーム等の間違いにより、解雇処分(クビ)だろうが……】
【――だが、この時、まだ、何も知らない父ダイアンは、神妙な面持ちで聞いていた……――】

「……」
『今はまだ内部告発を、あなたに教えた程度ですが……。周りに広がるのは時間の問題でしょう……』

【――それは、病院の関係者か、医師か、患者さんか、生徒か、講師か、定かではない……】
【人の噂とは、角を立てられないものだ……】

「……どんな事態が考えられますか……!?」
『……』
「……」
『……』
私は、そう尋ね返す。
押し黙る2人。
次の言葉を発したのは、TV電話の向こうの大学講師の方だった。
『ハァ――……』
重い溜息をつき、こう告げる。
『まだ無免の一生徒が切ったんですよ!? しかも、その患者さんは一般の重傷者……! バレれば、刑事告発に繋がり、その慰謝料は……』
「……」
ゴクリ
と生唾が喉を通り、臓腑が冷えていくのを感じる。
『アメリカの陪審裁判(ばいしんさいばん)に則(のっと)り、原告側が勝利した場合、1140万米ドルの賠償金額が認められます!!』
「ッッ」
『賠償責任問題です!!』
「……」
【――父ダイアン、再び、2度目の石像と化す】
ピシッ
【しかも、その石像に亀裂が走るほどの……ッ】


――1140万米ドルとは、いったいいくらなのだろうか?
1米ドルが、日本円に換算して約132円である。
ただし、これは世界中の経済流通の上下推移により、増減額を繰り返している。
その為、定まった額はない……。
1140万米ドルという事は、日本円に換算して、約15臆480万円相当であ。
その計算方法は。
米ドルから円の換算式。
1140万米ドルであるからして、
11,400,000×132=1,504,800,000。約15億480万円である。
次に円からの米ドルの換算式。
約15億1289万4000円であるからして、
1,504,800,000÷132=11,400,000。約1140万米ドルである。


☆彡
「えーと……1140万米ドルということは日本円に換算して、ヒーフーミーヨー……ウウッ~~!!」
僕は指折り数えてみたが、まるで訳がわかんない。
そんな計算方法、まだ学校で習ってないよォ~~。
だが、この時、恵さんご夫妻は戦慄していた。
「……」
「……」
それはあちらのご家族も同じ。
「……」
「……」
とここでクリスティさんが、僕を見かねて、こう忌憚のない意見を述べてくれる。
「スバル君」
「!」
「実は、アメリカのドルと日本の円は、年を経るごとに増減推移を繰り返しているのよ」
「!」
「確か、その当時の日本円が1円で、あちらでは132円相当だったはず……。……つまり、日本円に換算すると、約15億480万円よ!!」
「じゅ、15臆~~!!!!!!???」
大絶叫。
一同、これには唖然としながら、驚きの顔を浮かべていた。
「「「「「………………」」」」」
そして僕は。
「そんな大金払えないよ……」
うん、うん、うん、うん
と恵ミノルさんが、恵アヤネさんが、父ダイアンさんが、長女ルビーアラさんが同調するように強く頷き得る。
(絶対に払えないよ……そんなバカげた大金……ッ!!)
僕はそう、心の中で呟いた。
とクリスティさんが。
「――だから、私たち家族は覚悟を決めていた……!」
「うん……!」
「……」
「……」
「……」
父ダイアンさんが、長女ルビーアラさんが、僕たちはその話に耳を傾ける。
「親戚の姉が怒鳴り込んできた事があったんです……! 『こんな豪邸、あの病院に売り払ったらどうね!!』……と。
そこでうちのママが、その妹さんに当たる御姉さんに……。『そんな事言うなら帰ってください!!』……と怒鳴り返したんです……!
実は、その後わかった事ですが……。その親戚の姉さんところにも、TV電話が鳴り止まないことがあったらしいんです……」
「そんな事が……」

【――その長女ルビーアラさんの説明に、尋ね返す恵アヤネさん】
「……」
【こう思う】
【もし、その話がホントなら、この人たちはとんでもない目に会ったのだ】
【家庭がメチャクチャになる、まるで悪夢の始まりを……】

「……」
「……」
押し黙るルビーアラお姉さんに、恵アヤネさん。
続くルビーアラさんの話は。
「父は依然と比べて、床に伏せ……人目を避けるようになりました……」
「……」
「そして、家族が揃っている場で、こう切り出したんです」

【――『もしも俺が死んだら……。家や家庭菜園を担保に出しなさい』……】
【『ただし、向こうに足元を見られないようにして、少しずつ出しなさい』……】
【『………………』】
【『こちらも、何とかするよう周りに働きかけてみる』――】

「――と! 家庭がメチャクチャになりました……」
「なっ!?」
「何でそんな事が……!?」
驚き得る恵ミノルさんに恵アヤネさん。

【――その犯人は、実行犯のドクターライセン、ドクターイリヤマ、ミシマ、ヨシュディアエ、他】
【そして、その状況証拠を残らないよう、裏で証拠隠滅されている】
【隠れ蓑にしている女の職員がいたのだ】
【――だが、その事を知る由もないルビーアラは、こう話を切り出す】

