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反逆12

 揚羽の戻ったその夜に弾正は百人ほどの人数で逃げるように京を去った。もちろん狐も弾正達と共にした。柘植の忍者は伝令を持って残った兵の大将の元に走った。速やかに引き上げるようにと言う内容だった。これを知らせてきたのは京之助だ。
「筒井の兵2千が信長の命で大和に進軍している。だが私からは攻撃は待ってほしいと伝えている」
「どうしてですか?」
「それでそれを聞きにここに来た」
 狐がようやく旅籠に戻ってきたのだ。
「すいません。揚羽の罠にかかって明智の屋敷に閉じ込められたのです」
「光秀と揚羽の話は聞いたのか?」
「はい。揚羽は光秀に抱かれました。そうしたら老人の声が聞こえてきました」
「式神になったのだ」
 京之助もかなりのことを知っているようだ。果心が言っていたように柳生宗矩の特命を受けている。
「光秀がすぐに大和に引き上げろと言っていました」
「やはり光秀が信長に何か手を打ったのだな?」
「それは分かりません。でも揚羽はその後京に走り出しました」
 それを聞くともう京之助は立ち上がった。
「私は大和の国境に戻ります」
「これからどうなります?」
「これは柳生で調べたことだが、光秀と弾正とはいや果心居士とは遠い昔深い縁がある。果心は一時光秀の中にいたのではないかと思う。どういう理由か弾正に乗り替わった。それは光秀の運命が弾正から繋げられるからだと言う。これは宗矩殿の意見だ。狗は大和に潜ってくれ。光秀の方はこちらで調べる」
 狗は鼠を連れてまだ戦闘状態の大和に入る。

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