バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

213

 瞳は、何度も何度も何度も。
 愛の体を揺らした。

「愛、起きなよ……
 愛が起きないから、先生泣いちゃったよ?
 ねぇ、愛ってば!」

 瞳は、涙声で僕に聞く。

「愛、どうなったの?」

 僕に、言わせないでくれ…
 言ってしまったら、それを認める事になるじゃないか。

「ねぇ、真白!真白ったら……!」

 でも、言わなくちゃいけないんだ。
 認めなくちゃいけないんだ。

「天国に行っちゃった……」

「どういうこと?」

 僕は、男の子だから強くならなくちゃいけないんだ。

「死んじゃったんだ」

「死ぬってなに?」

 瞳が涙を浮かべながら言った。
 僕だって泣きたい…
 でも、強くならなきゃいけないんだ。
 だって、僕が好きな人は、みんな離れて行くんだから。

「怒ったり泣いたりしないってことだよ。
 だから、もう愛は苦しまないんだ」

 瞳は、僕の体を力強く抱きしめた。

「泣いても良いよ」

「僕は、泣かない」

「じゃ、私が泣くね……」
 わーん」

 瞳が泣いた。
 大きな大きな声を出して泣いた。

しおり