「はい……」
小さく頷き得る。

【――その言葉には怒気と嘆きと悲しみが、複雑に絡み合っていて……】

「そして、危うくうちのママが、ベランダから転げ落ちそうになった事がありまして……心労がたたったんでしょう……」
「ッ!?」
「普段では、あたし達、みんなに心配をかけまいと、あんなに平静を装って……ッ」
「!」
ショックを受けるクリスティさん。
「ママが……!?」
「……言ってなかった?」
「初耳よ……!」
「あぁ……あんたはその時、うちにいなかったものね……。……この薄情者の親不孝者が……ッ!!」
「ッ」

【――あの競技場で聞いた言葉は、これが尾となって引いていた】
【あたしはそう認める】
【無理もない話である】

「……」
「……」
睨みつける長女に。
落ち込んでいる様子の次女。
僕はそんな2人の様子を見ていて、こう呟きを零したんだ。
「……他には?」
「!」
僕は、その話の続きが気になった。
僕の言葉に、端を発し、ルビーアラさんは振り返り、こう言う。
「あぁ……」
と嘆きつつ。こう話を切り返してきた。
「実は、不自然なくらい情報通の女の人がいたんです」
「女の人……?」
コクッ……
とあたしは小さく頷き得る。

【――その不自然な情報通が、この事件を紐解く、カギの在処の1つだった――】


★彡
【マイアミの公共職業安定所』Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)】
【――ルビーアラ(あたし)は、ある人に出会うため、ここに訪れていた……】
「………………」

【――それというのも前日――】

【ルビーアラの部屋】
「……」
あたしは酷く落ち込んでいた……。
「いったいどうすればいいの……!?」
頭を抱え込むあたし。

【――いったいどう動けばいいのかわからず、気づけばあたしは、自問自答の毎日を送っていたの……】
【それぐらい当時のあたしは、とてもグロッキーで……周りから誹謗中傷の被害を受けていたの】
【それは、家族の誰もが同じだったの……】
【その時、1件の通知(メール)が届いたの】

PPP……PPP……
「メール……!? こんなときに……どこから……!?」

【――それはマイアミの公共職業安定所からのものだったんです……】
【あたしは、あたし宛てにきた、その通知(メール)を開いたんです】

「Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)……!? ……えっ!? 何でこんなタイミングに……!?」

【――あたしの注意は、『それに向きました』】
【もうご存じの通り、うちの恥ずかしい次女クリスティが、その当時、ハーバード大学の大学生だったんです……。もちろん、父の話通りなら……】
【……】
【ッ……そんなあたしたちの妹が、大学病院でとんでもない問題を犯し、家庭がメチャクチャな時期になっていたんです……】
【……クリスティ、あんたのせいだからね】
【……ッ】
【フンッ!! ………………その為、うちの中で、学校を出て職に付いているのは、あたしと父の2人だけだったんです……】
【あたしは恐る恐る、エアディスプレイ(それ)にタッチすると……】
エアディスプレイ画面上から、さらにホログラム映像が投影される。
それは人型のAIナビだった。

【ヨシュディアエ・カレンのAIナビ:ペタル】
ヨシュディアエと同じ、髪の色を有し、ボディカラーはドレスで着飾っていて、花柄が目立つ。
本人になるべく似せているらしく、その大きな胸が特徴的だ。

「あら? あなたは……?」
『あたしの名は、ペタルと言います。パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミの職員、ヨシュディアエ様に仕える、忠実なるAIナビです』
「ヨシュディアエ……!?」
『はい、今からご主人様に繋ぎます』
ホログラム映像で投影されているAIナビ:ペタルが後ろに手を向けると、あちらから回線が繋がられて、新たにエアディスプレイ画面が現れる。
「!」
『ヨシュディアエ・カレン様です』
『……』
その主人の名を告げる、AIナビ:ペタル。
その人が、この事件を紐解いていく、鍵の在処の1つだった。

【ヨシュディアエ・カレン】
珍しい金髪ブロンドヘアーの赤毛(ストロベリーブロンド)を有し、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人女性特有の白い肌。
一番際立っているのは、その類稀な信じられないくらい大きい爆乳である。
ドンッ
大の男であれば、まずそれに目が行ってしまうだろうが……。
残念。あたしは女である為、それには触れない。
男は、よくこれで騙される……。
『……大変な事になりましたね。ルビーアラさん』
「……はい」
『マイアミのハローワークにお越しください。あなたに話があります」
「………………わかりました」
『明日、必ずお越しください』
フッ……
要件が済んだように、あちらから回線が断ち切られたのだった……。
辺りに、言い知れない静寂が漂う。
あたしはどうしようかと思い悩みつつ、もう頭を抱え込むしかない。
「………………」

