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ゴーレム

 人は楽をする生き物である。それでいながら、そのために労を厭わないという奇妙な部分もある。作業を簡略化する道具を作ったり、誰でも出来るが面倒な作業を代行する存在を造ったりと様々だ。
 その、人が面倒がったり嫌う作業を代行させるために造った存在が居る。ゴーレムと名付けられたそれは、最初は土で作った大きな人形だった。
 それも徐々にバリエーションが増えていき、今では石や金属で構成されたゴーレムまで登場している。それに飽き足らず、別のアプローチで似たような存在を造ろうとしている者も居るが、それもまた人の業なのかもしれない。
 それはさておき、ゴーレムである。時と共に様々な改良が加えられたそれは、主に力仕事が出来るように、力持ちになるように進化していった。その過程で頑丈にもなったが、それに伴い自重がかなり増えて重くなったために、機敏さは人に劣ってしまった。その辺りは今後の改良次第であろう。
 知性の方は微妙で、まだ簡単な命令ぐらいしか聞かない。なので、主に畑を耕すとか坑道を掘り進めるとか、重い荷物の運搬などでしか活躍していない。魔物との戦いは、動きが遅すぎて役に立たないので使用されていなかった。
 それでも可能性はあるので、研究している者もはそれなりに居る。人の飽くなき探求というのは底が知れない。だからこそ、傍から見ている分には面白いのかもしれないが。
 そういった人力以外の労力を眺めていたれいは、他の世界についても調べてみる。
 まずゴーレムだが、同じモノや似たモノは大量に存在していた。中には人そのものという出来のモノから、既に人を超えている出来のモノもまで様々だった。だからこそ、中には立場が逆転して人がゴーレムに支配されている世界まであるほど。
 他にも、必要な場所によっては身体の一部分だけを抽出して、その部分の機能を最適化して効率よく動かしている施設なんかも確認出来た。
 形も人に限らず、既存の生物や空想の生物を模した存在も多数存在していた。動力だって様々で、そういったものを調べるだけでもかなり時間が潰せそうなほど。
 そういった人造の存在を確認したれいは、少し興味が湧いて自身でも造ってみる。とりあえず初期と同じ土から造り、人と同じぐらいの大きさでいいだろう。そう考えたれいは、足下の土に力を流す。
 れいが力を流すと、地面の一部がボコリと隆起し、そこから勢いよく土が持ち上がり人の形になる。
「………………ふむ。微妙ですね」
 見た目が土の色であるのを除けば、人そのものな外見のそれを見て、れいはつまらなそうに小さく息を吐く。
「………………性能は、ドラゴンとなんとか戦える程度ですか。まぁ、戦ったら脆いので直ぐに崩れそうですが」
 そこらの土だけで造ったにしては高性能すぎるのだが、れい基準で言えば、強さにおいては価値の無い存在。他の部分でなら役に立つかもしれないが、雑用は間に合っているので、やはりれいには必要のない存在のようだ。
「………………必要なら管理補佐を創造すればいいだけですからね」
 折角造ったので、幾つか命令して動かしてみる。かなり複雑な命令も問題なく応えるようだが、しゃべる機能は付けていないので、無言のまま頭を縦か横に振るだけ。
 そうしてしばらく遊んだ後、飽きたので元の場所で土に還して穴を埋めておく。
「………………ハードゥスでゴーレムがどう進化していくか楽しみですね」
 れいは自身で造る分にはあまり面白くなかったようだが、人々が試行錯誤して造り上げていく姿は楽しみなようで、そう呟いて見回りに戻るのだった。

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