31. 今までと違うらしい
31. 今までと違うらしい
今日と明日は白石が実家に帰っていて、オレの部屋に来ない。久しぶりの1人の時間だ。
「さて何をするかな。とりあえず先に宿題を終わらせるか……」
机に宿題を出し、黙々と宿題をやる。すると驚くことにあっという間に終わらせることができた。
「うーん。早く終わったな。そう考えるといつもあいつが話しかけてくるから終わるのが遅いんだな。」
1人部屋で呟く。そのあとはテレビを観たり、ゲームをしたり、スマホをいじったりしたが、時間が全然すすまない。むしろ余計に暇になった気がする。
「オレ……白石が引っ越ししてくる前まで何してたんだっけ……こんなにつまらないと思ったことなかったのに……」
オレはベッドの上で仰向けになりながら天井を見つめる。そしてふと白石の事を考えてしまう。
白石夏帆……あいつがオレの部屋に毎日来るようになってからは本当に退屈しなかった。なぜかあいつはオレのことが好きみたいで心のどこかでそれも心地よくなっていた。
それにあいつはどんな時でも笑顔を絶やすことがないし、すごくウザいやつだけど、一緒にいて嫌だと思ったことは一度もない。だからこそ、今の生活が楽しくて仕方がないと思ってしまっているのかもな……。
「ちょっと早いけど……夕飯でも食べるか」
オレはベッドから起き上がり、冷蔵庫を開けて白石が作り置きしてくれていた夕飯のタッパーを取り出す。そこには一枚の紙がついていた。
「ん?『先輩へ』ってなんだこれ?」
オレはそのメモ用紙を手に取り目を通す。そこにはこう書かれていた。
【どうですか!?私がいない寂しさとか感じてくれてますか?私はすごく寂しいです!なので帰ってきたらいっぱい甘えたり、遊んだりしたいです!いいですよね?私たち付き合ってるんですから!それじゃ待っててくださいね。 先輩の愛しの彼女 夏帆ちゃんより】
相変わらず長ったらしくてウザい文章だったが、その白石らしい文章を見て自然と笑みがこぼれてしまう。
「なんだよこれ……付き合ってねぇって言ってんのによ……」
オレは夕飯を食べ、タッパーを水に浸す。お風呂に入る前にはコップ一杯の水を飲み、寝る前のエアコンの温度は2℃上げて寝ることにした。
「あーあ……1人の時間もあと少しかよ……あいつ……帰ってきたらウザいんだろうな。あー面倒だな……仕方ねぇけどさ」
そんなことを考えながらオレは眠りにつくのだった。