バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

190

 腕がだるい。

「……何をしているの?」

「たまには、一緒に寝るのもいいかなって……」

 瞳は、僕の腕を枕にして横になっていた。

「重いんだけど……」

「お、重いって失礼な!
 うりうり」

 瞳は、僕の顔をつついた。

「大人になったんだね……」

「え?」

「なんか、少したくましくなった感じがする。
 お姉ちゃん卒業かな?」

「瞳も、彼氏作りなよ。
 モテているんでしょ?」

「朝、一人で起きれる?」

「無理……」

「じゃ、暫く一緒にいてもいいのかな?」

「当たり前だろ?
 俺たち、姉弟なんだから……」

「ねぇ、覚えてる?」

 そう言った瞳の目が、悲しげだった。

しおり