【――そんな何て事はない、話から始まったの……】
【あたしの足は、その連絡を頼りに、Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)へ向かったの】
【そして、あたしの到着を待っていたように、ヨシュディアエさんがホールで待っていたの】

「……」
「……」
落ち合う両者。
そのルビーアラの心中は――
(――黙っていても仕方ない、なるようになれルビーアラ……うん)
意気込むあたし、最初の一歩を踏み出す。

【――あたしの足は、勇気の1歩を踏み出して、その人の待つところへ向かったの】
【この状況が好転することを願ってね……】

向かい合うよう、あたし達2人。
ドンッ、ドンッ
と向かい合う、あたし達の特盛のおっぱいが強調し合っていた。
「……」
「……」
向かい合うあたし達2人、お互いの顔を見合ってて、その人の身なり、身嗜み、特徴をよく見ていたわ。
そして、不意に、その視線が下向きになり、
思わず心の中で、こう呟いてしまう。
((相変わらず、信じられないくらい大きい人ね))
実は、あたし達2人とも、初対面でなかったりする。
とヨシュディアエさんの方から。
「……お久しぶりですね……ルビーアラさん! その後の様子は……!?」
「………………」
「あぁ、やっぱりですか……。求職者用ブースに案内します。どうぞこちらへお越しになってください……――」


★彡
――求職者ブース。
互いに対面に座り、求職者を案内するようにヨシュディアエさんは、ルビーアラさんに、こう言葉を濁す。
「――さて、今わかっている限りで、大変な事態になりましたね……」
「ええ……。……その後の患者さんのご様子は……?」

【――あたしは酷く落ち込んでいた……】
【パパから、その患者さんの事を聞いていて……】
【情けない話、当時のあたしには、何もできる事はなかったわ……】
【だから、覚悟も決めていた……――】

「クリスティさんのお粗末な手技で、大変な事態になろうとしていました……!」
「……」
「……医療経験がまるでないのでしょう!? よくそんな度胸がありましたねッ!!?」
「……ッ」
厳しく𠮟りつけるヨシュディアエ。
裏でどんな情報操作があっていたかわからない……。
件の裏の繋がりのある女は、この時とばかりに、加害者クレメンティーナ(本名クリスティ)の姉に当たる、長女ルビーアラさんを責める。
「学校(スクール)で何を教わったんですか!? 危うく取り返しのつかない事態になるところだったんですよッ!!!」
「……ウッ……」
「フンッ!!」
目線をあっちに飛ばし、腕を組んで威張るヨシュディアエ。
「こんな密告までして……絶対に許さないわよ~~ォ!!」
その瞬間、
グニャリ
と視界が大きく歪む。
そう、まるで事実を捻じ曲げる、白を黒とする上の卑怯なやり方で。
その人は、あたしを脅してきた。
「……ッ」

【――その時、その職員は、ルビーアラからは見えない角度で、隠していた『音声レコーダー』をONにした】
カチッ
【それは裏のやり取りで、ここには何度も足を運ぶ、電気関連の男がいて、そうやって何人もハメていたのだ】
【そう、その男の名が――】

「――フンッ、ミシマさんが言うには……!」
「ミシマ……さん?」
「ああ、あたしの顔見知りですよ……! 電気関連会社の代表で、病院や公共施設などに広く顔が聞くんです!」
「電気……Electrian(エレクトリシャン)……ですか!?」
「ええ。その人は特別凄い腕を持ってて、いくつもの電気関連の免許(ライセンス)を取得している凄い人なんです!
その人は、始めにUnlimited Electrical Journeyman(アンリミテッド・エレクトリカル・ジャニマン)の免許を取得していて、
今ではもう、Unlimited Electrical Contractor(アンリミテッド・エレクトリカル・コントラクター)の免許を更新しているんです!
これは、起業する前に、Master Electrician(マスター・エレクトリシャン)の免許を持っている方が、起業する際の条件を満たし、ある試験を経て発行されるライセンスなんです!!」
「スゴッ!!」
「フフンッ、あたし自慢の人ですよ!!」
もう、大威張りだ。

【――そして、その男に与する連中は、ハッキングなどの優れた技術力を持ち】
【ノートパソコンを初め、腕時計型携帯端末などのインターネット回線を例え切っていても、何とかしてハッキングできる、優れた技術力すら併せ持っている】
【人のメモ帳の閲覧を見たり、気に入らないところを削除したり、ワザと誤字脱字させたりして変えたり、不法にコピーして、周りに言い広めたりしている】
【愉快犯である】
【実は、過去に、これで何人もやられ、証拠の品を残していても、その履歴を消されているのだ】
【会社のパソコン故に、下手にコピー媒体も残せない……】
【仮に残そうとしても、何も残っていないのは、それに与する同業者による人の手の仕業だったりする】
【盗難や盗聴、ウィルス被害やアカウントバナーなどの乗っ取り等も、その優れたる経営手腕の1つだったりするのだ】



