72. 程遠いのです
72. 程遠いのです
「ねぇねぇ先輩?聞いてもいいですか?」
「なんだよ?」
「先輩はおしとやかな女の子のほうが好きなんですかね?」
「なんでそんなこと聞くんだよ?別にどっちでもオレは構わないけど?」
「私っていつも騒がしいじゃないですか?だから気になって……」
夏帆はそう言いながら少し悲しそうな表情を浮かべた。夏帆の言う通り、確かに今まではうるさいくらいだった。だけど今は……
「気持ち悪いんだが?お前らしくねぇぞ?お前はお前らしいほうがオレはいいと思うけどな?」
「え?いいって?それはどういう意味ですか!?それって今の私が好きって事ですか!?」
「うぜぇ……」
本当にこいつは面倒くせぇ女だな……。でもこいつなりに何か変わろうとしているのかもな。オレと同じで。
「おしとやかってどんな感じなんですかね?私にはよく分からないんですよねー。」
「まぁそうだな。お前の場合うるさすぎるからな」
「むぅー。私はただ先輩とお喋りしたいだけなのにぃ!」
相変わらずテンションの高い奴だ。ほんとにこいつの将来が心配だよ。
「あっ!先輩。今、こいつの将来が心配とか思いましたよね?顔に出てますよ?」
「出てるわけないだろ。自意識過剰じゃねえのか?」
「でも安心してください!将来は私は先輩のお嫁さんなので!お帰りなさいあなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも私?なんて!いやーん。先輩のエッチ!」
「そういう妄想は一人でやってくれな。お前と毎日一緒とか地獄だろ?」
「ひどっ!?そこは嘘でも嬉しいって言ってくださいよぉ!」
あぁもう!マジでうざい!でも何故かこんなやり取りをしていて嫌だと思わない自分がいるんだよな。そんなこんなで夏帆にはおしとやかは程遠いのであった。