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178. 未然に防ぐ

 178. 未然に防ぐ



 そしてオレたちはキャンプから旅館に帰ってくる。正直、憂鬱だ。昨日みたいなことが起きたらと考えると面倒だしな。

「ねぇ先輩!今日は一緒に寝ましょうね!浮気防止です!」

「寝るわけ無いだろ!黒崎も千春もいるんだぞ」

「あ。先輩、私に何かしようとしてます?まぁ一応バックの中には準備はしてありますから!安心してください!」

「するかバカ!」

 そう言ってオレは夏帆の頭を軽く叩く。全く油断も隙も無いやつだ。というかこいつはオレが他の女に手を出すと思ってんのかよ。

「痛いですよぉー。でもそんなところが好きですよ?」

「はいはいありがとよ」

「イチャつくのはいいのだけど、夏帆ちゃんは何を準備しているのかしら?」

 おい黒崎。そんなところに食いつくなよ。流れで察してくれよ……。

「えへへ……それはあれですよ冬花先輩!あれです!」

「あれじゃわからないわ?」

「秋兄……最低。そう言うのは男の子の方が持ってるものじゃないの?」

 千春も意味不明なんだが。というかこの前まで中学生だったよね千春は。なんでこんなに詳しいんだよ。

「……とりあえず風呂入ってくる。疲れた……」

「あっ待って!先輩!」

「なんだよ?」

「今日は先輩が部屋の露天風呂使っていいですよ?せっかく旅行に来たのに大浴場じゃ可哀想ですし。」

「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて使わせてもらうかな」

「はい!ごゆっくりどうぞ!」

 オレは部屋の露天風呂に入ることにする

「ふぅ〜やっぱり広い風呂に一人貸し切りは最高だな〜」

 オレは1人で露天風呂に浸かりながら体を休める。本当に気持ちが良い。やはり温泉は良いものだ。

 ……待てよ。このまま、万が一夏帆あたりがわざと入ってきて「え?私たち付き合ってるし、もう今さらじゃないですか!」とか言って来たらどうする?ダメだそれだけは絶対に避けなければ!

 オレは急いで身体を洗い、浴衣に着替えて露天風呂を出て部屋に戻る。

「ん?え?早くないですか先輩?まだ5分くらいしか経ってませんけど?」

「そっそうか?」

「神原君。ちゃんと入ったのかしら?」

「入ったぞ。いい湯だった。」

 全然ゆっくり出来なかったが。でも変な事故を未然に防ぐにはこれしかない。これでなんとか乗り切れそうだ。こうして結局ゆっくり出来ないオレがいるのだった。

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