【――同刻】
【アメリカ合衆国 フロリダ州 マイアミ その西にあるチェリー山】
都市からここ麓の山まで高圧ケーブル電線が敷かれていた。
そこに立つは3人の電気工事士。
注目すべきは、職場に普段着で着ている、その黒服の男。

【ミシマ・カレン】
それはヨシュディアエ・カレンさんとほぼ同じように、
珍しい金髪ブロンドヘアーの赤毛(ストロベリーブロンド)を有し、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人男性の白い肌。
黒服を基調としていた。
腰道具も差していて、いかにも職人さん風。
だが、他の2人と違うのは、頭に安全ヘルメットを着用していない点だ。
ビュオオオオオ
と強い風が吹いていた。
高所の山間なので、その拭きおろしの風は、平地より強い。
「……あれか……!?」
「ああ、山の景観が悪いから、もう古い高圧電線ケーブルを切ってくれ!! という仕事依頼だ!!」
その高所の高圧ケーブルは、強い風に吹かれているためか、バタバタと大きく揺れていた。
(あれは……何かで補強しているな……)
俺はそう察する。
(だが、俺の腕であれば、何も問題はない)
「フッ」
勇ましく、カッコよく、危ない男の笑みを浮かべる。
「……わかった。俺1人でやる」
「ミシマさん、1人で大丈夫なんですか?」
「ああ、お前たちは、異変がないか待機していてくれ! なーにこれも仕事だ!」
心配になった後輩君から、そう声を掛けられてきたが、俺はそう話した。
俺は、現場を確かめるため歩みを進める。
その時、後ろから後輩の声がかかる。
「あれ!? ミシマさん、腰道具を変えましたか!?」
「!」
俺は立ち止まり、その声を掛けてきた後輩に振り返る。
「……ああ。これは日本(ジャパン)から特別に取り寄せたものだ! 『マキタの安全帯セットシリーズ黒金』だ!! 『ツールケース』もな!! 限定色カラーだ!!」
マキタの安全帯セットシリーズ黒金が輝き。
さらに、一際目を引くは、肩からかけているタジマの着脱セフ セフホルダー縦ベルト用だ。
それに取りつけているツールケースには、いくつもの種類ものビットが内包されている。
さらに、シレッとタジマのセフ後付けホルダーメタル上下2連黒金が輝いていた。

「以前はミシマさん、アメリカの電動工具メーカー ミルウォーキーで統一していましたよね? 世界第二位の……!! ……なぜ!?」
「……」
マキタの黒金が輝く。
ミルウォーキー、それはかっての赤と黒のツールケース。
俺が、マキタを選んだ理由、それは――
「――カッコいいからだ!!」
ドンッ
と主張するミシマさん、単純にその見た目がカッコよかった。
「………………」
これには唖然とす後輩君。
えええええっ、
そんな理由で選んだの、と後ろから悲鳴が上がる。
だが、俺は、もうその後ろから語りかけてくる言葉がないと判断し、歩みを進める。
ザッ、ザッ、ザッ
「……」
とその後輩君の目線が下に降りて、そのいくつもの工具差しに移る。
「カッコいい……」
(あれも、日本(ジャパン)のメーカーか……!? ミルウォーキーやクニペックスじゃない……!?」
電気工事士で基本となる工具差しは、9つある。
それぞれ、すべての職人さん必須のスケール(メジャー)を初め、
ペンチ、電工ナイフ、ドライバー+2、ドライバー-6、圧着ペンチリングスリーブ用、ウォーターポンププライヤー、VVFストリッパー、ケーブルカッターがそれである。


