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リサの宿屋が入浴サービスに代わるサービスを本格的に運用する事になった。リサは今までと変わらず手伝いはしている様だが、それ以上の手伝いは辞めたようだ。詳しい事は聞いていないが、運用がある程度軌道に乗ったら、わたしもお兄さんたちに話を聞いてみる予定でいる。リサもそれに同意してくれている。と言うよりは、どちらでもいい、と言った投げやりな感じがしている。それでもわたしは焦らずに行動するつもりだ。焦って機会を逃すと今後が立ちいかなくなるのでそこは間違はないようにするつもりだ。



 本格運用から半月がたった。今日も今日とてわたしは経過確認に来ている。しつこい様だが慣れた頃に問題が起きることが多いので油断はできないと思っている。



 「こんにちは。お兄さん。どうですか?お客さんのはんのうは? 問題はありませんか?」

 「うん。大丈夫だよ。お客さん達の間でも噂になってるみたいだよ。手軽にサッパリできるから良いなって」

 「そうなんですね。その噂のおかげでお客さんが増えるといいですね」

 「そうなんだけど。手が足りなくなるからそこそこでいいと思うよ」

 「そんなに忙しいんですか?」

 「洗濯がね。タオルを使うし。お湯を沸かしたりするからね。どうしても。火には注意しないといけないしね」

 「そうですね。火は危ないですから」

 玄関の裏側でお兄さんと立ち話をしている。周囲におじさん達はいない。おばさんは買い物。おじさんは寄合に入っているらしい。お兄さんはリサと留守番の様だ。これをいい機会と捉えたわたしはお兄さんにズバリと聞いてみる事にした。



 「お兄さん。おじさん達はどうしてリサだけ、何も教えないようにしているんですか? 心配させたくないから、と言うだけの理由ではないような気がするのですが? 他の理由はなんですか?」

 「理由なんて。心配させたくないからだよ」

 お兄さんは明らかにわたしの理由を真似していた。自分の言葉で何のは間違いない。ここからは追及の手を緩めるのは何にしよう。

 わたしはリサとの約束を守るべく次々と質問を重ねていく。考える暇を与えないようにするためだ。



 「じゃあ、教えたらなんで心配するだけだと思うんですか? 一緒に何かできるとは思わないんですか? お兄さんはリサが可愛くないんですか? 一人で不安な思いをしているのに、助けてあげたいとは思わないんですか? おじさん達に内緒で教えてあっげると言う事もできますよね? そんな事は考えなかったんですか?」

 「パルちゃん。そんなに一遍に話されたら何も答えられないよ」

 「一つづでいいんで答えてもらえますか?」

 「わかったよ」

 わたしの剣幕に驚いたのかお兄さんは答えてくれることになった。勢いは大事だと思う。



 「心配はしていると思ったけど、父さんたちが絶対に心配させるから何も言うなって、だから教えなかったんだ。かわいそうだとは思ったけど。」

 「中途半端な情報だけで、かなり心配していましたよ。この話を進めるきっかけをわたしに零すくらいですから」

 「そうだよね。リサがこの話をしなかったらパルちゃんは手伝いには来てくれなかったわけだしね」

 「ええ。それで、かたくなに情報を出さない理由は他にもあるんじゃないんですか?」

 「どうしてそう思うんの?」

 「リサ以外の全員があまりにかたくなからです。大体の家では末娘のわがままには勝てないものです。わたしの父なんかはお父さん嫌い、って言ったら大概の事は話を聞いてくれます。リサはそこまでではありませんが、もう少し話を聞いてくれてもいいような気がしました」

 「そっか。そんな事は思わなかったな」

 お兄さんはしみじみと呟いていた。



 おじさん達がいないときのお兄さんは、いつもと違う印象だった。別人のように落ち着いて見えた。わたしはずっと気になっていたことをお兄さんに聞いてみる。



 「お兄さん。リサには言わないので教えてもらえますか?」

 「なに?」

 「リサと血が繋がってます?」

 「やっぱり、分かるかな?」

 「はい、何となく」

 わたしが感じていた違和感は間違っていなかったようだ

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