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43章 社員旅行

 ミサキ、シノブ、アオイ、ナナ、ホノカ、ツカサ、マイの7人で社員旅行にやってきた。

 7人の平均年齢は18歳。そのこともあって、女子高生、女子大生の集まりに近くなっている。

 シノブは他人のことを、思いやる優しい人物だ。こういう人といるだけで、心が大いに和ませることができる。

 アオイは調子に乗り過ぎて、羽目を外すところがある。うっかりしているところもあり、他の従業員の足を引っ張りがちだ。本当に忙しいときは、フラストレーションをためがちだ。

 ナナはおっとりとしている。仕事で急いでいるときであっても、マイペースを貫くことが多い。飲食店で勤務するにあたっては、マイナスになりうる性格だ。クレームがあったときに、くじけないのは大きなメリットだ。

 ホノカは慎重な性格で、決断力にかける。優柔武断なところが、よさでもあり、悪さでもある。自分勝手なことはしないため、被害を及ぼすことは少ない。

 ツカサは動物的に行動することがある。脳で考えるよりも、頭で先に行動するタイプのようだ。

 マイはポジティブ思考で、明るく生きようとする。一緒にいるだけで、前向き思考になれる。

 社員旅行のプランは、電車で移動→名産品を食べる→温泉につかる→夕食→帰宅である。どこかに泊まるのではなく、日帰りプランである。

 社員旅行の費用は、基本的に社員負担。シノブが出すのは、電車の移動代、温泉代、夕食代のみ。名産品の費用、その他もろもろの経費は自己負担となる。従業員に奉仕をするという、意味合いはかなり小さい。

 ミサキは今日のために、4000ペソを持ってきた。懐に余裕を持たせることによって、社員旅行を充実させたい。

 おなかがすいたときのために、大量の食料をカバンに詰め込む。重量物は減らしたものの、かなりの容量である。カバンを持っているだけで、たくさんの体力を消耗する。

 カバンの大きさについて、マイから指摘を受ける。

「ミサキさん、カバンが大きいね」

 ミサキは苦笑いを浮かべる。

「おなかがすいたときのために、大量の食料品を携帯するんだ」

 普通の体であったなら、食料品を持ち込まずにすんだ。大量のエネルギーを必要とすることが、災いをもたらしている。

「何を持ってきたの?」

「おにぎり、から揚げ、ポテトチップス、じゃかりこなどです。エネルギーを摂れるものを中心に、持ってきたよ」

 飲み物はかなりの重量があるので、荷物からカットする。自販機、店で売られるもので、水分を補給したい。

「カロリーの多いものを食べられるのは。とってもうらやましい。私が同じことをしたら、あっという間に豚に生まれ変わるよ」 

 通常の人が同じ食生活をしたら、3日で20キロくらいの体重増になる。どんなに痩せていても、あっという間に豚に生まれ変わる。

 マイと話していると、ちょっとした空腹を感じる。

「シノブさん、おにぎりを食べてきてもいい?」

 同年代が多いこともあって、店長に対してもため口で話す。言葉遣いに関しては、非常にルーズな会社といえる。

「食べてもいいけど、電車の時間までには戻ってきてね」

 電車の出発まで、残り30分だ。時間的にはかなりの余裕がある。

「ミサキさんが迷子にならないよう、私が付き添いするね」

 ミサキは方向音痴で、東西南北がわからなくなることもある。修正に取り組んでいるものの、簡単に治すことはできなかった。

「マイさん、ありがとう」

「どういたしまして」

 座れそうなところを探すと、ベンチを発見する。ミサキはゆっくりと腰掛ける。

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