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2話

新スキルに現れた、2つの謎効果『永久保存』と『世代交代』。
それらがどういう効果なのか。それを知るのは、簡単だった。

「効果説明…こんなのあったんなら最初から知りたかった…」

なんと、各効果をタップしてみれば、その説明が表示されたのだ。
それさえ知っていれば、こんなに悩まなかったのにと、誰にでもなく文句を付けたくなる。

そこでふと、疑問が思い浮かんだ。

「あれ?農園の時って、どっちが先だったんだろう」

数日前。最初にキャベツを植えようとした時に、スキルらしきウィンドウが表示されたけれど、スキルに気がついたのはその後だった。
その時は深く考えていなかったけれど、もしかしたらその時点でスキルは発生していたのかもしれない。
そう考えると、ココロからしてみたら突然現れたウィンドウは、スキルがあってこそだったのかもしれない。
今更考えても、もう分からないけれど。

そう結論づけて、タブレットへ視線を落とす。それぞれ効果を確認するためだ。
と言っても、餌やりや畜舎清掃等は思った通りだった。加工も然り。
改めて目を通すのは永久保存と世代交代だ。

確認すると、永久保存は自動農園と同様と出るので、思わず固まる。自動農園にそんなのあったのか、と。
1度自動農園のスキル内容を確認してみると、確かにあった。
自動農園と言うのだから、採種から種蒔き苗付けが出来るのだと思いこんでいたが、追肥や収穫も出来るようだ。
更に言えば、こちらにも任意加工があった。
そして件の『永久保存』。指定された収納場所に自動保存され、任意で取り出すまで腐敗しない。収納上限なし。

それはまぁ、なんと言うか。凄いの一言で収まりそうにない。
けれど注意点として、取り出したものは戻せない、任意加工した物は取り出したと認識されるので痛み始めるとある。
そこまで万能でなかった事に、ちょっと安心した。

「あれ?でも野菜はまだ収穫されてないけど…」

目の前に広がる野菜畑には、実ったばかりの野菜がそこかしこにある。
実ったらすぐ収穫されるとあるが…と思いながらタブレットへ目を戻せば、最後に赤文字で表示されていた。

『収納場所がありません』

と。確かに『指定された』とあるが、たった今気が付いたばかり。指定しているわけがない。
収納出来るところを用意する必要がある。
対象は何でもいいのだそう。
建物タイプなら、中に入って必要な物を取り出せばいいし、箱やバッグ等なら、タブレットを使って選択して取り出せる。
それならば、わざわざ小屋を用意するまでもないので、ココロが持てる大きさの木箱を作ってもらい、それを収納場所として指定した。
その瞬間に、実った野菜達がその場で浮き、木箱の中に入ってきた。収穫完了らしい。


永久保存に関しては理解が追いついたので、木箱を家の側に置き、もう1つの『世代交代』へ目を向ける。
これは、継続的に卵や牛乳が採れるように、雛や子牛を産ませて育てていくシステムだそうだ。
結果的に年老いた鶏や牛は食用に回ってくるわけだけれど、そこには目を瞑った。考えないようにと、思考に蓋をする。
……世代交代は、自動農園で言う所の採種と同じだろうと結論づけた。

スキルの確認をし終えたところで、実は1番の問題点に目を向ける。
動物を飼育する準備が整ったところで、その動物自体が居ないのだ。
買いに行くとなると、畜産業の盛んな東の国になる。そこへ行く方法が分かれば…

「あ、もしかして…」

ふと、思い至る。もしこの予想が当たっていれば楽に行き来出来る。近くの街にでも行ければ、買う算段む着くだろう。
しかし外れていたら…また頼ることになるが、ハロルドに聞くのが1番だろう。
そう考えて、1度東側の土地へ向かった(クッキーの輿に乗って)。


「おぉ、また立派な小屋を…」

橋を渡り、せっかくだから小屋を見ていこうと寄り道する。
そこには想像通りの形で、けれどしっかりとした小屋が出来上がっていた。
どちらも跡地に沿った大きさをしている。

「うーん、この大きさ、数羽じゃ広いかな」

鶏小屋を覗いてみる。下手すれば小規模な養鶏場ぐらいあるんじゃないかと思う。
でもまぁ、使い方次第で色々できると思えば良いだろうか。
続いて動物小屋を覗く。こちらは、大型の動物を出し入れしやすい様に、出入り口も広く作られている。

「あーそっか。牛とかは放牧すれば良いんだっけ」

天気が良ければ日光も浴びれる外のほうがのびのびできるし、回りに生い茂ってる牧草も自然と減らせる。
天気が良くない時用に、牧草から飼葉を作っておくのも1つの手だろう。
正し、この知識は現実に学んだものでは無く、とあるゲームから得た知識なので、これで合ってるのかは…やってみないと分からない。が、スキル頼りではあるので、あまり問題ないようにも思える。
意思をどちらかに固めるなら、当然後者。チート(のはず)スキルに間違いはない。

そんな事を考えながら、扉を開く。そして閉じる。

「え……今の、何?」

中に見えたもの。それに動揺しての行動だ。
1度小屋全体を見回す。特に、何か変わったことはない。
意を決して、もう一度扉を開いた。

「や、やっぱり……」

外観と内装、大きさが違うのはどうしてだろうと、一瞬意識を沈めてしまった…

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