168. 心配してるのに
168. 心配してるのに
オレと千春は部屋に戻ってくると、千春は自分の部屋にオレを案内する。というか千春が引っ越して来て以来、オレは千春の部屋に入ったことはない。
「誕生日パーティーならオレの部屋でもいいけど?」
「ううん。いつも秋兄の部屋だし。たまには私の部屋でもいいよ。……秋兄の部屋だと夏帆さんの部屋の隣だし……。」
「ん?」
「なんでもない。どうぞ」
部屋に入ると、千春の匂いが充満していて、何だかドキドキしてしまう。……いや待て。相手はまだ高校生になったばかりの女の子だぞ? 何を意識する必要があるんだ!
「へぇ……可愛い部屋だな?」
「恥ずかしいからあまり見ないでほしい。」
ベッドにぬいぐるみがあるくらいで、特に目立つような物は見当たらない。まぁ普通の女の子の部屋って感じだ。とりあえずオレは来週のお泊まり旅行の件を千春に伝える。
「あのさ千春。来週さ泊まりで夏帆と黒崎と旅行に行くんだが、千春も一緒にいかないか?」
「え?迷惑じゃないの?私なんか行って……」
「全然大丈夫だよ。それにオレも千春と一緒に旅行するのとか、小学生以来だから楽しみだしな。」
「そうだね。昔はよく行ったもんね。私は別にいいけど……でも夏帆さんはなんて言うかな?」
「夏帆が誘ってって言ってたから大丈夫だ。」
「本当に?」
「心配しすぎだぞ。夏帆はそんなに悪いやつじゃないから安心しろ千春」
「……私は秋兄の心配してるのに。鈍感。」
「え?」
「なんでもない。それなら私も行く」
こうして何とか黒崎と千春もお泊まり旅行に参加することになった。この後は千春の誕生日パーティーをやり、とっても喜んだ千春を見ることができたのだった。