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俺は夜、動く。

昼間は住みかでじっとしている。眠っていたり、ぼんやりしていたり。

反対に、俺の仲間たちはよく動き回る。この武蔵野国の朝から日が沈むまで狩りをしたり、草原を駆け回ったり。
雨のときも、晴れのときも。

まっこと健康的である。

鳥の羽音や、さえずる声。風のそよぐ音、落ち葉を踏みしだく音。
藪から飛び出し、顔を見合わせて挨拶する。
仲間の楽しそうな声が、俺の寝床にも響いてくる。

それでも、俺は起き上がらない。
俺ほどの怠け者はいないのだ。

 今日も今日とて、俺が寝ている間に皆は活動している。

平和だなあ。

 ある夜のことだ。

俺が目覚めた時、仲間たちからの手紙が、枕元におかれているのに気づいた。
書きなぐったような文字だ。

「魔物が襲ってきて、ほとんど殺された」

「俺たちは逃げる。お前も目覚めたら身を隠せ」

「魔物は城を占拠したわ。できるだけ遠くに逃げて」

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