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「今なら、泣いてもいいよ?」

「泣かない」

「そう、じゃ私が泣くね……」

 瞳がそう言って静かに鼻をすする。

「え?どうして瞳が泣くの?」

 僕は戸惑う。
 瞳は、僕の質問には答えず僕を抱きしめながら静かに泣いた。

 僕は、そのまま黙っていた。
 何かあったのかもしれない……

「何かあったの?」

「何にもないよ。
 ただ、悲しいだけ。
 ごめん、今は黙って泣かさせて……」

 僕は、何も言わなかった。
 ただ、瞳が泣き止むのをじっと待っていた。
 瞳は、数分間泣き続けた。

「……ありがとう」

 瞳は、そう言うと僕から体を離した。

「何があったの?」

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