バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

20

  
 
ふとそんな僕の心情を(うかが)(よう)な、
小さな目に気付く。

ナビだ。

ナビは(なぐさ)める様に言った。


「心配するな中2病だ!」


そのレトリックに(いどろ)られた発言(はつげん)に、
頭を(かか)える。


悪夢だ! (こわ)れている・・・


それを見ていた少女が、
2人の間に割って入った。


『病気だったの? 薬いる?』


このとき僕は無邪気(むじゃき)他意(たい)の無い純真(じゅんしん)さは、
時にいばらの(いばら)(トゲ)になる事を知った。


話題を変えよう。


「ところでナビって人工知能(じんこうちのう)なの?」


僕の世界ではまだ、
これほどの人工知能は実現していない。


『それって感情があるかって事?
 結論(けつろん)から言えばあるよ』

それを捕捉(ほそく)する(よう)にナビが(しゃべ)り出した。


「そもそも人工知能と同一視(どういつし)されるのは、
 不服(ふふく)だ! 」


「人工知能じゃないの?」


その質問に途端(とたん)饒舌(じょうぜつ)になるナビ。


「君の言う人工知能とは0と1の演算式(えんざんしき)
 君の世界のコンピューターの仕組(しくみ)みを
 考えているんだろ。
 モールス信号のような単純(たんじゅん)な、
 電気が流れるか切れるかの0と1。
 そもそも僕のコンピューターは、
 0と10の演算式(えんざんしき)()り立っている。

 これは(たと)えるなら、
 微生物(びせいぶつ)と人間を同一視(どういつし)する(よう)なものだ。

 僕には感情があるし、目的もある。

 加減(かげん)に言えば・・・ 」


永遠と続きそうな講義(こうぎ)を前に、
それを僕は途中で(さえぎ)った。


「ごめんごめん理解したよ。悪かった」


このとき僕は理解した。


ナビをロボット(あつか)いするのは、
禁忌(きんき)()れる事だと。


 

しおり