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ココはどこですか?

 光が収まり私の足の感触が冷たい石から土へと変わりました。
 私はゆっくりと目を開けました。
「······ここって公園よね?」
 私の目に飛び込んできたのは噴水やベンチでした。
 辺りは真っ暗で人の姿がありません。
「此処は何処なのかしら······、魔法は使えるみたいね、『鑑定』」
 私は魔力持ちなので当然ですが魔法を使う事が出来ます。
「地名『日本』、文明はあるのね、魔法の変わりに工業が発達している······」
 脳内に日本の情報が入って来ます。
「······この世界だったら私でもやっていけるかも。貴族や王族制度が無い、ていうのが嬉しいわよね」
 一通り情報を手に入れた私はちょっと安心しました。
「まずは夜が明けるまで何処かに身を隠していた方が良いわね、『マジックケース』オープン」
 空間に黒い穴が開きました。
 何かあった様に服やら宝石やらを保管しているのです。
 その中から余り目立たない服を選び草木に隠れて着替えました。
 それから売れそうな宝石を取り出しました。
「とりあえず、これでオーケーと、早速移動しましょうか」
 私は歩き始めました。
 やっぱり靴は良いですね、足が暖かいです。
 歩いていくとお店をやっている通りに出ました。
「夜なのに人も多いし、明るいわね」
 私の国にもランプはありますけど全然規模が違います。
 いろんな色が光っていてキレイです。
「そういえば、お腹が空いたわ······」
 1ヶ月も水と固いパンだけだったのでお腹はペコペコです。
「う~ん、凄く良い匂い······」
 私はとあるお店の前で立ち止まりました。
 そのお店は食べ物屋で美味しそうな物がいっぱい並んでいます。
 買いたいのは山々ですが現在、私はこの国のお金を持っていません。
 まずはお金を手に入れないと行けません。
 お金を手に入れたら買いに行きましょう。
 そう思い私は立ち去ろう、としました。
 すると私に気がついたお店の人が私に声をかけて来ました。
『貴女、私の言葉がわかる?』
『えぇっ!? なんで喋れるんですかっ!?』
『やっぱりね、私も貴女と同じ追放者だからよ』
 驚きました、私と同じ境遇の方がいらっしゃったなんて。
『貴女、名前は?』
『アレクシア・ミラーレスと申します』
『私はルカ・アニシャス、こっちでは御園ルカと名乗ってるの』
 これが私とこの日本で生きていく為の道標となるルカさんとの出会いでした。

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