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 そう僕はあの日は、泣いていた。
 何もできない自分が悔しかった。
 悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。

 このとき僕は、声を出さずに泣く技を覚えた。

 瞳は、まだ泣いている。

「泣くなよ…」

「だって、愛が!愛が……!」

「大丈夫……
 病院に行けばすぐに元気になるよ……」

「でも、いっぱい血を吐いていたよ?」

「大丈夫、大丈夫だから……」

 僕は、自分にも言い聞かせた。

「絶対大丈夫だから……」

「うん……」

 瞳は、そううなずくと涙を止めた。

 一晩待った……
 眠らずに待った。
 眠らない夜ほど長いものはない。
 僕らの元に先生と愛が帰ってくることはなかった。

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