――ちなみに(2023年 令和5年度過去では)、日本の第二種電気工事士試験では、筆記試験と技能試験の2つがあり、その課題をすべて合格する事で、電気工事士免状が交付される。
筆記試験のおすすめテキストは、
TOOLBOX 第二種電気工事士 筆記試験すぃ~と合格20XX年版。
TOOLBOX 第二種電気工事士 技能試験すぃ~と合格20XX年版。
TOOLBOX 第二種電気工事士 筆記過去問 20XX年版 すぃ~と合格 赤のハンディが役立ちます。
さらに技能試験のおすすめ工具は、
スケール(メジャー)
試験推奨:KAIDAN オートロックPRO KAIDAN 尺相当目25×5.5m ALCP-2555SKD
現場推奨:タジマ コンベックス 剛圧ステンレステープ5m×25mm 剛厚セフG ステンロックダブルマグ25 GASFGSLWM25-50
説明:スケール(メジャー)は幅と長さがあるものが必要で、長尺を長く伸ばした時たれない事が何より大事である。また、現場ではロック式が推奨されている。
ペンチ
試験推奨:エンジニア 電設のネジザウルス EL P2-78
現場推奨:フジヤ ケーブルペンチ 黒金 200㎜ 6050-200BG
説明:ペンチよりもケーブルペンチの方が軽い切断能力を有する。その最大の特徴は、すり合わせるようにして切る事だ、それにより軽い切断を可能としていて、結果時短にもなる。
電工ナイフ
試験推奨:日立武蔵 電工ナイフ NO.500-B
現場推奨:タジマ タタックナイフ ホルスター付(電工ナイフホルスター付)DK-TN80HST2
説明:電工ナイフは、既に廃版している日立武蔵が一番切れ味がいい。何より手造り鍛造品と希少なモリブデンとタングステン配合の特殊合金鋼であるから、すこぶる切れ味がいい。
ドライバー+2
ハンドル部:Anex ビスブレーカードライバー ワニドラjr NO.3985
ビット部:Anex AZM-2698 絶縁ビット1本組 +2×-6×98㎜
説明:技能試験でランプレセプタクルという器具付の課題がある。これは持論だが、ドライバーは短い方が安定し、結果時短にもなる。なにより絶縁性のものは1つは持っておくといい。
ドライバー-6
ハンドル部:アネックス クイックボール72 ビット付 NO.397-D
ビット部:付属しているものを代用
説明:技能試験で器具付連用枠またはコンセントを取りつけた時、配線を間違う事がある。それを外す場合、裏面にある穴にマイナスドライバーを差し込んで、配線を引き抜くことで外すことができる。
圧着ペンチリングスリーブ用
試験推奨:技能試験のホームページなどに記載されている適合品を買うのがベスト(極小と小と中のカシメがある小さい方が技能試験合格では有利)
現場推奨:ロブスター 圧着工具(リングスリーブ用) リングスリーブE AK-17A
説明:小さい子供や女性の握力の場合、圧着時かなりの力を入れないといけない。圧着工具は大きい方が、その負担が減り、結果時短にもなる。
ウォーターポンププライヤー
試験推奨:TOP工業 ウォーターポンププライヤー3枚合わせ WP3-250
現場推奨:エンジニア ネジザウルスWP ポンプザウルス ウォーターポンププライヤー PZ-63
説明:注意だが、ネジザウルスWPは少なくとも技能試験向きではなかった……。こちらの商品は、ご自身で洗面所などの修理の時、役立つ機能が備わっていることが挙げられる。
VVFストリッパー
試験推奨:手動式 MCC VA線ストリッパー(エコ) VS-4A
現場推奨:機械式 MCC VA線ストリッパーエボリューション VS-R1623(右利き用)
         タジマ ムキチョッパー(ハサミ型ケーブルストリッパー) DK-MC40
説明:技能試験ではなにかと時短が求められる。
   私の場合は改良点として、MCC社のストリップゲージにマジックペンで印をつけるなどして、工夫を行うだろう。結果時短にもなる。
   そして、タジマ ムキチョッパーは、技能試験推奨かはわからないので、ご自身の判断で、試験前に試験官の方に尋ねるべきだ。
   可能なら、使った方が結果的に時短にもなる。
ケーブルカッター
試験推奨:(小型)フジヤ ケーブルハンディカッター 600-210
         マーベル ケーブルカッター 銅線専用 小型軽量タイプ ME-38S
     (KIP8スケア用)フジヤ ケーブルハンディカッター600-240
             マーベル ケーブルカッター 銅線専用 ME-60S
現場推奨:なし
説明:ゴムブッシングなら小型のものが取り回しがし易く、
   KIP8スケアのように硬いものは、大型の物のほうが作業性がはかどる。
   長所があれば短所があるものだ。
   現場であれば、ご自身の身の安全を保つためにも、上司の方や同僚の方などに相談するなどして、絶縁性のケーブルカッターを持つことが望ましい。技術者としての心構えである。
工具箱
試験推奨:TRUSCO 山形工具箱 373×164×124 銀色 Y-350
     TRUSKO トランク型工具箱 372×163×102 シルバー T-350SV
現場推奨:なし
説明:1つあれば何かと便利である。
   また、あなたが会社に入社すれば、会社の人が貸し出してくださいますので、あなた個人が購入する必要はありません。
   工具類もすべて会社のものです。
   そして、良心的な会社であれば、あなたが申請すれば、技能試験前に会社の方が、技能試験推奨の工具箱を貸してくださいますよ。
万能ハサミ
試験推奨:使用禁止
現場推奨:良くも悪くも電工と名のつくもの
説明:現場では、ケーブルを剝く時、電工ナイフ、電工カッター、電工ニッパー、電工ハサミを使う人たちがいます。
   でも、中には、一般流通している万能ハサミを使う人も、極稀にいらっしゃいます。
   それがこちら、モトコマ MKK万能鋏ステンレス鋼 BHS-180(黒または赤)です。
   ギリギリ現場推奨レベルでしょう。
   私が知っている限り、こちらの商品の使い手は、信じられないぐらいほど剥くスピードが速く、鋭い切れ味でした……。
工具類のお手入れ方法
技能試験に向けて、VVFケーブルなどを切断していると、ペンチなどの切れ味が段々と鈍ってくるものです。
私の場合は、自己責任の元、試験前に工具類を研いでました。
初めに、京セラのセラミックシャープナー砥石 金属用研ぎ器で研ぎ。
次に、100均一の硬めのスポンジピンク色、裏面はダイヤモンド粒子の緑色の粗目に、青棒などをこすりつけて、研磨し。
仕上げに、ヌメ革などに青棒をこすりつけて、最終仕上げしました。
そして、忘れてはならないのが、AZの刃物専用錆止め油です。
これで錆の発生が抑えられて、なおかつペンチなどの動作がスムーズになります。
おすすめですよ。


