53. 髪は切るべき?挨拶はすべき?
53. 髪は切るべき?挨拶はすべき?
「ねぇ先輩?私の髪型好きですか?伸びてきたから切るか迷っているんですよね。」
「好きにすればいいだろ?オレに聞くなよ。」
「えぇー、だって気になるじゃないですかぁ。彼氏の好きな髪型にしたいって言う私なりの女心ですよ!」
「ならオレに聞くな。オレはお前の彼氏じゃない」
オレがそう言うと白石は口を尖らせながら不満そうな顔をした。
「またそんなこと言って!私は先輩の事大好きなのに!!」
「はいはい」
「むぅ……なんか適当ですね?とにかく先輩の好きな髪型にしたいんですよ!」
すごく面倒なやつだなこいつは。でもまあ確かに白石はロングヘアーも似合いそうだけど、今のボブカットも似合っていると思うけどな。
「それなら、切った方がいいんじゃないか?オレは初めて会ったときの髪型の方が好きだぞ」
「そっか。分かりました!今度美容院に行ってきますね!」
さっきまでの不機嫌さが嘘のように笑顔になった。単純な奴め……。本当に面倒だなこいつは。そんなくだらない話は終わりにして一応忘れてそうだから白石に言っておく。
「白石。オレは明日から実家に帰るからな?」
「へっ!?あーっ忘れてました!先輩の実家に行くんでしたよね!!わ、私どうしよう……」
「なんでお前が来るんだよ!別に来なくていいんだが」
「彼女として挨拶しておくべきですよね?」
「だからお前はオレの彼女じゃねぇだろ!」
「えー?だって付き合ってるんじゃないんですか?あんなに愛し合った仲なのにひどいです……」
わざとらしく目元を拭うような仕草をする白石。なんだよ愛し合ったって……オレは無視して話を続ける。
「とりあえず、何かあったら連絡しろ。一応、電話くらいは出てやるから」
「先輩……私のことそんなに心配してくれるんですか?私やっぱり愛されてますね!」
うぜぇ……やっぱり電話でるのやめるか?でも出ないと後々もっとウザくなりそうだしなぁ。仕方がない。諦めるか。
「まあなんだ。そういうことだから、よろしく頼むわ」
「任せてください!ではまた来週会いましょうね!」
そう言い残して白石は自分の部屋に戻っていく。久しぶりの実家か……。それより白石大丈夫なのか?……いや考えるのはやめよう。オレと白石は別になんでもないしな。でも、なんか戻りづらいと少し感じてしまうオレがいるのだった。