第三の夢、その果てにいるのは

ミカン・デジレ

「やっと目を覚ましてくれたね、橙子!」
「彼は?彼はどこにいるの?彼は大丈夫なの!?」
「ごめん橙子…あなたを守るために、彼は…」

退院した橙子のうちに、生きる望みは、かき消された灯火のようになくなっていた。
慣れ親しんだ家に戻り、ピアノを見つめると、彼の面影がまぶたの裏に揺らめく。

甘い夢の二度目の散り際、それに続くは果てしなき悪夢。一度は地獄から幸せの岸辺へと這い上がった彼女は、再び、深淵へと堕ちていった…。果たして、良き夢はどこに在るというのか。

「橙子、実家に帰って一緒に住みなさい。医者もあなたの精神状態がまだ安定していないと言っているし…」
「ママ、ごめんなさい…まだ少しだけ、この部屋にいたいの。それに、ママとパパもお仕事がお忙しいでしょうし、わたくしのことにまで気を回していただくのは…」
「それではせめて、使用人…メイドかバトラーを一人頼んであげる」
「……わかりました。ですが、雇う人はわたくしが選ばせてください。……お願い」

そして、少し離れた場所で、もう一人の人生も、この一つの契約を契機に、永遠に変わり果てようとしていた。

これは、はるか北の異国で、幾度も幸せを追う者と、それを諦めた者とが織りなす、一つの物語である。

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※この小説にはLGBT要素が含まれています。読む前にご注意ください
海外に住んでいるので、僕の知っている知識を活かして、皆さんに異国の風情を紹介していきます
この小説は僕の初めての作品です。ストーリーは青春の美しさや学園生活の興奮を称賛することはなく、むしろ大人だけが理解できる、暗く、胸が締め付けられるようなエピソードに満ちている。でも、それでも僕は皆さんに人間の持つささやかな温もりを感じていただけるよう努力します

生きているうちに誰かがイラストを描いてくれたらいいのに(