――チェリー山の草場を歩いていくミシマさん。
「――ここから見える高さ、目視では……ビル13階建ての高さ……。約――137.795フィートか……!!」

【――俺はそう見極める】
【こんな現場、いくつもこなしてきたさ……フッ】
【――ビル13階建ての高さは、約42mだ】
【これは1フィート辺り、30.48㎝に相当し】
【10フィートでは、304.8㎝、その㎝をm基準に置き換えれば、3.048mぐらいか!?】
【ならば、100フィートでは、3048㎝に相当し、㎝をm基準に置き換えれば、30.48mになるよな!?】
【そして――】

ビュオオオオオ

「――今日は、山間からの拭きおろしの風が強いな……」
【問題のビル13階建て相当の高さを、仮に42mだとするならば、なるほど、137.795フィートに相当するわけだ】
【フッ、こんなのいつもの事さ】

「ミシマさん!! ミシマさん!! 安全ヘルメットに安全帯フルハーネスを忘れてますよ――ッ!!」
同業者の電気工事士は、その手に持ったそれを掲げるが、その横から先輩の声がかかる。
「無駄だ!!」
「えっ!?」
「あいつは何度も注意しても使わない!!」
「えええええっ!?」
「服装にしてもそうだ!! あいつは普段着でここに着てるぐらいの奴だからな!! あいつの性格は、こっちが何度注意を呼び掛けても治らない!!」
「制服ぐらい着てくださいよ――!!」
後ろから悲鳴が上がるが、俺には一切関係ない。
仕事モードに入る。
「フライングジャケット、ホバーブーツ、点火(ファイアー)!!」
ドンッ
背中のフライングジャケットが、履いた靴のホバーブーツが点火し、空高く電気工事士のミシマさんが飛んでいく。
グングンと高度を上げていく。
その顔つきは真剣そのもの。
10フィート(3.048m)、20フィート(6.096m)、30フィート(9.144m)、
40フィート(12.192m)、50フィート(15.24m)、60フィート(18.288m)、
70フィート(21.336m)、80フィート(24.383m)、90フィート(27.432m)、
100フィート(30.48m)。

ドンドンと高度を上げて、上昇していくミシマさん、
地上にいる後輩はその様を見て、
「スゴイな……もうあんな高いところまで……、ッ……ミ、ミシマファイア――!!!」
「!?」
それはミシマさんに贈る声援(エール)だった。
高圧ケーブル切断時の恐さ、その危険性は良く知ってる。
一歩間違えれば、感電事故だ。黒焦げだ。
俺だったら、そんな怖い依頼、切れない……ッ。
だから、もう一度、ミシマさんに声援(エール)を送るんだ。
「ミシマ! ファイアー!!!」

ゴゴゴゴゴ
フライングジャケットからホバーブーツから噴き出す青い炎。それが高速飛行を可能とする。
段々目標に近づいてきて。
「目標に接近! 高速飛行モードから中空待機モードに移行せよ!」
『PPP……了解!』
青い白い炎が段々と弱まっていき、目標物に最接近していく。
そして、フライングジャケットの青白い炎が消失し、
今度はフライングジャケットの空転(ファン)が回転し、ホバーリングを可能としている。
ただし、靴のホバーブーツは活きたまま、青白い炎を上げて、中空で静止している状態だ。
これを可能としているのは、ミシマさんの強力なAIナビのおかげだったりする。

【ミシマ・カレンのAIナビ:デンジ】
ミシマさんと同じ、髪の色を有し、ボディカラーは全体的に黒と黄色を基調としていた。
本人になるべく似せているらしく、電気の理解に詳しい。軽薄な顔で、黒物を好んでいる。

【このフライングジャケットとホバーブーツのコントロール機能を全任しているのが、このAIナビであり、俺の無二の相棒(パートナー)である】

137.795フィート(42m ビル13階分相当の高さ)
ヒュオオオオオ
高所の突風が吹いていた。
「『検電器』!」
まるで機械出しのように、格納されていたフライングジャケットから検電器が、ミシマさんの手に渡される。
ミシマさんが、それを特別高圧ケーブルに近づけると。
Boo……Boo……。
警報がなった。
「……やはり、電気が流れているか……」
(さあ、どうするか……)

ヒュオオオオオ……

その様子を、地上にいる電気工事士2人が見ていて。
「ミシマさ――ん!! 電気をこちらから切る事はできませ――ん!!!」
俺はそう叫んで、上空にいるミシマさんに伝える。

