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「でもよぉ、今はあんな風になっちまったけど。昔はまともで結構可愛いかったんだぜ? 小さい頃は俺によくなついて来て、俺の名前がなかなか呼べねーからハルってよく呼んでたんだ。たまに俺の顔を見ると後ろからいつもちょこちょこついて来て、一緒に竜に乗りたいって騒いでた頃が酷く懐かしいな…――。その何年後かにハルからハルバートって呼ぶようになってからは、それはそれは会うたびに憎まれ口は叩くは、人を見下した目付きで見てくるは、まだ生きてたのかってな、奴の目がそう物語ってるのがわかるんだよ。昔はあんなに可愛かったのに一体どうしちまったんだか。今じゃ、いい感じに壊れてやがるのが目に見えるぜ。やっぱりあの方の死が原因なのかも知れないな…――」

 ハルバートは不意に何かを思い出すと遠い目で何処かを見つめていた。それはまるで失われた過去を思い出すかのように、彼は懐かしい思い出に浸っていた。そして、不意に思いが冷めた。

「ああ、くそったれ! 急にあの頃を思い出しちまったぜ……! おい女、俺のアソコが萎えたからしゃぶれよ!」

 ハルバートは連れて来た女に向かって命令口調でそう言ったのだった。彼女は彼に命令をされると、何も言い返す事はなく、ただ「はい」と一言返事をした。彼女は心がない人形のように彼に従った。ひょっとしたら彼女の瞳には、希望がないのかも知れない。生きる気力がない彼女は心を閉ざした。こんな閉ざされた牢獄の檻の中では、女の囚人は性奴隷として生きて行かなくてはならない。彼女は男達に体を玩具のように弄ばれ、もう生きていく気力も無くなったのだろう。それとも、変わらない毎日に飽きたのかも知れない。もう彼女は笑わない。女は彼の足下にしゃがみこむと、言われた通りにしたのだった。女が彼のアソコを舌で舐め始めると、彼は椅子の上で恍惚した顔を見せた。周りはまた始まったと、終始あきれている様子だった。

 ハルバートはテーブルに置いてある酒の瓶に手をだすと、また飲み始めた。底を知れない彼の飲みっぷりは、たかがしれっていた。テーブルに置いてある酒を全部飲み干すと、酒をもってこいと部下に命令した。彼は自分の下半身を女に舐めさせると酒に酔いながら、周囲にだらしない格好を見せたのだった。ほろ酔いしながらジャントゥーユに尋ねた。

「……で、坊ちゃんの命令は何だよ? 最近はすっかり疎遠になってるからな。俺達に命令してくるんだから、くだらねー用事じゃないって事は確だ。それともお払い箱の俺達に印籠でも渡しに来たのか? それだったら安心しとけって、坊ちゃんに伝えときな! そろそろ潮時だしな。言われなくても俺達はここから出てってやるからよ。体も鈍ってきてしょうがねぇ頃だ。俺達はここを出たら傭兵にでもなるつもりだ。そんで前みたいに竜に乗って戦場でも何処でも大暴れしてやる!」

 ハルバートは不意にその事を話すと、瞳の奥をギラつかせたのだった。それはまるで戦士としての誇りがあるかのようだった。

「それとも珍しく、でかい山でも動いたのか?」

 不意に質問するとジャントゥーユは一言答えた。

「ああ、そうだ――!」

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