バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

129

「どうぞ……」

 水谷さんが、僕の机にお弁当を置いた。

「朝、瞳さんから預かりました」

「そ、そうなの?」

「はい」

 そして、沈黙が流れる。

「食べないんですか?」

 水谷さんの目が淋しげだ。

「食べようかな」

 僕は、そう言って自分の机を後ろに向けた。

「じー」

 水谷さんが擬音を口にして僕の顔をじっと見つめている。

 どうしたんだろ?

 蓋をあけると、ご飯に鶏そぼろが乗っていた。
 昨日、乗せて欲しいって言ったからな……?

「美味しい?」

「ああ、美味しいよ」

「よかった」

「もしかして、水谷さんが作ってくれたの?」

 水谷さんは、コクリとうなずいた。

しおり