「『無線送電(ワイヤレス給電方式)』は、活きているのか――!!!?」
俺はその声を聞いて、そう問い返す。
それは山の景観をよくするために、電線なしで、電気をやり取りする革新的な技術の1つだ。

「はーい!! そちらは問題ありませ――ん!!」

その返答を聞いた俺は。
「……問題ないか……なら……!!」
俺は普段着のポケットから、『電気絶縁手袋』を取り出し、グッ、グッと両手にハメて。
頭にかけていた『電気溶接用ゴーグル』を、スチャッと装着した。
さらに。
「『高圧ケーブル絶縁体ケーブルカッター』!」
『はい!』
ミシマさんが声を掛けると、そうに応じるようにフライングジャケットから合いの手で『高圧ケーブル絶縁体ケーブルカッター』が渡される。
それを見ていた2人は。

「あいつは声出し確認をしない奴だからな……」
「えっでも、1人だからする必要はないんじゃ……?」
「基本原則!! あんな危ないところでは、たった1人でも声出し確認して、安全確認を怠ってはいけない!! 何やってんだあいつは……ッッ!!!」
「でも、ミシマさん早いですよ……あっ!!」
「その慣れが思わぬ事故を招くぞ!!」

――その時、待ったがかかる。
『マスター中止を!!』
「!?」
『『安全絶縁体特別高圧ケーブル用クリップハサミ』を忘れてますよ!』
AIナビ:デンジが気を利かせ、まるで合いの手のように、2丁のクリップハサミをかけていく。
「気が利くな、デンジ!」
『……』
「よしっ!!」

バチィ
ミシマさんが、特別高圧ケーブルに、『高圧ケーブル絶縁体ケーブルカッター』をかまして、切断すると、一瞬だけ、青白い火花が散った。
その青白い火の粉が、衣類に降りかかるが、ミシマさんが感電する様子はない。
そのまま、クリップハサミの効果が効き、絶縁されたことで安全性が保たれ、断ち切れたケーブルがダラリと森の中へ落ちていった……。
その様子を見送ったミシマさんは。
「――フゥ……。毎度毎度冷や冷やさせられるぜ……!!」
俺は掛けていたゴーグルを上げて、高所の強い風を味わう。
ビュオオオオオ

その様子を地上から見ていた2人は。
「ヒエ――ッ!! 毎度毎度、あの人恐くないんですかねぇ?」
「恐いさ」
「えっ!?」
「あいつは昔、低圧区分で感電事故を起こし、全身不随に陥った事があるんだ……!!」
「えっ!?」
「年間、50人以上の電気工事士がそれで命を落としている……!! 特に陥りやすいのが新卒者の電気工事士や、2年目あたりの慣れた頃の電気工事士あたりだ……」

上空から地上へ向け、ゆっくりとミシマさんが降りてくる。

「その手術に立ち会ったのが、ドクターイリヤマとドクターライセンだ!」
「ああ、あの問題行動が多い2人ですよね?」
「うむっ! 実はあのミシマも、その連中のグルの1人だ!」
「ええっ!?」
「さんざん悪い事に協力している!! 加担している!! さらに、そのミシマの後ろには、強力な後ろ盾もいて、隠れ蓑に使っている女の職員もいる……!!」
イリヤマ、ライセン、ミシマ、そして強力な後ろ盾と、隠れ蓑に使っている女の職員。
それがこの事件を紐解くカギだ。
その時、俺はどんな顔して驚いていたんだろう。
「………………」
思わず呆けてしまう。
「ギブアンドテイクだ……! いや、飴かも知れないな……」
「飴ですか?」
「ああ、取得免許の取りやすさや、部長や係長などの昇給のし易さ、当然給料も増えてくるよな? また、裏繋がりで口座に大金が振り込まれていたりな」
「……ブラックじゃないですか……!?」
スッ
と先輩(俺)は、あいつを指差し、こう告げる。
「1年間で『303,030米ドル』稼いでいるような奴だ」
「なっ!?」
「たった3年間で、夢のマイホームを建てているぐらいだからな……!」
「……有り得ねえ……」
思わず、愚痴ってしまう……。

【――1ドルは132円に相当する】
【303,030ドルは、いったい日本円に換算したら、どれぐらいなのだろうか――】
米ドルと円の簡単な計算方法は。
30万3030米ドルであるからして、
30,3030×132=XX,XXX,XXX。小数点を繰り上げて、約XXXX万円である。


