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203 カカオ豆の補正効果

「よかった。無事だったんですね。ああ、無事というのは報告を受けていましたが……。よかった、本当に」
「心配かけてごめんね。ううん、違う、心配してくれてありがとう」
 他の机で作業している人の目が向けられる。
「場所、移動しませんか?」
「そうですね。騒々しいと、周りに迷惑ですから」
 と、ブライス君がローファスさんをちらりと見た。
 うん。一番騒々しそうだけど。
 移動したのは、ローファスさんの部屋でした。
 は?なんでローファスさんの部屋がギルド本部にあるの?実家から徒歩10分なんだから、実家から通えばいいんじゃ……。
 2面の壁には棚があり、棚には雑多なものが所狭しと雑然と……まぁ、はっきり言えばぐちゃぐちゃのごちゃごちゃに置かれていた。
「なぁ、これなんだ?」
「レアドロップアイテムだな。売ろうにも価値をつけられないってギルドがなかなか買い取ってくれねぇやつがほとんどだな」
「うわぁ、これ、綺麗なネックレスなのよ!」
 キリカちゃんが棚から赤い宝石のついたネックレスを見つけた。
 3カラットくらいありそうなルビーみたいな宝石。高そう。
「キリカ、触るな、それは呪いのネックレスだ」
 の、呪い?!
「レアアイテムだからって、呪いのアイテムじゃぁ高度鑑定もしてもらえないからな。なんの呪いかは分からない上に、見た目がきれいな分、誤って誰かの手に渡るといけないからかれこれ5年ほど置いてある」
「レアアイテムって言っても、当たりとハズレがあるんだね、知らなかった」
 ん?
 ハズレ?
「どうしました、ユーリさん」
「いえ、なんかハズレって聞くと、逆に私にとっては当たりだったことが多いので……いいもののような気がしちゃって」
「ああ、確かにそうですね。ハズレレアアイテム……呪いってなんの呪いなんでしょう?高度鑑定できればいいんですけど……。早くレベルを上げて魔力を高めないといけませんね……」
 ブライス君の向上心はすごいなぁ。
「ああ、そうだ、高度鑑定で思い出した。ブライス、飲め。飲んで、鑑定してほしいものがある」
 ローファスさんがさっき受付で買った魔力増強剤をブライス君に手渡す。
「え?これ、魔力増強剤って、呪いのネックレスの高度鑑定ですか?それとも、別のレアアイテム?何を鑑定させたいんですか?」
「鑑定してほしいものはこれだ」
 ローファスさんが、チョコレート菓子をブライス君に差し出した。チョコバナナです。あ、1本ごとじゃなくて、3センチくらいに切ったバナナをチョココーティングしてあるものです。
「なんですか、その黒いもの?」
「ハズレ魔石でユーリが料理したものだ。食べる前と後、高度鑑定魔法でステータス詳細確認を頼む」
 ローファスさんのその言葉で、ブライス君はすべてを理解したのだろう。
「なるほど。分かりました。では、魔力増強剤をいただけますか?」
 そういえば、魔力増強剤で料理したらどうなるのかな?効果が高いものができる?って、さすがに何でもかんでも補正効果があるわけないか。
「ステータスでは何の変化も確認できなかったんだが、隠しステータスの何かに変化があるかもしれないし、何もないなら何もないでいいが、何か問題が発覚してからじゃ遅いからな、念のため」
 ブライス君が、魔力増強剤を2本飲み干す。
「【高度鑑定】」 
 と、呪文を唱えてからステータスを確認し、その後チョコバナナを食べて変化を確認。
「あ」
 小さな声を上げて、ブライス君がほほを染めた。
 え?なんで?
「どうした、ブライス、結果を教えてくれ」
 ブライス君がちらりと私を見て、それからキリカちゃんとカーツ君を見てから、呪文を唱える。
「【鑑定結果、ローファスさんに開示】」
 ん?
「うわ、これは、あー。いや、なるほど……。まぁ、あれだな。……それにしても、4つも効果が付くとか、すごいな……」
 4つも?
 今までのハズレポーションは俊敏性だけとか、一つだけだったよね?
 ハズレ魔石すごい!
「なー、何の効果があるんだ?教えてくれよ!」
 カーツ君の言葉に、ブライス君が困った顔をする。
「キリカも知りたいのよ?さっきチョコレート食べたの。なんの効果が発揮されてるの?」
「いや、子供には効果がないからな。うん。大人にならないと……いや、大人になっても縁がない人間もいるか……」
 ?子供には効果がないから見せてくれないの?
 それって、子供が食べても大丈夫なの?もし問題があるようなら……。
「ブライス君、私にも見せてもらえる?」
 ブライス君のほほがさらに赤くなる。
「いえ、その、えっと……」
 動揺して言葉が続かないようだ。

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いつもありがとう。
むっふ。高度鑑定魔法便利ね。
隠しパラメーター……見ない方がいいから隠れてるんだよ。
ふふふ……。

っていうか、予想するヒントは、チョコレートの効能とほぼ同じでーす。それが少しだけ強化された感じ。
にゅーん。

あ、そういえば、12月10日に2巻発売なのです。
出れば3巻では……獄中ザマァ!と、泡立て鬼と、気絶ライフです……(´・ω・`)
出るといいな。というわけで、2巻をよろしくお願いいたします。(大人の事情)


さて、特に未掲載部分を読まなくても話は通じてると思うのですが……ご不明な点はご質問ください。
なろうと違うので感想欄、投稿してもいきなり公開されないので「非公開にしてね」と書いていただければ、非公開のままで私だけに届きます。(正確には承認、非承認ボタンで、承認ボタンを押さない限り公開されないのです)

……うーん、何が分からないのか分からない。

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