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9話〜洞窟にて{改}

 場所は移り、ここはブラックレギオン国。クロノア達は、目的地の城から約20キロ離れたクロック村まで来ていた。

 このブラックレギオン国は岩が多く、どちらかと言えば草原や森などは少ない。


 あれからクロノア達は、あの一件でお金が無くなったので仕方なくお金を稼ぐ為、冒険者ギルドに登録していた。

 クロノア以外は身分と名前を隠し、ディアナはデアでハウベルトはハルと名のることにした。

 3人の冒険者等級はノーマルの1等級だ。そしてこの世界には冒険者ギルドがあり、ギルド等級などがある。

 そして等級とは、

 ノーマル3→2→1等級
 ⬇︎
 ブロンズ3→2→1等級
 ⬇︎
 シルバー3→2→1等級
 ⬇︎
 ゴールド3→2→1等級
 ⬇︎
 プラチナ3→2→1等級

 に分かれている。


 現在クロノア達は、ギルドから盗賊討伐の依頼を受け、クロック村から北西に位置する、盗賊のアジトがある洞窟の中にいた。

 洞窟内はコウモリ等が生息しており、所々に明かりは灯っているが薄暗かった。

 ディアナは溜息をつき、ハウベルトと何か話をしていた。

「ハウベルト!ここって……」

 ハウベルトは何も言わず頷いた。

 クロノアはそんな2人のやりとりを見ていて気になり、

「ねぇ、この場所って知ってるの?」

 そう言われ2人は慌てた。

「あっ、えっと……ん〜、どうするディアナ?」

「ハウベルト。何で、こんな依頼を受けてくる」

 ディアナは眉をピクピクさせイライラしていた。

 ハウベルトは目を細めて左手で頭をかきながら、

「あーーどうしたらー。流石にまずいよなぁ。まさか、俺だってこんな依頼だと思わなかった」

 一呼吸おき、

「ただ盗賊の討伐依頼だったし。それに金も結構よかったしな……」

 それを聞いて、クロノアはあまりにも意味が分からないので首を傾げながら、

「えっと、いったいこの依頼の何がまずいのかな?」

 ディアナの顔がピクっと引きつり、

「あっ!んーそうだな〜、この依頼は、とりあえず放棄しようか」

「うん、そうしよう。他にも依頼はあったようだしな。そっちの依頼にするか」

 明らかに2人は何かをひたすら隠そうとしていた。

 そのやりとりを見てクロノアは不快に思い2人をムッ!と睨んだ。

(2人とも何か隠してるのは間違いないんだけど……それに、もう少しで城に着くと言うのに、何か様子もおかしい感じだし)

 ディアナは何かを思い出したように、というかワザとらしく、

「あっ、そうだ!この仕事ではなく、もっといい仕事でも探してこよーかな〜。うんうん、そうしよう、そうしよう!」

 ハウベルトも同じくワザとらしく、

「俺もこの仕事。何か……」

 ハウベルトが全てを言う前にクロノアは、

「あのさ〜!さっきから2人とも、何をそんなにあからさまに動揺してるわけ?それに、この洞窟に来てからおかしいよ?ねっ!!ここって何なわけ?」

 少し大きめの声を出して言った。

 それをみてディアナとハウベルトは、慌てて口に人差し指をあて、小声でシー!!っと言ったが、時すでに遅し。

 その声に気づき奥の方から数人の男女の声が聞こえてきた。

 男「誰だー!そこにいるのは!?」

 女「まずいわ。ここが、誰かに知られるのは……。どうする?」

 そう聞こえディアナとハウベルトはまずいと思い、クロノアを無理やり2人がかりでつかんで、猛スピードでこの場から逃げた。

「いったい何なのよ〜!!!!!」

 クロノアは叫びながら、何がなんだか分からないまま2人に引きずられ、洞窟を抜けて森の外に出た。

 そのおかげで顔や身体中にすり傷や汚れ髪はバサバサになり、クロノアは怒りたいような泣きたい気持ちになった。

「何なのよーーーふざけるな〜!!!」

 と怒鳴り、この状況に不満のクロノアは、

(何をこんなに、ひたすら隠す必要があるんだろう?ん〜、あまり考えてても頭が痛くなるだけだしなぁ。
 てか、服は泥だらけだし髪の毛はボサボサだし、どうすんのよこれ?)

 そう考えていると、ディアナがハウベルトを見てすかさず耳をつかんだ。

「ハウベルト!あっちで話したい事がある。それとクロノア様、先ほどは申しわけありませんでした」

 少し間をおき、

「この事は、後でゆっくりと話したいと思いますので、先に宿に戻っていて欲しいのですが?」

 ディアナはハウベルトの耳をつかんだまま、

「イタタタタタいってー!!!!そんなに引っ張らなくても〜いいだろう!」

「元はと言えば、お前が悪い!とりあえず来い!!」

 クロノアはムッとした顔で、

「ん〜、納得いかないけど。後で本当にちゃんと話してよね!!」

 するとクロノアはそのまま宿屋に向かった。

 ディアナとハウベルトはそれを確認すると、少し先のひと気のない場所で話し始めた。

「ハウベルト。どうする?このままではあの事がばれてしまうが」

 ディアナはそう言い考えていた。

 ハウベルトはディアナに引っ張られた耳をさすりながら、

「うっ痛い!すまん確かに俺の確認ミスだ。あそこがバレると、この先色々と不都合なのは確かだ。一旦、宿に戻り俺が夜にでも行く」

 ハウベルトがそう言うとディアナは頷いた。そしてこの場で少し色々と話し合った後、2人は宿屋に向かった。



 一方、先ほど3人がいた盗賊のアジトらしい?所では、

 男「さっきの3人組の内の2人の後ろ姿なんだがなぁ」

 女「そうね。あの後ろ姿ディアナとハウベルトに似てたけど。2人とも確か今、大事な任務中なのでは?」

 男2「そういえば、ハウベルトがそんな事言っていたな。でもまさかこんな所に来ないだろう。覇王様、連れてまで……」

 男「確かにそうだな。ん〜でもあの2人、意外とドジなところがあるからなぁ。だが、まだ覇王様が味方かどうかも分からない……」

 と言うと、更に会話を続けていた。



 そして夜になりハウベルトは、みんなが寝静まった後、誰にも気づかれないようにクロック村をでて、昼間の洞窟へと向かった。

 その時クロノアは、寝たふりをしていた。だが何か訳ありなのだろうと、面倒なのも嫌なので、このまま寝る事にした。

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