「……大人の社会は奇麗ごとじゃない……!! 汚くて当たり前だ!!
考えてもみろ!!
電気工事業や設備管理、ビルメンテナンスも含め、病院の経営だって、器物破損事故や身勝手な連結式小型ボイラー等の購入等も含め、とてつもない負債金を負っている……!!
その負債金は、借入みたいなもので、実際のところ、借金であり、利息が付いていくものだ!!
借金の火車だ!!
他の誰かに、責任をなすりつけないといけない!!
お金が上がるというあま~い奸計を図ってな!! そんな輩もいる!!
そんな大金を借金していて、建て替えないといけない!!
だが支払うのにも目途が立たない……!!
どうすればいい……!?」
「……連帯保証人の契約とか?」
「誰がやるかッッッ!!!」
思わず叫び散らす先輩。
ヒィ
と縮こまる後輩。
「だから、どうしようもない問題や犯人当てゲームにかまけて、自分たちの借金の負債分を、他の誰かに負ってもらうんだ……!! 言ってしまえば、借金の肩代わりだ!!」
「犯罪じゃないですかァアアアアア!!!?」
えええええっ
と大絶叫す。
「そうだ、犯罪だ……!! いわゆる俺も含め、以前に集団催眠と共犯意識の植えつけ、そして飴も頂いている……!!」
(とんでもない会社に入った――ッ!?)
後輩は今更ながら後悔した。
「だがあいつ等は、どうしようもない問題をかまけて、もう十分なぐらい稼いでいて、借金返済分はとっくに済んでいるのに、
まだ性懲りもなくやり続けているようなクソみたいな連中だ!!
クソみたいな奴等なんだッッ!!!
どこかの誰かが、その問題行動を看破し、
抑止力となってくれる子が、現れてくれればいいんだが……!!!」
「………………そこへ自分たちが畳み掛けるんですか……!?」
「ああ、そうだ……!!! 一度ぐらいは負かしたほうがいい!! あんな連中、周りからな……!!!」
グッ
と悔しさで拳を握りしめる……ッ。
「……」
「だが!! あいつ等は、仕掛ければ絶対に負けない連中だ……!!!
今まで、全戦無敗……!!! 仕掛ければ絶対に勝つ……!!!
勝利は揺るぎない……!!!
そんな不敗神話が、囁かれている……ッ、クソ……!!
だから、あいつ等は負けナシなんだ!!
どうしてかわかるか!?」
「いえ……」
「……それはな、例え、拮抗勝負していても、1度負けてもまたやり返して、絶対に勝つまでやり続ける連中だからだ……!!
だから無敗なんだ……!!
負けた情報などは、こちらに一切流さないから、裏でどんなやり取りがあったのかわからない……。
こちらに回ってこない、知り得ない情報も多いくらいだからな……!!
だから、騙される……いつも!!
いつもだ!!
だから、俺たちは、周りの奴等は、知らず知らずのうちに利用されている……!!
クソッ!!」
俺は悔しさで、顔を上げて睨みつける。
声を荒げてこう言う。
「俺のところからも、育てた人材が取り上げられた!! いいや……安く叩き売られた……!!」
「えっ……!?」
「そんな悪い連中なんだ……!! どうしようもない問題にかまけて、どうだ!? 俺のやり方は上手いと周りでも評判なんだぞ!! と自嘲しているような糞爺(クソジジイ)だ!!
負けた奴は、思い切り凹み、よしよし、やっと潰れたな……といい、周りに自慢したがるようなクソヤロウ……!!」
「……」
「後は、安く叩き売って、低賃金で雇う会社がいるぐらいだ……!! 人の人生を散々踏みにじりやがって……!!」
「……」
「……チッ、裏で伏せられた情報もある……!!」
「裏の情報……?」

降下中……。

「……人が1人亡くなってるんだ……」
「えっ……」
「事実だ……。耐え切れず、自ら命を絶った人もいる……。また、耐えられず、こっちから謝りに言って、7,485ドルを支払う奴もいたくらいだ……」
7,485ドル。
1ドルは132円であるからして、
7,485×132=988,020。約100万円である。
「……ッ」
あまりの事実に驚き得る後輩。
「それで上下関係を組んでいるんだ……逆らえないようにな……!」
「なっ……なっ……なっ……!?」
「それで実際に亡くなった人もいて……。俺たちも、どうしようもない問題で揉み消す方も、心が痛むぐらいだ……!
事実の証拠を、上手い事、口裏を合わせて揉み消しているんだ……!!
1人の優秀な奴か、それとも無能な奴を取るか、
決まってる、1人の優秀な奴を取る……に決まってる!!」
「……」
「あいつ等は、それがどんなに悪い事だと知っていても、そんな事は知り得ながら、事実の証拠を揉み消しているんだ……ッ
そして、今も、何くわぬ顔で働いていて……ッ!!」
「どうして報せないんですか!? 警察に……!?」
「……証拠が揉み消されているからだ……ッ!!」
「なっ……!?」
「国が、国家が関わっているんだ……!! 国の公的機関の力だぞ!! ……上の圧力がかかってる……!! しかも、とんでもないバックが潜んでいる事だけは……、……確かだ……!!」
絶大な国の力が、この事件に関わっていた。
黒だ。
「……」
「……」
これには、押し黙る2人。
後輩が呟いた言葉は――
「――現れると……いいですね……。その抑止力が……」
「……そう、願うばかりだ……」
スタッ……
降下中だったミシマさんが地上に降り立ち、こちらへ向かって歩いてくる。
俺たちはそれを出迎える――


TO BE CONTINUD……

しおり