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「真白が遠くに行っちゃう気がしたの……」

「遠くって……?」

「今まで、私たちの間に隠し事なんて無かったよね?」

 いや、僕はあるけどね。
 エッチな本とか隠してあるし。
 この場合、黙っているのが正解だよね。

「……そうだね」

「私、真白のことなら何でも知ってるよ?
 孤児院までのことは、知らないけど。
 孤児院から出たあとのことなら何でも知ってるよ?
 いつまでおねしょしていたとか……
 テストの点数をごまかして、お母さんに見せたこととか。
 ベットの下に、エッチな本をいっぱい隠しているとか……」

 瞳は、そう言うと苦笑いをした。

「ってか、なんでエッチな本の隠し場所なんで知っているの?」

「真白の布団を干す時に、たまたま見つけたんだ」

「……そっか」

「私たちは、ずっと一緒だよね?」

「うん」

「血は繋がっていないけど……
 姉弟だよね?」

「うん」

「そう、姉弟なんだよね……」

 そう言った瞳の顔がとても切なそうだった。

「うん」

 でも、それはすぐに笑顔へと変わった。
 さっきまで泣いていた天使が、ほら笑う。
 でも、僕は知っているんだ。
 傷ついた天使は、笑えないことを。
 痛い痛いって泣いているんだ。
 そう、心が泣いているんだ。
 ずっとずっと永遠に……

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