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第1話 集いし者たち

時は2xxx年…

とある島に"戦い"に特化した施設が誕生した…

その名はバトランド。

バトランドには能力強化施設が豊富にあり

さらには鍛え上げた肉体の腕試しとして様々な大会も開かれるという。



そんな情報を耳にした一人の男が

今、このバトランドへと向かっていた…




バトランド行きの船には

25名ほどのファイターと観戦に来たと思われる小柄な少年の一名が集まっていた。

船の中でゆっくりと本を読んでいる者もいれば人から離れたところでジャブの練習をしている者もいる。

暇そうにしていた一人のファイターが小柄な少年に声をかけた。



「なぁ、なんでお前はバトランドへ…?」



「ファイター以外がバトランドに来ちゃ悪い?」

少年は少し不機嫌そうに答えた。

無理もないことである。

バトランドのような施設に戦わないものが行って何が楽しいのだろう?

ファイターたちはこのように考えてる者が多い。

「僕はバトルを観戦するために来たんだよ。」

小柄な少年は少し見せびらかすように得意げにノートPCを取り出した。



ファイターはノートPCの画面を覗くようにして見た。

すると、様々なファイターの強さや弱点を分析したと思われるテキストが映っていた。

「え…これって…」

「僕はね、いろんな人の試合を見て、ファイターのデータを分析してるんだ。」



「バトランドではもっと面白い試合が観れるだろうから楽しみだなあ。」

ファイターは少し感心したような声で

「へぇ、まだ若いのにバトルにここまで熱心に興味を持ってるなんて珍しいな。」

「クラスメイトにもよくそう言われるよ。」

まだ話して5分も経っていないのに二人とも打ち明けたようなテンションで喋る。



「そういえばお前の名前聞いてなかったな。なんて名だ?」



「宇藤サトルだよ。君のほうは?」



「俺は渡鳥 恩(わたりどり おん)だ。バトランドでは、よろしく頼むぜ。」

二人で挨拶を交わしてるうちに目的地であるバトランドが見えてきた。

本を読んでいた者も、ひたすらジャブの練習をしていた者も手を止めて興奮した様子で窓を見る。

「そうか、もうすぐ始まるんだな…この俺のバトルライフがよお!」

恩がデカイ声をあげていた。



そして数十分後…

船はバトランドに着き、乗客者たちが次々ととバトランドの施設へと向かっていった。




「なんだ、お前俺についてくのか?」



「ここの雰囲気だと、僕みたいなのが一人でいるのはなんか心細くって…」



サトルはバトランドの通行人を見て不安になっていた。

筋肉質な体型だったり、厳つい面をした男たちがウロウロしているのを見て

絡まれたりしないかが不安であった。



「まあいいや、お前も俺の試合をしっかり見てデータにしてくれるんだったらこっちも嬉しいからな。」



「そういえば、今からどうするの? バトランドには様々な施設があって…それを利用するには専用のポイントが必要になるみたいな事を聞いたけど…」



「なんだって?」



「それについては私が詳しく説明しよう。」

二人の背後に、突如白衣を着た男が歩いてきた。



「な、なんだ?アンタは…」



「私の名はDr.ケンジ、ここバトランドで様々な研究をしている者だ。」



「まず、君たち二人にこれを渡そう。」

Dr.ケンジが腕時計のような形をした機器を二人に手渡した。



「これは?」



「これはモーションチェッカーといって、バトランドではこれを常に腕に付けて行動するといい。この機器にバトランドで使うことのできるポイント"BP"が貯まっていくんだ。 BPはただ歩くだけでも少し貯まるし、激しい運動をすればもっと貯まる。 さらにチェッカーを持った者同士で戦い、勝つことができればさらにBPは貯まっていく。」



サトルは思った。

"まるでゲームみたいだ" と



「へぇー、面白えな。けど、なんとなくこのチェッカーの機能はそれ以外にもまだなんかありそうな気もしてくるな。」



Dr.ケンジは少し嬉しそうな顔をして

「もちろん他にも機能はたくさんある、BPを一定の値に上げることで解放される機能もあるからね。」



「君たちが良いバトルライフを送れることを願っているよ。」



「ありがとな、博士。」



Dr.ケンジが立ち去ろうとしたその時

一人の男が恩の目の前に現れた。



「ちょいと待ちな。」



「? なんだお前は?」



男はやや痩せ型の長身で今にも路面に唾を吐いてきそうな見た目をしている。

サトルはこのテのタイプが苦手なのでビクッとしていた。



「オレは霧崎元(きりさき げん)。 おめえはさっきの話聞いた感じ、ここにやってきたばかりのルーキーだろ?」



「それがどうしたってんだ。」

恩は強気に言葉を返す。



「いやさあ、オレもさっきここにやってきたばかりのルーキーでさぁ。 ちょいとルーキー同士で腕試しでもしねえかと思ってよお。」



サトルはなんとなくこの元という男は自分をルーキーと偽り、ルーキー狩りを行なっているんじゃないかと疑問に思った。



「お前が本当にルーキーなのかは少し疑問に思うが、このチェッカーを手に入れた以上バトルをしない理由はない。」

「その勝負…受けて立つぜ!」



「へっ、そうこなくっちゃ! じゃあ始めるとしようか!」



二人の男が互いに にらみ合い 戦闘の構えを見せている。



恩にとって、バトランドでの最初の戦い、最初の試練が始まろうとしていた…

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