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80. いつでも一緒に

 80. いつでも一緒に




 時間はお昼過ぎ今日は早起きをしたから全然時間がたってないな。あのあと部屋に戻って来て今はぼーっとしている。正直落ちそう……


「ふわあぁ~……眠い……」


「ねぇ先輩?一緒にお昼寝しますか?」


「んっ?……うぅ~ん、どうしようかな」


「じゃあ夏帆ちゃんのお言葉に甘えて昼寝しましょうよ!」


「なんだよそれ?」


「いいじゃないですか!別に何もしないですし」


 まぁいいか。眠くて仕方がないのは事実だしな。オレはベッドの上に横になる。すると夏帆がオレの隣に入ってきた。


「は?おまっ……」


「やっぱり私もちょっと眠たいので一緒に寝ますね」


「うぜぇ……好きにしろ」


「はい、そうさせていただきます」


 こうしてオレと夏帆は一緒の布団に入って寝る事になった。眠すぎて断る元気もないのだが、脳はそうもいかないようだ。


 ……やばい、これかなりドキドキするんだが!?夏帆と一緒に一つの布団の中で寝ているんだぞ?しかも密着して……。なんかすげぇ良い匂いがしてくるし!?


 ……よし、考えるのをやめよう。これは夢だ。うん、そうだきっと夢なんだ。だから気にせずこのまま目を閉じてしまおう。

 もう知らん。どうなってもいいや……。


 しばらく眠っていたのか起きたら夕方になっていた。横には夏帆の姿はない。あれっ?夢だったのかな?とか思ったけどそんなわけなかった。


「おはようございます。よく眠れましたか?」


「ああ、それなりには……」


「今先輩のお誕生日の料理を作ってますから楽しみにしていてくださいね?」


「ああ。ありがとう」


 その後、夏帆が作ってくれた料理を食べて共に誕生日を祝ってもらった。そしてそのあとは二人でゲームをして夜遅くまで遊んで帰った。


「じゃあお休みなさい、先輩」


「おう、また明日な」


 さっきまでの賑やかな雰囲気とは一変して静まり返った部屋。


「はぁ……疲れたな……」


 オレが寝室に行くとベッドの上に包み紙が置かれている。


「あいつ……いつの間に……」


 中を開けると、オレが夏帆の誕生日にあげたあのペンギンの色違いのマグカップが入っていた。そして一通の手紙が。


【先輩へ。誕生日おめでとうございます!プレゼントは気に入っていただけましたか?実はこの前、私が先輩に買って貰ったマグカップを見ていて同じものが欲しくなってしまって……これでいつでも私とお揃いですね!これからもよろしくお願いしますね。 先輩の夏帆より】


「うぜぇ……全く……こんなことされたら……これを見るたびお前のこと考えちまうだろ……」


 最初は何とも思っていなかったはずなのに今ではすっかり惹かれてしまっているオレがいる。


「お前は……いきなり押し掛けてきて……本当にウザいやつだよな」


 そう、オレはそっと呟いた。

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