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38. 四字熟語使い

 38. 四字熟語使い



 オレと白石はとりあえず流れるプールに入ることにする。うーん……冷たくて気持ちいいな。

「ん?おいどうした白石。入らねぇのか?」

「いや……さっきは先輩とのデートでテンション上がってたから言わなかったんですけど、その……実は私泳げなくて……ほ、ほら!先輩を見ると、そこまで水が来てるなら私が入ると足がつかないから怖いし!」

「は?じゃあなんでプールなんか来たんだよ」

「可愛い水着姿を見せるためじゃないですかぁ!!」

 正直そんなの知らんのだが……。まぁ本人がそう言うんだからそうなのだろう。それにしても泳ぐの苦手なのか。面白い。白石が怖がる姿を見れるのか

「じゃあ肩貸してやるよ、それならいいだろ?せっかく白石と一緒にデート(?)に来てるのに残念だなぁ~」

「むぅ……先輩が私に意地悪するぅ!わ、分かりましたよ!!入りますよぉ!!!」

 顔を真っ赤にして白石は水の中に入ってくる。

「肩を掴む力を弱めてくれないか?痛いんだが?」

「無理です!絶対に離しません!」

 ビビリながらオレの肩を掴む白石。いつもオレが迷惑している。たまには白石にも味合わせてやる。

「これだと……あっ!そうだこうして、はい。これなら平気ですね!」

 そういうと白石は体勢を変え、オレの背中に回りおんぶのような体勢に変わる。というかちょっと待って……?これかなり密着してない?え、ちょっ……白石さん?当たってるんですけど?柔らかいものが背中に当たっているのですが!?

「あれ?先輩早く流れてくださいよ?」

「いや……今はちょっと無理かな?」

「ふぇ?どうしてですか?」

「だからお前のが背中に当たってんだよ!」

 オレは振り向くと至近距離にある首を傾げる白石を見て思わずドキッとする。そして顔が熱くなるのを感じる。多分今のオレの顔は赤くなってることだろう。

「もしかして先輩照れてます?可愛いですよ?」

「うるせぇ!流れるプールはやめだ!」

 オレと白石は流れるプールから出ることにする。まだオレの心臓はバクバク言っている。こんなことなら来るんじゃなかったな……。

「先輩少し休みますか?私が膝枕でもします?」

「別にいいよ……」

「遠慮しないでくださいよ~。ほらどうぞ!」

 白石は自分の太腿をポンポン叩いている。何がしたいんだこいつは……。

「先輩が私に意地悪するから悪いんですよ?それ、自業自得です!あっ!因果応報か!」

「……ムカつく。もう帰る」

「ごめんなさい冗談ですよぉ~まだ遊びましょうよぉ~」

 くそっ。四字熟語まで使いだしたかこいつ。すごくウザいんだが……。まぁまだ来たばかりだからもう少し付き合ってやるか。

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