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子供達を預かります

 町への出張をし始めて数週間が経過、最近、この修道院に『小さなお客』が来るようになった。
「お姉ちゃ~ん!! 今日も来たよ~っ!」
「こんにちは~っ!!」
「いらっしゃい、今日も元気に遊びましょうね。」
『は~いっ!!』
 町に住んでいる子供達が修道院に遊びに来るようになった。
 きっかけは子供の母親が『用事があるので子供を預かってほしい』と言われた事だった。
 子供の扱いは元妹が幼い頃には少しはお手伝いをした事があるので多少は慣れている。
 最初はその日だけだったんだけど、子供が楽しかったみたいで親に報告したみたいでそれがだんだんと広まったみたい。
 で、今では子供達を預かる事になっている。
 でも、ただ預かる訳では無く、一緒に花壇の花の管理をやったり、畑を耕したりお菓子を作ったり、色々教えたりしている。
 学生時代は成績も優秀で人に教える事も多かったのでわかりやすく教えている。
「まるで学校みたいだね。」
 様子を見に来たトーマス様がこの様子を見て笑って言った。
「平民は一部の人以外は学校に通う、と言う習慣が無いですからね、凄く損をしているように思えるんです。知識は無駄になる物はありませんから。」
「なるほど、人生の選択肢を増やすには良い事だね。」
「本当は、王妃になったら無償の学園を作って平民でも勉強ができる機会を与えたかったんですが残念ながら、泡と消えてしまいましたから……。」
「この国は発展できるチャンスを無くしてしまった訳だ。まぁ、そう言う事を考えられる人が貴族にいれば良いんだけどね。」
「普通の貴族はそこまで考えていません。」
 キッパリと断言する、私の知ってる貴族には高い志を持っている人は知る限りはいない。
 自分の利益の事しか考えていない。
「ハッキリと言ったね……。」
「もう貴族ではありませんから、遠慮なんてしませんから。」

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