124. 受けとるしかない
124. 受けとるしかない
今日はバレンタイン。夏帆は材料を買いに行くと言ってスーパーに行っている。なぜか今オレは黒崎と二人きりにされている。そして黒崎を見ると緊張しているのか、顔が赤くなっている。
「あのさ……」
「な、何かしら!?」
「いや……なんでもない」
そんなに緊張されると困るのだが?それにしてもこの空気どうすればいいんだ……。正直言って気まずすぎるぞ……。
「あ、そういえば黒崎は誰かに手作りチョコレートあげるのか?わざわざ夏帆に教えてもらうなんて?」
とりあえず会話を振ってみるか。このまま沈黙が続くのも嫌だし。
「そ、そうね。一応渡してみようかなとは思ってるわよ。まぁ相手が受け取ってくれるかどうかはわからないけどね……」
「そっそうなのか?お前一応美人だし、まぁ受けとってくれるんじゃね?ほら貰えるものは嬉しいもんだしな」
「そうなの?なら私、頑張って作ろうかしら。」
よしこれでなんとかなっただろう。あとは夏帆を待つだけだな。それから数十分後、買い物袋を持った夏帆が現れた。
「ごめんなさい遅くなって。あれ?二人ともなんかありました?」
「なんもねぇよ」
夏帆と黒崎はバレンタインのチョコレート作りを始める。オレは暇なのでゲームをやって待つことにした。それから数時間後、二人はチョコレートを作り終えたようだ。
「冬花先輩!可愛くラッピングしたら完成ですよ!」
「えっええ……色々教えてくれてありがとう夏帆ちゃん」
「いえいえ」
「ふーん。良くできてるな」
二人が作ったチョコレートは見た目はかなり良くできていると思う。
「そう?……あの神原君。これ……よかったら食べてください……」
「は?」
「えぇ~!?冬花先輩!?」
「とっ友チョコよ!本当に深い意味はないのだから!」
マジか……さっきあんなこと言ってしまったし受け取らないわけにもいかないよな……。
「あっありがとな黒崎……」
「あっ。ええ……これからも仲良くしてほしいわ。友達として」
「おかしい!絶対何かありましたよね?浮気です浮気!」
「友チョコって言ってんだろ!黒崎が!」
夏帆には悪いが、少しだけドキドキしてしまった自分がいるけどな。そのあとオレと黒崎は夏帆の機嫌を直すのに必死だったのだった。