やっぱり男手が必要です
王妃様と会ってから数日後、トーマス様が大工さん達を連れてやって来ました。
「彼等は領内でも腕利きの職人達だ。よろしく頼むよ。」
「わかりました、若旦那! これだけボロい建物、余計に腕がなりますわ。お前達、気合い入れて作業にかかれよっ!!」
リーダー格の方の合図と共に作業が始まりました。
「期間は1ヶ月くらいかかるそうだ。」
「こんなに手早くして下さってありがとうございます。きっと女神様も喜んでいる、と思います。」
私一人だったら、いずれギブアップしていたかもしれない。
やっぱり頼るべき時は頼った方が良い。
「そう言えば、あれから事態は進展しましたか?」
「あぁ、国から調査官が来て色々調べていったよ。僕も包み隠さず知っている事を話したよ。」
本当に誠実な方だ。
父親に爪の垢でも飲ませてやりたいぐらいだ。
「きっと、処分は軽い物になると思いますわ。トーマス様は悪くないんですもの。」
「しかし、知らなかったとしても父上の悪事を知らずに今まで生きてきたと思うと情けないよ。」
「そんなにご自分を責めないで下さい。きっと女神様が見てくれていますから。」
「ありがとう、シスターキャロル。」
そう言って笑ってくれたトーマス様に思わずドキッとしてしまった。
そして、1ヶ月後、無事に修道院は見事に修復した。
床や壁は全て張り替えられて木の匂いがプンプンする。
懺悔室や聖堂も新しくなりこれで人が集まりやすくなるだろう。
2階の私の部屋やかつての院長室もリニューアルされた。
まぁ、今の所は私一人なので、意味は無いんだけど、いずれは人も来るだろうし無いに越した事はない。
中庭もすっかり整備されて、花壇や畑も修復された。
これで念願の畑作りが出来る。
大工さん達には丁寧にお礼を言った。
困った事があったらいつでも読んでくれ!、というありがたい言葉もいただいた。
これで漸くシスターとしてスタートをとれる事が出来る。