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シュウカツ宣言!

 翌日、目が覚めた私は清々しい気分だった。
(毎日、ダンスやマナーのレッスンがあったけど憂鬱だったのよね)
 お父様が話を通してくれていたら今日からレッスンは無い、はず······。
 パジャマから普段着に着替え私は迎えに来たメイドに連れられ食堂へと向かった。
「おはよう、昨夜はよく眠れたか?」
「はい、頭はかなりスッキリしています。お兄様達は既に出掛けたんですか?」
 上のお兄様は騎士団に所属、下のお兄様は貴族学院に通っている。
「あぁ、昨日の事は既に2人には伝えてある。城にも昨夜の内に抗議の手紙を出した。返事があれば良いんだが無ければ今後の関係を考えなければならないな······」
 流石はお父様、仕事が速い。
「お父様、私昨夜色々考えたんですが······、将来的に貴族籍から抜けたいと思っております」
 そう言った瞬間、お父様は固まった。
 お父様だけじゃなくてメイド達や執事達も。
「き、貴族籍を抜けるとは······?」
「成人したら平民として暮らして生きたい、と思っております。私には貴族生活は向いていないと思うんです。昨日の件は後々まで語られると思いますし······」
「いや、しかし······」
「ですから、これからは平民と1人で暮らしていく為の準備に費やしたいのです。ですので、今後自分の事は自分でやる事にします」
「自分の事は自分でやる、とは······」
「部屋の掃除、食事の準備、洗濯全てです。平民でしたら出来るのは当然でしょう?」
「う、うぅむ·······、まぁ、やりたいのであればやってみるのも良いだろう。だが困った事があったら頼りなさい。人に聞く事は決して恥では無いからな」
 一応、お父様は納得してくれたみたいだ。
 こうして私の貴族としての終活が始まった。 

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