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「失うって……?」

 その僕の質問よりも先に明後日の方向から声が耳に入ってきた。

「もしかして、奈々じゃねぇの?」

 僕が振り返ると、そこに他校の生徒が立っていた。

「鈴原くん……?」

「なんだ、水谷さんの知り合い?」

 水谷さんは、何も答えない。

「今は、コイツに飼われているのか?」

 僕の聞き間違いかな?
 今、『飼われるのか?』って言った?

 僕が、不思議そうな顔で首を傾げているとその生徒は言葉を続けた。

「あ?マジ?何も知らないのか?
 俺、コイツの元セフレってか、元主なんだ。
 まぁ、このアホは、俺のこと彼氏と思ってたらしいけどさ」

「何を言っているの?」

「コイツ、俺が言えば誰とでも寝るんだぜ?
 もう、数十人の寝ているぜ?
 もうガバガバのヤリマンなんだぜ?」

 何の事を言っているんだろう……?

「妊娠したとか聞いたんだが、腹膨らんでないじゃん」

 その生徒は、ケラケラと笑っている。
 水谷さんは、小さく体を震わせていた。

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