44話〜…突然の来客
あれからブラット達は、ルルーシアのギルドで話をしながらガルドが来るのを待った。
フリックとグレンとヴィオレッタは、少しの間ここにいたが待ちくたびれ、しばらくギルドの中を見て廻った後、街を見て歩く事にしてギルドを出て行った。
「この前来た時も思っていたが、冒険者ギルドにしては、かなり大規模な建物のようだが」
「ふふふ、当然です。私が、このギルドを立て直したのですから!」
ルルーシアは自慢気に言った。
「でも、流石に冒険者ギルドが、ここまで大規模だと維持費がかなりキツイんじゃないのか?」
「確かに、そうですが。私も、このギルドに、ただいる訳でもないので」
「なるほど。ただいる訳じゃないという事は、冒険者が請負え無いような依頼をしているという事ですか?」
「まぁ…そんなところかなぁ。それはそうと、遅いですねコトネとガルドは?」
「確かに、遅いな。道に迷う事は無いとは思うが?」
「ん〜、親父が道に迷うなんて考えられないんだけど」
「そうですね。何事も無ければ良いのですが?」
そう話をしていると扉を叩く音がし、サアヤは扉を開けた。
するとそこにはカトレアがいて、サアヤが不思議そうに、
「カトレア様、何故ここに?もしやガルド様の身に何かあったのですか?」
カトレアは首を横に振り、
「いいえ、違うのですが。ただ、私やガルド、ましてやジェシカやレフィカルでも、どうする事も出来ない事態が街の外で起きましたのです。それで私が急ぎここに来たのですが」
そしてルルーシアは席を立ち、カトレアの側に来ると、
「久しぶりね。カトレア、それにしても、ジェシカとレフィカルも一緒とは」
「本当に、お久しぶりですね。ルル」
「しかしカトレア、街の外で何があったというの?」
「それなのですが、少し言いづらい事なのですけれど」
「言いづらいって、どういう事なんだ?」
カトレアは少し溜息をついてから、
「それは、ビスカとコトネなのですが。街の外で、何故か大喧嘩を始めてしまいました。それでガルドやジェシカやレフィカルが、何とか止めようとしてるのですが」
「はぁ?ちょっと待て、確かビスカとコトネは師弟関係だった筈だが何故喧嘩など?」
「ふ〜ん、なるほど。ビスカもここに、そしてコトネと喧嘩ねぇ」
「ルルーシアさんは、ビスカとコトネの関係を知ってたんですか?」
「はぁ、言いづらい事なんですけどね。実を言うと、昔からコトネの事は知っていて、手紙も頼みやすいコトネに頼んだのです。そして昔、コトネに魔法を教えてくれって頼まれ、ちょうど暇で、この街に来ていたビスカに頼んだのですが、今になっては、2人を合わせなければと後悔しています。それと、まさかガルドのところにビスカが行っているとは思いもよらず、迂闊でした」
「そうなると、早く止めないといけないのではないのか?」
「はい、そうしなければ街にも被害が出てしまうかもしれないかと」
「んー、俺が行って役に立つかは分からないけど、行かないとな」
サアヤは微笑みながら、
「少しは、お前も言うようになったな」
「ブラット…少しは成長出来たみたいですね」
そう言われブラットは苦笑した。
そして、ブラット達はルルーシアを残し、3人で街の外にいる、ガルド達の元に向かったのだった…。