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40話〜謎の若き王と王女

 ここは名もなき城からはるか南西に位置する火山地帯。誰もが寄り付かないほど、酷く荒れ果てた土地、そこには結界を張り巡らされた場所がある。

 その結界の中には、誰にも知られていない立派な城があった。その城の中に体格のいい男性と透きとおった肌の綺麗な女性が外を見て話をしていた。

「ふっ、とうとうオルドパルスが動いたようだな」

「そのようですね。お兄様……オルドパルスの計画は成功すると思いますか?」

「いや。恐らくは、無理だろうな。だが、それで良いのだ。我々の計画は、そんなちっぽけなものではないのだからな。それに失敗してくれた方が、我々にも好都合。もし魔神が復活してしまっては……」

 そう話をしていると、奥の方から小柄の男が1人入ってきた。

「アルフレッド様にリリアス様。只今、戻りました」

 その男は部屋に入ると2人の前に来て一礼をした。


 体格のいい男性の方は、アルフレッド・シェルズと言い、そして透きとおった肌の女性の方はリリアス・シェルズと言う。

 そして、アルフレッドはこの城の若き王であり、リリアスは王女だ。

 この城の者は生まれた時から、この地を出た事がない、そう結界のせいで王族やこの地で生まれた者は、この結界からは出れないのだ。

 この小柄の男はニック・ソルト、元はホワイトガーデンの貴族の生まれだ。

 本来この結界の城は誰も出入りする事が出来ない。

 ある日、ニックは母方のオパール家の屋敷を訪れた時、偶然にも倉庫に封印されていた書物を発見した。ニックは、それがどうしても気になり、誰にも内緒で書物の封印を解き、中に記載されていた事を読み、この結界の城の事を知った。結界の城に興味を持ったニックは、どうにかしてこの結界の中に入れないかと考え、ついにその方法を見つけだした。

 そしてその方法が成功し結界の中に入る事が出来たが、結界の中には書物に書いてあった通り、城があり人々が暮らしていた。

 ニックは外部の者であると城の者達に気付かれ捕まり、先代の王の命により処刑されそうになる。

 だが、アルフレッドはニックが外部の者であった為、外の事が知りたく興味があり、自分が監視するからと頼み解放してもらい、自分の側近として置いていた。


「ニック帰ったのか。それで大体の目処はつきそうか?」

「アルフレッド様。本当に、この計画を実行するおつもりなのですか?」

「そうだな……でも、今更この計画を止めるわけにはいかない」

「お兄様。私は……いいえ、なんでもありません。お兄様がお決めになった事ですものね……」

 リリアスは何か言おうとしたがその言葉を呑み込んだ。そして3人は、奥の部屋に入って行ったのだった…。


 ……そして、新たなる闇がこの世界に忍び寄る。

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