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第一話

ところ変わって、日本。
神奈川某所の えるのさん の家。

「なんか今度協会からロボットが届くみたいね。」

蒸らした紅茶のポットからティーカップに注ぎながら、彼女たちが所属しているプリミューレ妖精協会から届いたメッセージの話題を べる が口にした。

「えっ?ロボット??」

りぷ が目を輝かせる。

こういう話をすぐに飛びつくのはメカ好きの自称理工系の彼女だ。

「ひょっとして前回のミッションを受けて対ジャム用の新兵器とかいうアレ?」

と、えるの がテーブルに置かれたマフィンに手を伸ばしながら話に顔を突っ込んだ。

えるの は前回の戦闘で今までの武器に耐性を持ったジャム、というよりジャムに操作された人間の動きを封じ込められなくなってきている事を危惧していた。

半狂乱になって迫ってくる全裸のおっさんの姿を思い出してしまう。

・・・リサ。

駄目だ、どうも吹っ切れていない。


そして、新しいチャイムの開発を協会にお願いしていたのだけど、その試作が形になってきたという噂は耳にしている。

まさかそれがロボットとは思って居なかったけど。

流石協会の開発部、発想が斜め上を行く。
多分、主任Qの差し金だろうな・・・と協会にいた時のQを思い出した。

 
挿絵



「ロボットかぁ・・こんな感じの巨大ロボットだったらいいねぇ~」

ビルの谷間をガチョンガチョンと歩く姿。

「一度こんなロボット操縦したかったんだ~」

こんな時は、 りぷ は夢見る乙女になる。

庭先のマメ電車の次は巨大ロボットか・・と えるの は苦笑した。

(そんなもの何処におくのよ、ねぇ?)

「何処に置いとくのよ、そんな大きいの」

べる は呆れ顔だ。

ロボットやアンドロイドは珍しくない。
ちっちゃなロボット達は既にうちにいる。

話せば長くなるので彼らがうちに転がり込んだ経緯はまた別の機会にでも。

「巨大ロボはダメかぁ。ロマンなのになぁ」

「でも、モビルスーツ(仮)って書いてあったのよね。」

「モビルスーツ!!」

2人合わせて素っ頓狂な声を出した。

「モビルスーツかぁ。人間と同じくらいのサイズでもイイなぁ~」と再び夢見る乙女になる。

そしてもう一人妄想の世界に飛び立とうとしている姿があった。

「マスターと同じサイズだったら・・・」

一緒に公園をお散歩したり、ショッピングに行ったり出来ちゃったりして。みんなびっくりするだろうなぁ。

イケナイ妄想が溢れ始めた2人を べる が窘める。

「なんか、キナ臭くならなければいいんだけど・・・」

その3日後に巨大な包みが えるの 達の家に届けられた。


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